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Pixel 6はこれまでのPixel以上にグーグルのやりたいことが詰まった1台

2021年10月22日 10時00分更新

 グーグルは、自社ブランドのフラッグシップスマホ「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」を20日未明に発表した。日本では、グーグル自身がオンラインで販売するほか、auがPixel 6を、ソフトバンクがPixel 6/6 Proの両機種を販売する。発表直後から予約を受け付けており、28日に発売予定。

グーグルならではの体験ができる

 今回で6世代目になるPixelだが、狙いはグーグルの目指す世界観をハードウェアとともにユーザーに届けるところにある。言い換えるなら、グーグルのハードウェアとソフトウェア、AIを融合させなければできない体験を提供する端末がPixelというシリーズになる。この位置づけは、初代Pixel投入時から一貫している。一方で、Pixel 6/6 Proは“真のグーグルフォン”と呼べるほど、グーグルならではの体験が強化されている。

日本時間の20日未明に発表されたグーグルのPixel 6とPixel 6 Pro

通常のタイピングの3倍速く入力

 たとえば、「アシスタント音声入力」はその1つだ。ユーザーはPixelの画面上に表示されたキーボードを打つ代わりに、Pixelに話しかけ、タップするだけで必要な文字を入力できる。発表会では、通常のタイピングの3倍速く入力できることが強調されていたが、速さだけでなく、操作の簡単さも音声入力のメリットだ。

ハードウェアとソフトウェア、AIを融合させ、新たな体験を生み出すのがグーグルの狙いだ

サードパーティ製のアプリでも利用可能な「リアルタイム翻訳」

 同様に、「リアルタイム翻訳」も、Pixel 6/6 Pro向けの新しい体験だ。メッセンジャー上の言語が一瞬で翻訳され、相手が外国語を使っていてもコミュニケーションが簡単に取れるようになる。リアルタイム翻訳は標準のメッセージアプリだけでなく、LINEやInstagramといったサードパーティ製のアプリでも利用可能になる。Google翻訳と行ったり来たりする必要がなくなるのは、大きな改善と言えそうだ。

タイピングの3倍高速だという音声入力

オンデバイスでの処理は安心感が高い

 誤解をおそれずに言えば、こうした機能はこれまでのスマホでもできた。ただし、ネットワークにつながっていればだ。Pixel 6/6 Proの強みは、それをオンデバイス――つまり端末上で行なっているところにある。ネットワークを介す必要がないため、音声認識や翻訳はとにかく速い。プライバシー保護の観点でも、オンデバイスでの処理は安心感が高いと言えるだろう。

 これを可能にしたのが、グーグルが独自に設計し、Pixel 6/6 Proに搭載した「Tensor」と呼ばれるSoC(システム・オン・チップ)だ。グーグルによると、Tensorは、過去数年に渡ってAI研究者と連携しながら開発したといい、単純な処理能力の高さではなく、いかにAIを素早く、かつ省電力に処理できるかに重きが置かれている。発表会では「ベンチマークはリアルな世界の体験を反映していない」と語られていたのは、そのためだ。

翻訳もリアルタイムで、言語の壁を取り払ってくれそうだ

Tensorの力はカメラにも活用

 Tensorの力は、従来のPixelと同様、カメラにも活用されている。おもしろいのは、「消しゴムマジック」と呼ばれる新機能だ。この機能を使うと、写真の背後に写り込んだ人物などを瞬時に消去することが可能。写り込みを気にして、何度も写真を撮影し直す必要がなくなるというわけだ。

 また、動いている被写体を認識して背景や動きのある部分だけにブレを加える「モーションモード」にも対応する。こちらは、流し撮りや長時間露光といったテクニックが必要な撮影を、AIに任せてしまう機能。被写体の動きを分析して、こうした効果を瞬時にかけられるのはTensorの実力があってこそと言えるだろう。

グーグルが独自に設計したTensorが、AIの処理の高速化、省電力化に貢献している

動いている被写体を認識して背景や動きのある部分だけにブレを加える「モーションモード」にも対応

カメラの性能自体も大幅に強化

 もっとも、カメラの画質はAIだけでどうにかなるものではない。光を受けられなければ作り出せる映像に限界はあるし、写せる範囲もレンズの力に左右される。そのため、Pixel 6/6 Proはハードウェアとしてのカメラ機能もこれまでのPixelから、大幅に強化されている。Pixel 6 Proは超広角、標準、望遠のトリプルカメラ。Pixel 6は超広角と標準のデュアルカメラだ。

 どちらも標準カメラの画素数は50メガピクセル(約5000万画素)と高いが、どちらかと言えば、これはピクセルビニングを使って画素サイズを上げるためだと思われる。グーグルによると、取り込める光量はPixel 5との比較で150%増えているという。また、Pixel 6 Proの望遠カメラはペリスコープ型で、光学4倍を実現。これによって、従来モデルにも提供していた「超解像ズーム」のクオリティがさらに上がり、最大で20倍までズームできるようになった。

消しゴムマジックやモーションモードも、AIの力を活かしたカメラ機能の1つだ

メインカメラは2機種とも50メガピクセル

これまででもっともグーグルなスマートフォン

 このように、Pixel 6/6 Proは単に既存のPixelからスペックが上がっただけでなく、ハードウェアとソフトウェア、AIの融合を一段推し進めた端末と言えそうだ。発表会で「これまででもっともグーグルなスマートフォン(the most google phone ever)」と語られていたように、Pixel 5までのPixel以上にグーグルのやりたかったことが詰まっているというわけだ。Pixel 6/6 Proが真のグーグルフォンと呼ばれる理由は、ここにある。

Pixel 6 Proは光学4倍ズームの望遠カメラを搭載し、超解像ズームの倍率が20倍まで上がった


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