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AH-C830NCW、AH-C630W

音と身近になれる、デノン初の完全ワイヤレス

2021年10月15日 11時00分更新

文● ASCII
提供: デノン

装着感の良さと周囲音ミックス機能の自然さで在宅ワークも快適

 音質面では看板に偽りなしと感じたが、機能や使い勝手の面ではどうだろうか?

 冒頭でも書いたようにイヤホンは生活の中で長く触れる存在となっており、仕事の道具として活躍する機会も増えている。この点についてもチェックしておこう。長時間装着しても疲れにくいかに加え、重視する声が高まっているマイク性能についても見ていこう。

ウェブ会議で使ってみた。装着感がよく、声も明瞭に届いている印象だった。

 ここで触れておきたいのがスティック型の形状だ。ベストポジションに落ち着きやすく、落ちにくく、落とした際にも転がらないといった点を重視したためだという。重量は約5g(片側)で、「装着していることを忘れるほどの軽さ」とする。装着性にもこだわり、形状は合計24のサンプルから最も着け心地がよく、落ち着くものを採用したそうだ。装着してみると確かに軽さは実感できるところ。耳に負担がなく、スティック部分が支えになって重さが分散する印象がある。

 スティック型の利点としてマイク位置が口元に近くなるという点もある。完全ワイヤレスイヤホンはヘッドセット機能を持つものが多いが、マイクが外側に向いているため、声を拾いにくい面がどうしても生じやすい。スティック型であればマイクは下側に向き、この問題が軽減できる。

 AH-C830NCWはノイズキャンセリング機能に加え、周囲音ミックス機能も持つが、その聴こえの自然さには驚いた。マイクで拾った音は人間が聴きたいと思う音と必ずしも一致しない。高性能なマイクを搭載していても、いかにもマイクを通した音になってしまい、衣擦れやタッチノイズなどが目立ってしまう場合が多い。そんななかデノンの製品は、周囲の雰囲気をうまく残しつつ、聞きたい音だけが耳に入ってくる自然な感覚だった。この違和感のなさも、イヤホンを着けたまま1日過ごす人にとって大きなメリットになると思う。

サウンドマスター監修で「こまかなこだわり」が詰まっている

 最後に細かなこだわりの部分に注目。例えば何気なく付属しているシリコン素材のイヤーチップだが、よく見ると傘部と軸部の厚みを変えた2層構造になっており、遮音性の面でも音質の面でも優れているのが分かる。

 聴くとこのイヤーチップは数多くのサンプルの中からサウンドマスターが音質重視で選択したものだという。イヤーチップは低域の量感などに影響して全体のバランスを左右するので、できれば純正(付属)のものでじっくりと音を確かめておきたい。

 また、単に機能のあるなしだけでなく、チューニングも大事な部分だ。AH-C830NCWが搭載するノイズキャンセリング機能は、フィードバック/フィードフォワードの2方式を組み合わせたハイブリッド型だが、アルゴリズムの改善で、ヘッドバンド型の「AH-GC30」を上回るノイズキャンセル性能を出せたとする。スポーツや移動中の利用を考えて、歩行/走行時に発生する装着者自身の振動音についてもうまくキャンセルできるようにしているそうだ。

内部の構造

 通信安定性を高めるための工夫もある。高出力なClass 1仕様として、アンテナには25mmと長いFPCアンテナを使用している。ただし、単にハードを用意すればいいのではなく、ソフトウェアによる適切な出力制御があっての通信安定性であり、そこにノウハウがあるというのがデノンの主張だ。

 音の核となるドライバーに関してもサウンドマスターによる試聴と調整を繰り返して、完成度を高めたものとなっており、AH-C830NCWは11×10mmの楕円形ドライバー、AH-C630Wは直径10mmの真円ドライバーと完全ワイヤレス機としてはかなり大口径。音質の部分で述べたような豊富な情報量、ワイドな空間表現、ライブ感と熱量のある表現を支えている。

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