コロナ禍にデジタル技術で対処した台湾
台湾の新型コロナ対策は、世界的に評価されている。
そのなかでも、マスクの配給は、デジタルを活用して成功を収めたことで知られる。
マスクの在庫データなどを一般公開し、それをもとに、シビックテック(市民による技術者やプログラマー)の力を活用して、どの薬局にいけば、どれだけのマスクの在庫があるのかを、ほぼリアルタイムでわかるように、マップ上に表示。素早く、公平に、楽しく、マスクを入手することができたのだ。
だが、試行錯誤もあった。
「マスクの配給を展開したときに、薬剤師からあがってくる数字がずれたり、間違っていたりすることがわかった。現場の薬剤師から報告されたデータに偏りがあった」という。
ここでもタン氏はすぐに動いた。「なぜ、数字がずれるのかがわからなかったため、薬剤師に直接話を聞き、その解決策を求めた」という。そのとき、薬剤師に投げかけた言葉は、「あなたがデジタル大臣だったらどうするのか」というものだった。
薬剤師は、この課題を自分ごととして捉え、改善策を提案。短期間に課題の解決につながった。
「私は、不満を持つ人たちに問い続けた。その結果、全員がプロジェクトに参加することになる。全員が参加することで、全員参加型のビジネスが習慣化していくことになった」とする。
また、マスクの配布マップを公開したときにも課題は発生したという。
「前提としていたのは、人口の集中度合いに応じて、薬局が完璧に配置されており、公平に配給できるという点。だが、人口比をもとに、地図上では同じ距離に見えても、実際には同じではないことがわかった。なかには、マップを見ただけでは、公共交通機関を使って、最寄りの薬局まで3時間かかることがわからない人もいた。そうした苦情がコールセンターに入り、それを受けて、Open Street Mapコミュニティが、新たな解決策を提案し、実行した。よりよいアルゴリズムに切り替え、24時間後には修正することができた」という。
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