コロナ禍の寂しさは音声で和らげる
Z世代の耳はマルチタスク!? 約7割が複数メディアを同時利用経験あり
コロナ禍で「声」を欲する若者たち
若者世代の間で、Discordなどの音声通話アプリが人気となっている。若者と上の世代では、音声メディアとの付き合い方にどのような差異があるのだろうか。ビデオリサーチとスポティファイジャパンの共同調査「Z世代と音声メディア」(2021年6月)を見ていこう。
調査によるとZ世代は、「定期的に音楽を聴く」が約7割の68.2%、「音楽配信サービス利用」は約6割の59.1%と、音楽に触れる機会が他世代より多い。無料かどうかに関わらず、音楽配信プラットフォームの利用率は年々増えている状態だ。
また、デジタル配信ラジオやポッドキャスト、音声アシスタントサービスなど「音声サービス」の利用率も27.9%と約3割に上り、ラジオのデジタル配信聴取も増加傾向にある。コロナ禍で在宅時間が増えた影響が大きいと考えられるだろう。
Z世代は耳もマルチタスク!「音声のほうが楽」
Z世代の音声メディアユーザーのうち、音楽を流しながら「音を出してテレビを見た」は約6割の61.2%、また、約7割(66.4%)が音楽を流しながら「音を出して動画を見た」経験がある。
つまり、音の出る複数のメディアを同時に視聴することに抵抗がない傾向にあるのだ。音楽を共有しながらの通話や音声をダブルで流す場合でも、その時々でより聞きたいほうに耳を傾けるなど、耳をマルチタスクに使いこなす様子が多く見られる。
さらにZ世代は、「通話のほうが文字での会話より楽」という回答が男女とも約半数いる。また、女性Z世代の45%が「読む」より「聞く」ほうが頭に入りやすいと答え、他世代より10ポイント以上高くなっている。音声入力世代であり、音声でのコミュニケーションや情報収集に親和性が高い世代と考えられるのだ。
音声メディアでのやり取りで「寂しさが和らぐ」
大学生たちは、「大学に行けなくて友だちと会えなかったときは、Discordとかオンラインゲームのボイチャで話していた」と言う。「文章とかだけより、直接話せるのがよかった。つながっている感じがした」。
調査でも、気軽に人と会えないコロナ禍にあって、音声メディアによって気が紛れたり勇気づけられたりしたというZ世代は多い。特に女性にその傾向が強く、ラジオや雑談配信などで勇気づけられたり、寂しさが和らぐという声は複数挙がっていた。
Z世代は音声メディアに対する接し方が上の世代と異なっているようだ。Z世代とコミュニケーションをとる際には、この点を意識するとよいかもしれない。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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