iPhone 13はiPhone X以降の世代の最終ステージに突入した【山田祥平】
9月14日(現地時間)に発表された「iPhone 13」シリーズについて、アスキーの執筆陣に想いを聞きました。
PC/モバイル系ジャーナリストの山田祥平氏が、iPhoneシリーズの中でのiPhone 13の立ち位置を解説します。
iPhoneの強味はiPhoneしかないことだ
iPhone 13が発表された。もはや悟りの境地だなという印象を持った。
今回は、ホームボタンがなくなって指紋認証を廃した、iPhone X以降の世代の最終ステージともいえる。もっと言えば、発売週の9月20日に一般配信が始まることになっているiOS 15が最後のOS更新となるであろうiPhone 6s世代からの集大成だ。
アップルといえど、コロナ禍の影響は少なからずあったのだろう。というよりも、イケイケドンドンのフェイズから、ドラスティックな変化よりも厳として変わらないことを選んだのだと思う。いろんな意味で有象無象のスマホカテゴリーではなく、iPhoneはiPhoneという別カテゴリーの製品だ。
もっとも、日本人の今の状況を考えるとiPhoneで指紋認証ができないのは致命的だ。常に持ち歩き、頻繁に取り出して使う携帯端末としてはありえない。今、指紋認証でiPhoneを使っていて、性能や物理的な損傷などで特に不便を感じていないのなら、買い換えは考えないで大事に使い続けた方がいい。きっと、来年の今頃には世の中がマスクなしでもよくなっているか、指紋認証かそれに匹敵する新しい技術が搭載された新しいiPhoneがお披露目されるだろう。
昨秋のiPhone 12世代からの目立った進化としては、プロセッサーの処理能力の向上と、バッテリ駆動時間の向上、そしてカメラの再構成といったところだ。その代償としてわずかな重量増となっている。残念ながらといっては失礼だが今年もLightning端子は健在だ。
iPhoneの強みはiPhoneしかないことだ。どのiPhoneでもiPhoneはiPhoneであり、Androidスマホのように機種ごとの極端な個性を主張しない。だからこそ5年前のiPhoneでも最新OSが稼働し、ややこしいことをしない限りは、さほど違和感なく使える。最新モデルと比べたらおしまいだが、比べない限りは使い続けることに何のためらいも感じないだろう。これはすごいことだ。アプリが徹底的にiPhoneに最適化され、稼働が完全に検証されているからだ。
個人的にはプロフェッショナル映像クリエイター御用達の撮影道具として、iPhoneが本当にふさわしい形状の道具なのかどうかをずっと考え続けている。200グラムを超え6.7型ものスクリーンを持つ平板は、常時の携行にはかなり抵抗がある。だが、プロの撮影道具としてなら十二分に軽快だ。それがはたして電話である必要があるのかどうか。ほかのアプリが動き、決済までできるスマートフォンでなければならないのか。その解がなんとなく見出せないでいる。そのあたりの方向性も、きっと来年の1月に15周年を迎えるiPhone以降、もう少しの時間がたてばアップルが示してくれると思う。
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