私のウォークマンとの出会いはこうだ。あるとき西武新宿線は中井にあった「吃菜館」(ちいさいみせ)という餃子のお店にいくと、主人が頭になにかつけている。戦後、中国に残り人民解放軍で料理人として働いたという店主だが、モダンジャズのファンだった。「それなんですか?」と聞くと、うれしそうに「これソニーが発売したんだよ」とヘッドホンをはずして本体も見せてくれた。
映画『はだしのゲン』にじゃじゃ麺屋役として出演しているという、ちょっとナゾのある店主は「大阪では流行っているそうですよ」と教えてくれた。カセットテープレコーダーの形をしているのだが、ヘッドホンをかけてみるとマイルス・デイビスのトランペットの繊細な音がリアルに頭の中で蘇る。1979年発売の初代ウォークマンは、発売と同時に売れまくったわけではなかったのだ。しかし、やがては一世を風靡、地球まるごとの音楽文化を変えたのはご存じのとおりだ。
「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」の#13は、この初代ウォークマンを作る。あまりに伝説的な製品であるために、さまざまな逸話が語られているが、技術的な視点でもマーケティング戦略的な視点でも、注目すべきことが多いのは事実だ。動画の中では、コンピューターとの関係や世界中の誰もが日々お世話にる(!)意外な規格について語ります。
■ 「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」:https://youtu.be/YUa22FkzdsY
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遠藤諭(えんどうさとし)
株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。その錯視を利用したアニメーションフローティングペンを作っている。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。
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