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プリンター市場で伸びている意外なカテゴリー、在宅需要増でさらに……

2021年09月13日 09時00分更新

在宅での仕事、そして家族で使う新しい用途

 三島社長が指摘するように、インクジェットプリンターを取り巻く環境は、この数年で大きく変化している。

 ひとつめの変化は、インクジェットプリンターに対する需要の変化である。

 インクジェットプリンター市場は、2011年度をピークに、約10年間に渡って、縮小傾向が続いている。三島社長も、「この減少傾向はまだ続くと見ており、その点では危機感を持っている」と語る。

 背景には、スマホの普及により、写真のデジタル化や、書類のペーパーレス化が進展していること、年賀状需要の減少などによる印刷機会の減少などがある。

 しかし、市場の中身を見てみると興味深い動きがある。市場全体は落ち込んでいても、大容量インクモデル市場は販売台数が増加しており、2020年度は前年比20%増の成長を達成。この傾向もしばらくは続くと見られているのだ。

 ブラザーでは、印刷量が多い人向けのプリンターとして、2018年に、大容量インクモデルのファーストタンクシリーズを発売。着実に販売を伸ばしている。そして、今年は、ファーストタンクシリーズとしては、過去最大となる5機種をラインアップ。これを新製品の目玉に位置づけている。

 2つめは、新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務が一気に広がり、家庭内においても、仕事の用途での印刷が増加している点だ。

 同社の調査によると、プリンター所有者の30%が、在宅勤務が増加したと回答。最も頻度が高いプリンターの使用目的では、写真やレシピなどの「趣味の一環」、年賀状などの「季節の挨拶」に次いで、「在宅勤務」が3番目の用途となっており、35%を占めている。

 「家庭で、仕事向けのプリントをする人が増えている。最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月頃には、在宅勤務用にプリンターを購入するという特需ともいえる動きがあったが、その後、落ち着きを見せているものの、その需要は常態化し、新たな市場として定着しつつある」と語る。

 ブラザー販売でも、在宅勤務制度を全社員に広げており、現在、オフィスへの出社率は50%以下となっている。
もともとブラザーのインクジェットプリンターは、SOHOや店舗、小規模事業所などを主要なターゲットとしてきた経緯がある。事務所や店舗で利用されている電話機付きモデルや、SOHOなどで人気の大容量インクモデルなどがそれで、今年の新製品でも機能を進化させている。

 「もともとビジネス用途を想定した提案を続けてきたブラザーにとっては、大きなチャンスが訪れている。『SOHOはブラザー』と言ってきた強みを、いよいよ生かすことができる。しっかりとポジションを確保して、安定的なビジネスを行っていく」と意気込む。

 そして3つめが、おうち時間の増加に伴うプリンターへの関心の高まりだ。

 言い換えれば、おうち時間を楽しく過ごすために、プリンターの新たな利用が増加しているともいえる。

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