週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

最大で48%まで株式を買い増し、金融事業の強化をはかる

SBIホールディングス、新生銀行の株式公開買い付けに踏み切ると発表

 SBIホールディングスは2021年9月9日、新生銀行に対し、TOB(株式の公開買い付け)に踏み切ると発表した。今回のTOBで1164億円を投じて最大で48%まで株式を買い増し、金融事業の強化をはかる狙いがあるとみられる。

 SBIホールディングスはすでに証券事業で、株式、投信、FXなどさまざまな金融商品を取り扱っており、ここに銀行口座・証券口座の同時開設や預金連携などが実現できれば顧客における利便性が向上し、SBI証券からの新生銀行への送客も実現できるという。

 小口ファイナンス分野では、クロスセルを通じて両社データが蓄積されることで、与信判断やマーケティングの精度が高まり、コストの削減に寄与するとしている。また、SBIグループの資本業務提携・業務提携先である地域金融機関とのネットワークを活用し、新生銀行の提供する商品を販売することで、収益機会を拡大する狙いだ。

 本公開買付けを通じて所有割合を引き上げた後、新生銀行の経営陣へ事業上の連携に関する議論を行うことを提案し、迅速に実行に移すことを提案する予定とのこと。

「第4のメガバンク構想」実現への第一歩と見られる

 SBIホールディングスは、2019年9月に地域金融機関を対象にした「第4のメガバンク構想」を発表し、主に地方銀行と資本業務提携を進めてきました。今回の買い付け対象である新生銀行は、金融業界内では地方銀行には当てはまらず、ネット銀行ともメガバンクとも異なる位置づけとして認識されています。 しかし2019年頃からSBIホールディングスは、新生銀行の株を買い進めるなど、構想実現に必要な要素として見ていたといえます。2021年3月に新生銀行は、SBIホールディングスの証券事業では競合となる、マネックス証券との業務提携発表をしていますが、この競合になる施策が、今回の株式公開買い付けにつながったと考えられます。
(ASCII FinTech記者 久我 吉史)

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります