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デジタル証券ファンドの組成・運用・販売を一気通貫で手掛ける専業金融サービス会社に

三井物産デジタル・アセットマネジメント、証券会社・運用会社登録を完了

 三井物産デジタル・アセットマネジメントは2021年8月31日、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資運用業の登録を2021年8月13日付で完了したことを発表した。

 証券会社・運用会社としての業登録を完了したことにより、同社は優良実物資産のデジタル証券ファンドのSPAモデルを追求する金融サービス会社として、営業開始準備を進めているという。同社のDXの取組の1つでもある。

 SPAとは「Speciality store retailer of Private label Apparel」の略称で、日本語では、「製造小売業」という。同社が掲げるSPAモデルの追求とは、金融商品の組成、運用、販売を垂直統合したビジネスモデルを目指すという意。

 具体的には、不動産などのファンド案件をオンライン提供するプロの投資家限定サービス「ALTERNA」のリリースを2021年秋ごろ予定している。 従来のプロの投資家向けの商品は、そのほとんどが対面営業での提供が中心であるため、限られた一部の会社しか投資機会がない課題が存在していたが、 「ALTERNA」はプロの投資家がオンラインで優良な非上場の実物資産の証券化商品にアクセスできることを目指して開発されている。サービスを通じた案件情報提供のほか、より投資を検討しやすいUXを提供するという。

証券事業デジタル化の実用的な波がやってきた

 証券のデジタル化は2021年が黎明期と言えそうです。

 例えば2021年7月には、三菱UFJ信託銀行、野村證券、SBI証券、ケネディクスの大手金融4社が、デジタル化した証券の募集ビジネスに向けて協業を発表しました。

 背景には2020年5月に施行となった、改正金融商品取引法があります。

 同法では、ブロックチェーン技術を使って、株式や不動産投資商品を裏付けにした暗号資産「セキュリティー・トークン」を定義しています。

 この定義の上で、実際に証券ビジネスと紐づける取り組みが三菱UFJ信託銀行らの協業の柱といえます。

 また、これら4社に先んじて、SBI証券とSMBC日興証券がセキュリティー・トークンの取扱いを相次いで発表したことも話題となりました。

(参考)
・2021年3月26日 SBI証券 SBI証券、国内初となるSTO取扱いに係る変更登録完了のお知らせ
https://www.sbigroup.co.jp/news/2021/0326_12382.html
・2021年5月25日 SMBC日興証券 セキュリティトークンオファリングの取り扱いに係る変更登録完了のお知らせ
https://www.smbcnikko.co.jp/news/release/2021/pdf/210525_01.pdf

 本リリースの例示「ALTERNA」が目指す「オンラインでの投資商品へのアクセス」は、既存の証券会社だと上場株式や、投資信託といった投資商品で、すでに実現済みです。

 しかし、ALTERNAが対象とする「実物資産の証券化商品」はカスタマイズ性が高く、投資1口あたりの価格も数千万円以上となるのが一般的です。

 カスタマイズ性の高さは、商品提供元が1商品ごとに事務フローをゼロから確立する、投資先の商品を審査するなどの負担が膨らむ原因になります。

 ALTERNAでは商品の情報を集約し、機関投資家と呼ばれるプロの法人投資家の需要を、オンラインで満たせるようにし、取引や負担の合理化を目指しています。

 その結果、今まで組成が難しかった金融商品が提供可能になるなど、期待が高まります。(ASCII FinTech記者 久我 吉史)

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