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ブリージングデバイス「ZORN」は、使われる場所を広げ、多機能化の方向性を示すマイルストーン的なプロダクト

2021年08月25日 11時00分更新

 今回は、ブリーザーの「ston」に続くブリージングデバイスの第2弾製品「ZORN」を、プロダクトとして検証してみたい。「ZORN」は、製品としては「ston」と同じく、吸うことによってリキッドを接種できるブリージングデバイスで、もうひと踏ん張りしたい時のミントフレーバーの「POWER」、気分を落ち着かせたい時のココナッツフレーバーの「CALM」という2種類のカートリッジを、気分に合わせて交換して楽しめる。どちらも共通のカートリッジを使用し、得られる休息体験は同じものだが、形状はまったく違う。

 性能面での「ston」と「ZORN」の大きな違いは、「ZORN」には脈波センサーが搭載されている点だ。「ZORN」は、簡易的な脈波センサーによって、休息の取り方に対するレコメンドを行える機能が搭載されている。

より人工的だが現代のオフィスデスクに合う「ZORN」

 まずはデザインについて。「ston」は、見た目や触り心地などを自然物(=河原の石)に近づけ、デバイスの存在自体も休息体験の一部として機能させるべくデザインされているのだが、「ZORN」は、この脈波センサーを内蔵することを前提としたデザインがなされており、結果的に「ston」に比べると、かなり人工的あるいは工業的なデザインになっている。

 デザイン的な観点から言うと、「ston」のほうがより洗練されているように映るが、逆に言うと、「ZORN」のデザインは、より現代の生活に馴染むものに仕上がっていると言っていいだろう。

 たとえば、机の上に河原の石が置いてあるのと、円錐状の人工物が置かれているのでは、後者のほうが違和感は少ない。スマホやキーボード、マウスといったデジタルデバイスが幅を利かせるワーキングデスクの上では、「ston」の存在感はある種の異彩を放ち、別の見方をすれば、ある意味所在なさげだ。逆に、便箋と羽ペンが置かれたようなデスクの上なら、あるいは「ston」のほうが似つかわしく映るかもしれない。決して、「ston」のデザインがクラシックで「ZORN」のデザインはよりモダンだと言いたいわけではない。

 また、カラーバリエーションに関しても、「ston」が「浅葱」「茜」「月白」「鉄紺」と多色展開なのに対し、「ZORN」はブラックとホワイトのシンプルな2色となっている。これも、黒やシルバーといった、よく言えば落ち着いた色に支配されがちなオフィスデスクに溶け込むためのカラーリングと言えるだろう。

つなぎめのない滑らかな円錐形状

 それでは、ここからはもう少し細部のディテールに寄って見てみよう。

 まずはその形状だ。「ZORN」の筐体は口にくわえる部分が最も細くなった円錐形になっている。これは保管する際に太いほうを下にして立てて置けるようにデザインされたものだ。ここでは便宜上、立てた際に底面に当たる部分を先端、口にくわえる細いほうを後端として記述する。

 実際利用してみると、手でホールドする部分は高級な万年筆などより幾分太く、太めのマジックペンよりは若干細いくらいという太さ。質量も見た目から想像できる範囲の重さと言っていいと思う。太めのマジックペンよりやや重いくらいだろうか。持ちにくいというほどではないが、口にくわえたまま両手を離して利用するのは難しそうだ。そもそもそうした使われ方を想定してはいないのだろうけど。

 円錐ボディの周囲にはどこにもつなぎめがなく、手で持った際に引っかかりのない、滑らかな触感を実現している。

 筐体はプラスチック素材だが、チープな印象は受けない。特にブラックモデルは表面にごく微粒なラメ加工が施されてあり、このあたりは流石のこだわりだと言えるだろう。

 「ston」の触感は金属質で、手に持った瞬間はやや冷っとした感覚を伴うが、「ZORN」の場合、「ston」と同程度のなめらかな質感を実現しているが、やはりプラスチック素材なので「ston」のように温度感を伴った感覚はない。

 この質感の違いも、どちらが好きかは好みの分かれるところだろうが、個人的には、「ston」の冷感を感じる金属の質感と手で握っていると体温が移って冷たさがなくなっていく感じがとても気に入っていたので、質感に関しては「ston」に軍配が上がるだろうか。

ガジェット好きにはたまらないむき出しの脈波センサー

 続いては「ZORN」の目玉機能である脈波センサーと操作ボタン、各種サイン用のLEDランプ周りについて。ここはもう「かなり工業的デザインである」と言っていいと思う。

 脈波を測るために指を当てる透明な窓からは、センサーチップが覗いていて、同じ指を当てるセンサーだが、ノートPCなどに搭載されている指紋認証センサーなんかよりよほどグッと来る。操作ボタンにしても、このサイズのデバイスの割には、しっかりと押下感があっていい。脈波センサーの窓は、手に持った際に自然に親指が当たる位置にあって、ちゃんと計算されているなと感じさせてくれる。

 充電用のUSBポートは、先端部分、つまり立て置きする際の底面にあるが、「ston」がmicro USB端子を採用していたのに対し、「ZORN」ではUSB Type-Cになっていたのも何気にうれしいポイントだ。

 問題はその給電ポートの配置場所についてだ。「ZORN」を手にした当初は、「底面に充電端子があったら充電時は立てておけないじゃないか」と思ったりしたが、それではどこに設けるべきか、と問われたら、少なくとも筐体の横面ではないなと自分でも納得できた。仮に本体横に給電ポートがあったとして、充電ケーブルをつないで立てて置くだろうか? と考えたら、やっぱり充電時は底面にケーブルを挿して机に転がしておくのがベターなのだ。ただし、ベストではない。この仕様なら、「ston」のように充電用のクレードルがセットになっているのがやはりベストだと思う。まあ、その分価格が高くなるのも考えものではあるが。

キャップ部のつくりは好みが分かれるところか

 最後にカートリッジを取り付ける後端部分を見てみよう。まずはキャップだ。安全に配慮したためか、先端は丸い。

 そして、キャップ部はやや遊びがあって、キャップを取り付けた状態でも前後左右にグラグラ動く。勝手に外れて落ちたりはしないのだが、個人的な好みからすると、こうしたキャップはピタッと閉まってほしい気がする。キャップとボディの間に隙間があるのもデザインを意識してのものだと思うが、ここも個人的にはぴっちりと閉まって欲しかった。まあ、このあたりは好みの問題だろう。

 また、カートリッジの取り付けに関しては、「ston」と同じようにねじ切り式で、キュッと締め入れる感覚の心地よさは健在だ。

「ZORN」の登場はやや時期尚早? ブリーザーが思い描く未来のオフィス

 ここからはかなり筆者の主観が入った意見になってしまうのだが、プロダクトとしての「ZORN」を総括してみたい。

 率直に言ってしまうと、今の段階で「ZORN」を求めるユーザーがどのくらいいるかと言うと、実はかなり未知数なのではないかと思える。

 「ston」の発売開始から1年余が経過し、ある程度の認知を得るに至ってはいるが、「ston」あるいはブリーザー社の目指すところの休息体験を促すブリージングデバイスを試しているのは、まだ、新しいもの好きのアーリーアダプター層がほとんどなのではないかと思うのだ。

 筆者も含め、そういった人たちに受け入れられやすいのは、やっぱりまだ「ston」のような特異な存在なのではないか。彼らが求めているのは、「まだ少数の人しか知らない尖った何か」で、そういった意味では、「ZORN」の登場はまだ少しだけ早いのではないかと思ったのだ。

 それでは現時点での「ZRON」の登場にはまったく意味がないかと言うと、そんなこともない。

 アスキーでは、かつて「ston」のデザインを”Apple製品にも通ずる”と評したことがある。

参考リンク:Apple製品にも通ずるプロダクトデザインを持つ「ston」プロダクトレビュー

 そこから考えると、「ZORN」のデザインはMacというよりWindows PC的であり、より大衆向けにデザインされたデバイスだ。たとえば、今年6月に発売された24インチのM1搭載iMacを並べて置いて違和感のないオフィスはそう多くないだろう。

 現在の日本のデスクワーク環境はかなり保守的で、異物の存在を許さないようなところがある。オフィスのデバイスに求められているのは、個性よりも調和なのだ。そうした場所で、当たり前のようにブリージングデバイスを使ってもらおうと思えば、「ston」のようなプロダクトより、「ZORN」のほうがよりマッチするのではないか。その可能性の示唆として、こうしたデザインもあり得るのだと示して見せたことが、ブリーザーが今の時点で「ZORN」をリリースした意味なのではないかと思う。

 また、「ston」「ZORN」は共に休息体験を向上させるためのデバイスだが、「ston」は休息自体もファッションの一部にしてしまう人たちに受け入れられやすいのに対し、「ZORN」のほうは、より実践的な休息、戦略的な休息を求める人に向けられていると言ってもいいかもしれない。

 個人的な総括としては、「ZORN」には2つの意味があって、1つはレコメンド機能のような、ブリーザーの考える本来的な休息体験の向上というメイン機能に加え、副次的な機能を搭載できる可能性の提示と、現在のオフィス環境に、よりマッチするようなデザインの自由度の例示した、ある意味ブリーザーのマイルストーン的なプロダクトなのではないかと思えた。

 とはいえ、先述したように、「ZORN」は筆者にはまだちょっと早い。もう少し、ブリーザー製品で遊んでいたいのだ。次はぜひとも「ston」に副次的な機能を盛り込んだプロダクトの登場を期待したい。

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