CPUクーラーには「Noctua NH-L9a-AM4」が選択可能! マルチディスプレーにも対応
最新「Ryzen 5000G」搭載の超小型PC「Radiant SPX2800X300A」、CPUパフォーマンス向上で仕事やちょっとゲームプレイも快適!
幅およそ80mm、高さと奥行がおよそ155mmという、サイコムの超小型パソコンの「Radiant SPX」シリーズ。このAMDモデルとなる「Radiant SPX2800X300A」のAPUとして、先日登場したばかりのRyzen 5000Gシリーズが新たに加わった。
Ryzen 5000Gシリーズの最大の特徴は、アーキテクチャがZen3へと進化したこと。今までのRyzen PRO 4000Gシリーズが採用していたZen2と比べ、IPC(クロック当たりの性能)が大きく向上している。つまり、動作クロックが同じであってもシングルスレッド性能が大きく向上したほか、マルチスレッド性能も底上げされているわけだ。
実際は、Ryzen 7 PRO 4750Gと比べRyzen 7 5700Gはベースクロック、ブーストクロック共に0.2GHzほど上昇しているので、さらなる性能向上が期待できる。
詳しい性能の違いに関しては、加藤勝明氏による解説記事“Zen 3世代のAPU「Ryzen 7 5700G」「Ryzen 5 5600G」はPCパーツ高騰時代の救世主なのか?”を参照してほしいが、ザックリとまとめると、性能が10~20%ほど向上していながら消費電力は減っているという、まさに小型パソコンのための進化といっても過言ではないものだ。
この、最新APUを早くも搭載したRadiant SPX2800X300Aの詳細をチェックしていこう。
試用機の主なスペック | |
---|---|
CPU | Ryzen 5700G(3.8GHz~最大4.6GHz)、8コア/16スレッド |
CPUクーラー | Noctua NH-L9a-AM4 |
グラフィックス | Radeon グラフィックス |
メモリー | 16GB[8GB*2枚] DDR4-3200 SO-DIMM Dual Channel |
ストレージ | Crucial CT480BX500SSD1 [SSD 480GB] |
内蔵ドライブ | ー |
通信規格 | 有線LAN(1000BASE-T) |
インターフェース | USB 3.1(Type-C)、USB 3.1×2、USB 2.0、マイク入力、ヘッドフォン出力、DisplayPort出力、HDMI出力、D-SUB 15ピン、有線LAN端子 |
サイズ | およそ幅80×奥行155×高さ155mm |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
静音性に優れるNoctuaのCPUクーラーも選べるBTOメニュー
Radiant SPX2800X300Aは、小型パソコンとはいえ、数多くのパーツが選択できるサイコムらしく、BTOメニューが充実。
例えば、APUの標準は「AMD Ryzen 5 5600G」となっているが、上位の「AMD Ryzen 7 5700G」が選べるほか、価格を抑えたいという人向けに、前モデルの「Ryzen 3 PRO 4350G」が残してあるのもありがたい。
SSDは2.5インチSATAが標準だが、こちらもM.2のNVMe対応モデルが選択可能。容量も240GBから2TBまで幅広くそろっているうえ、さらに増設用としてHDD/SSDが追加できる。小型パソコンだと大容量ストレージを搭載するのが難しいのだが、Radiant SPX2800X300Aなら、メインのSSDで2TB、さらに増設用で2TBの合計4TB構成というのも可能になるのだ。
このBTOメニューの中でも、とくにオススメポイントとなるのが、CPUクーラーを変更すること。もちろん、標準のクーラーでもしっかり冷えて問題なく使えるのは確かだが、高負荷時はどうしても騒音が大きくなりがち。これをNoctuaの「NH-L9a」へと変更すれば、高負荷時でも騒音を抑えることができるわけだ。
もちろんそれなりの騒音は出るし、静音というほど静かではないのだが、パソコンのサイズと性能の高さを考えれば、十分満足できる範囲となる。
ちなみにこのNH-L9aは、小型パソコンでは定番となるモデル。背が低いため、一般的なサイズのCPUクーラーが搭載できないRadiant SPX2800X300Aのような小さなマシンにも搭載できる。
省スペースに貢献する小型パソコンだが、悩みもある。それがインターフェースの少なさだ。Radiant SPX2800X300Aは、背面にUSB 3.1、USB 2.0、有線LAN、D-Sub 15ピン、HDMI、DisplayPortを装備。特殊なアダプターを使うことなくマルチディスプレー構成にできるのがうれしい。
前面に装備しているのは、マイク入力、ヘッドフォン出力、USB3.1×2(Type-A、Type-C)。USBは背面と合わせて4ポートしかなく、少々心許ない。とはいえ、背面はマウスやキーボード、外付けHDDなどの接続しっぱなしで使う周辺機器用、前面はUSBメモリーやゲームパッドなど、一時利用で使うと考えてみると、なんとかやりくりはできそうだ。
とはいえ、多くの周辺機器を接続するなら、USBハブの活用を考えた方がいいだろう。意外と忘れられているが、ディスプレーにUSBハブが内蔵されていることも多いので、チェックしてみてほしい。
気になるCPU性能だけは先にチェック!
定番ベンチマークによるPC性能チェックは次回行なうが、もっとも気になるCPU性能だけは先にお届けしよう。
今回試用した構成では、APUはRyzen 7 5700G。8コア/16スレッドで、現在登場しているAPUの中では最速クラスとなる。「CINEBENCH R23」を使い、この性能をみていこう。
「CINEBENCH R23」は、CGレンダリング速度からCPU性能を調べ、ptsという単位の独自スコアでその性能を評価してくれるベンチマークソフト。このスコアが高ければ高いほど、高性能となる。
手元のデータと見比べてみると、Ryzen 7 PRO 4750Gではマルチが11472ptsでシングルが1293ptsとなっていた。単純計算でマルチが約19%、シングルで約16%の性能アップだ。
動作クロックが上昇しているとはいえ、ベースクロックの割合でいえば約6%程度。Zen3アーキテクチャ採用で、性能が大きく上昇しているのがよくわかる結果だ。ちなみにこのスコアは、インテルのCPUでいえばCore i7-11700K(マルチ13400pts、シングル1584pts)あたりがライバルとなる。
小さくても性能に妥協したくないという人に
Radiant SPX2800X300Aの魅力は、置き場所に困らないコンパクトなボディーと、趣味から仕事まで、しっかりこなせる高い性能とを両立できる点にある。
高速なビデオカードを搭載した快適動作のゲーミングパソコンが欲しい、というのであれば迷わずタワー型を選ぶべきだが、ゲームといってもSteamで軽めのインディーズゲームを遊ぶ程度というのであれば、Radiant SPX2800X300Aでも十分楽しめる。
また、動画編集や写真現像といった用途であればCPU性能が重視されるが、Ryzen 7 5700Gならワー型のハイエンドパソコン並みの性能があるだけに、しっかりと期待に応えてくれるだろう。
性能に妥協したくないが小さなパソコンがほしいという人であれば、選んで間違いないモデルといえる。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう