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ハイブリッドワーク時代を見据え、進化するWebex

2021年08月10日 09時00分更新

「毎日オフィスで働くことを希望している社員は、わずか2%。それに対して、月2、3回程度、必要な範囲で出社したいという意思を示した社員が約8割。かつてのようなオフィス中心の働き方には戻らない」

(シスコシステムズの中川いち朗社長)

企業向けのオンラインコミュニケーションツール

 シスコシステムズが、コラボレーションツール「Webex」を進化させ、「Webex Suite」を新たに発表した。それにあわせて、Webexのロゴも変更。今回の進化が大きなことを意味している。

 シスコシステムズの中川いち朗社長は、「未来の働き方は、ハイブリットワークになる。Webex Suiteは、こうした世界を見据えて、バーチャルでも、対面以上の体験できるように進化した」と位置づける。

Webexの新しいロゴ

 Webexは、2020年9月から2021年5月までの9カ月間で、800以上の新機能を追加。さらに、関連する4社の買収を発表しており、Webex Suiteは、それらの機能を統合した形で進化を遂げることになる。

 具体的には、中核機能となるオンライン会議機能のほか、クラウド電話やビジネスチャット、投票、イベントなどの複数のオンラインコミュニケーションツールを、ひとつのアプリケーションとして提供。コラボレーションの基盤として、シームレスに活用できるのが特徴だ。

 進化のポイントはいくつかある。

 たとえば、オンライン会議においては、BabbleLabsを買収したことにより、AIを活用したノイズ除去機能を搭載するとともに、スピーチエンハンスメント機能を強化。会議中にビニール袋をガサゴソさせても、相手には音が聞こえない環境を実現した。今後は、周囲の声や音などのノイズを除去し、利用者の声だけを拾うMy Voice Only機能を搭載。同僚の話し声が常に聞こえているオフィスや、自分だけの静かなスペースが確保しにくい在宅勤務中でも、周囲を気にせずオンライン会議やコミュニケーションに集中することができるようになるという。声を識別して、それを処理するという、競合各社が取り組んでいる重要な機能を一歩先に実現する姿勢をみせる。

 また、オフィスの会議室などからオンライン会議に参加している複数の人を瞬時に判断し、参加者を1人1フレームに映しだすPeople Focus機能を搭載。。会議室の参加者数と、オンラインで参加している参加者数をもとに、画面レイアウトや参加者のカメラ映像を最適表示できる。同社では、「オフィス勤務でも、在宅勤務でも、対面と変わらない会議を体験できる」と説明する。

 そのほか、イベントの実施や管理においては、買収したSocioの機能を統合。業界初のオーディエンスエンゲージメントソリューションと位置づけられるSlidoとの連携により、Q&Aやライブ投稿、クイズなどを通じた双方向コミュニケーションを実現。参加者からリアルタイムに意見を収集することが可能になる。また、イマーシブシェア機能により、説明者のビデオと共有資料を合成。説明者は自分の映像を画面の好きな位置に配置でき、聴講者は没入感がある形でセミナーなどに参加できる。

 シスコシステムズ 執行役員 コラボレーション・アーキテクチャ事業担当の石黒圭祐氏は、「Webexは、オンライン会議のツールとして認知されているが、それを超えて、ビジネスアプリケーションのひとつに認知されるようにしていきたい。いまや、映像を活用したコミュニケーションが、ビジネスの世界では必須である。映像を活用して、企業と顧客をつなぐブリッジになるツールがWebex Suiteになる」と、今回の進化の狙いを語る。

 また、日本の企業から関心が高いクラウドPBXサービスWebex Callingも、Webex Suiteで提供することになる。

 Webex Callingは、スマホやPC、固定電話を、クラウド環境につなぐだけで、固定電話番号(0ABJ番号)を利用できるサービスで、会社の代表電話にかかってきた電話も、在宅勤務で受け取ることができる。同サービスは、日本での需要拡大にあわせて、国内体制を強化。独自の開発体制も敷いているという力の入れ方だ。

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