真夏、街で猫に出会うには早朝が一番、という話は前回書いたので略すとして、二番目はいつかというと夕刻。まあ、灼熱の真っ昼間を過ぎて少し涼しくなりはじめる頃でもあり、地域猫の場合はボランティアの人たちが餌をあげにくるのだけど、それがだいたい16時半から18時くらい(わたしの経験上だけど)なので、猫たちがのっそり出てくるのもそのくらいなのだ。夏なら17時から日没くらいは出会いやすい。
16時半過ぎはまだちと暑い。うちの猫はこのくらいから「腹減った」って顔をするけどまだ早い。
というわけで、16時半の猫。この日は昼間が暑かったので、猫もまだへちゃっと寝てる。ガレージの奥にいたし、耳もカットされてないので飼い猫かもしれない。
17時半。まだ日没には時間があるけれども、猫がいるのは日陰。ドンツキの短い路地のど真ん中でくつろいでる猫がいたのだ。あ、猫だ、ってんでわざとちょっと行きすぎて視界から消えたとこで自転車を止め、カメラを持って戻る。猫の目の前で止まると警戒されるからね。
そして「なんだこいつ」という顔でこっちを見たとこで1枚。痩せてるけどキリッとしたいい顔をしてる。
そっと裏側に回り込み、レンズを56mm F1.4に変え(背景を大きくぼかしたかったのだ)、道路をバックに這いつくばって撮ったのが冒頭写真。日陰で陽射しも当たってないのに、地面に肘をついて撮ったらまだ熱かった。
17時50分。まだ暑いので水分補給しようとコンビニで買った水を飲むべく住宅街の小さな公園に入ると、ベンチに先客がいた。おもわず猫目線にカメラを置いて撮ったけど、よく見るとお尻がはみだしてないか。この公園、真っ昼間に何度か前を通ったけど猫がいたことはなかった。この時間だからこそ出てきたんだろう。
18時10分。自転車で走ってたら目の隅に「あれ、猫じゃね?」というかたまりを発見。戻ってみると猫でした。飼い猫かな。わざと門戸ごしに覗いてる感じで撮る。めちゃぷくぷくしてて丸くてカワイイキジトラのハチワレだ。
警戒されてるのですぐにさよならをしてさらに進む。実は前回の早朝猫編で走ったルートをおおむねトレースしてるんだけど、同じ猫には出会わないってのが面白い。前回、猫が砂場でくつろいでた公園なんて、夕方だとまだ子供たちが遊んでいて猫の気配ゼロだしね。
そして18時半。ほぼ日没で日陰はかなり暗い。団地近くの公園に辿り着く。そのまま通り過ぎようと思ったが、おばさまたちが数人集まってしゃがんだり草むらを覗き込んだりしてる様子が気になってスピードを落とすと、やはり「猫」。彼女らはいつも18時に集まって、このあたりの猫の世話をしているのという。世間話をしながら、あれをあげようとかこれはどうとか話をしつつ、楽しそうだ。
その中のひとりから、一度お会いしたことありますよねといわれたけど、たぶん人違いだ。まあ、そんなのもまたよし。で、ごはんの邪魔をしてはいけないのでちょっと離れたところからこそっと撮らせてもらう。めちゃぷくぷくと太った猫だ。触っても逃げないので撫でてやるとめちゃ感触がいい。夏だからちょっと痩せてるのよという。
もう暗かったのとそこそこ近づける猫だったので、レンズを56mm F1.4にして前後のボケをいれてみた。
全部で3匹いたのだけど、1匹だけあまり懐いてないようで、食事をしにはくるのだけど、それ以外はちょっと離れたところに隠れてる。他の2匹は去勢されてる(耳がカットされてるのでわかる)のに対し、残りの1匹はそれがないのでなかなか捕まえられないのだろう。でも、木の根元のちょっとした凹みにおさまってる様子が良い感じだったのでそっと撮る。
大きな木々に囲まれた猫が集まるには良い場所だが、夏のこの時間帯のこういう場所は蚊が多くていけない。身体のいろんなところが痒くなってきたので失礼することにして帰途につく。
そして19時。空はまだ夕暮れの名残で少し明るいけれども、ほぼ夜。駐車場の片隅で車の下にいる猫を見つけたのでしゃがんでみると、2匹いる。完全に日が暮れて行き交う人も減り、涼しくて動きやすくなる夜をじっと待っている感じだ。
夏の散歩は早朝か夕暮れ前が人にとっても猫にとってもよし、ということでテレワークで身体がなまってる人は、ぜひその頃にお散歩を。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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