尖った製品を作るBTOパソコンメーカーとして存在感を!
品質の高さがサイコムの魅力だというのは確かだが、それ以上に特徴となっているのが、尖った製品がラインナップに多い事。この点は、サイコムを代表する3つのモデルを見れば、誰もが納得するだろう。
ひとつは「G-Master Hydro」シリーズ。CPU、ビデオカードの両方を水冷化したもので、高い冷却性能と静音性を両立したモデルとなる。特に高負荷が長時間続くゲーミング用途で人気が高い。
もうひとつは、「Silent-Master NEO」シリーズ。静音性に優れた空冷CPUクーラーと、低負荷時にファンの回転が止まるビデオカードを組み合わせたモデルで、低負荷時にはほぼ無音で使えるというのが特徴だ。
そして最後が、「PremiumLine」シリーズ。Fractal Designとのコラボモデルとなるもので、いいものを長く使おうというコンセプトで作られている。標準で2年間の保証があるだけでなく、オーバーホール(1回無償)、パーツの有償アップグレードといったサービスが受けられるのがユニークな点だ。
もちろんこれ以外にもコダワリのあるモデルは多数あり、ライトアップを重視した「G-Master Luminous」などはその好例といえる。このモデルは、いくつかのパーツが漠然と光るのではなく、電源ケーブルまでライトアップパーツを採用するという徹底ぶりだ。さらに、ASUS AURA SYNCへの対応で全パーツが連携できるという点までこだわり抜いた構成となっている。
「量産では大手さんに敵いませんし、当然価格競争だってできません。品質で勝負といっても、買ってもらえなければそれも伝わりません。サイコムの強みは、規模は小さくてもニーズがあるところ、尖った製品を喜んでくれるところに向けた製品が出せることだと思っています」(河野氏)
とはいえ、尖ったものばかりを出す奇抜なメーカーを目指しているわけではない。どちらかといえば、大手ではできないこだわりの部分が、たまたま尖っているように見える、という方が正しいだろう。
例えばデュアル水冷のG-Master Hydroも、できるのであれば他社だってやりたいと思う構成だ。しかし、最初から水冷のビデオカードがあるならともかく、独自にビデオカードの水冷化改造まで行ってまでやるかと言われれば、そう簡単に「やる」とは言えないだろう。純粋に、そこまで手間をかけられないというのもあるし、何より、作ったところで売れるかどうかもわからない。
こういったモデルでも勝算があると判断し、ラインナップに加えているというのがサイコムの強さといえるだろう。
こうしたサイコムのPC開発を担っているのが、山田氏だ。
「量産では大手に敵わないという話が出ましたが、逆に、小ロットのものは大手よりサイコムのようなメーカーの方が得意とする分野です。G-Master Hydroのように自分のところで水冷化までやっているのなんて、世界でもやってるのはウチくらいじゃないでしょうか。確かに手間はかかりますが、そのぶんお客様からの評判も良く、看板モデルとなってくれています。
また、Silent-Master NEOは、実際に第三者機関へとPCを持ち込んで騒音値を測り、どのくらい静かになるのか、CPU温度はどう変わるのかまでテストしたりと、かなり手をかけたものです。単純に静音パーツを使っているから静音PCだと言い張るのではなく、ちゃんと静かになっているというのが確認できないと、静音PCとはいえませんからね」(山田氏)
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