週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

3000円以下で手に入る防水防塵ナイトビジョン対応の高性能監視カメラ活用術

2021年07月23日 12時00分更新

玄関に「ATOM Cam2」を設置してみる

 「ATOM Cam2」は防水・防塵機能を備えているので、屋外の監視カメラとしても利用できる。以前から玄関の監視をしたかったので、玄関先に設置してみた。

 防水とはいえ電子機器だし、ワイパーがなくレンズが濡れると自分で拭くことになるので、雨が直接かからない場所に設置した。ボディーは樹脂製なので、直射日光ががっつり当たるところよりは、日陰になるところの方が良さそうだ。

 設置は、付属のネジで固定するだけなので簡単だ。ケーブルはきしめんタイプなので、ドアごしに引き込めたのがありがたい。

 スピーカーとマイク機能を使ってみたところ、やり取りは可能。どうしても手が離せなければ「どちら様ですか」や「そこに置いておいて下さい」くらいの会話はできそう。ただ、有線のインターフォンと異なり、微妙なタイムラグがあるので積極的に利用したいとも感じなかった。

付属のネジで固定する

きしめんケーブルなのでドア越しで引き込めた

5分で屋外監視カメラを設置できた

不審人物を確認できる!

 「ATOM Cam2」はモーション検知機能を備えている。画面の中で動きがあったら検知し、自動録画と通知をしてくれるというものだ。自宅やオフィスを監視する場合に活躍してくれる。

 「検出設定」の「モーション検知」を有効にすればいい。自動的に12秒間の動画が録画され、クラウドに保存される。映像を見たい場合は、「録画を再生」から「検出イベント」を開き、動画を再生できる。

 しかし、「ATOM Cam2」は画角が広いので映像に映る範囲も広い。そのため、監視したい部分以外で動きがあったときにも反応してしまう可能性もある。そんな時は、設定の「モーション検知」から「検出エリア」を開き、検知したい領域を指定することもできる。

 領域を指定しても、風が吹いて木がなびいただけでアラートが出て困る、という場合は「感度調整」の設定を低くすればいい。逆に、わずかな動きも見逃したくないなら高くすればいい。

 また、モーションだけでなく、音を検知する「サウンド検出」や火災報知器やCO警報器の音に反応する「火災/CO警報気温検知」といった機能も用意されている。

映像内で動きを検知するとアラートが出る

自動録画された動画をチェックする

検知する領域を指定できる

検知する感度を調整できる

 暗いところでもくっきり映せるナイトビジョンには期待していたが、想像以上の結果が得られた。夜間の映像を確認したところ、カラーで鮮明に写っているのだが、設定を確認したところなんとナイトビジョンがオフになったまま。高感度のセンサーを搭載しており、素の状態で夜でも撮影できるのだ。人の目で見るよりも明るく映っているのには驚いた。

 ナイトビジョンをオンにすると赤外線カメラに切り替わり、モノクロ映像になるものの、ほぼ真っ暗な場所でも撮影できる。夜間に動物がうろついているのを撮影したいときに役立つだろう。

明るく見えるが午後9時近い夜間の映像だ

ナイトビジョンをオンにしたところ

アプリには何台でも登録可能!
3000円以下のコスパは◎

 アプリにはカメラを何台でも登録できる。100台以上登録して、監視業務に利用しているユーザーもいるそうだ。筆者も4台設置してみた。犬とお酒、玄関、事務所の4ヵ所のリアルタイム映像をいつでもどこでも確認でき、留守中の玄関や事務所の監視ができるのも安心だ。

 標準ではモーション検知した時に12秒間の動画を録画してくれるが、一度録画すると5分間は動作しない。そのため、検知してから13秒以降の映像が確認できないのがネックだ。もし、監視カメラとして利用するなら、「クラウドモーション検知“無制限”録画サービス」を契約する手がある。

 1台当たり月額500円かかるが、モーション検知して録画がスタートすると、動体が映像内にあるかぎり無制限に保存してくれるのが特徴だ。microSDカードに記録するわけではないので、カメラを持ち去られても映像を確認できる。ちなみに、保存期間は14日間となる。

カメラ4台の映像を同時にリアルタイムに確認できる

 遠隔地からアクセスする監視カメラはセキュリティも重要だ。第三者が不正アクセスできてしまうと、会社や自宅の中が全世界に公開しているようなものだからだ。

 ATOM Camはカメラと専用アプリの間をP2Pで接続している。そのため、接続に利用するP2Pサーバーと、ログイン情報と12秒間の動画を保存するサーバーの2つを利用している。

 すべての通信は暗号化されており、動画データは日本のAWSに保存されている。P2Pサーバーも基本的には日本のサーバーに優先的に接続する。もちろん、アトムテック側からでさえ、カメラの映像を見ることはできないようにしているそう。

 また、アプリからカメラに短時間で接続するため、毎時間数倍との通信を行い、カメラの最新情報を取得している。このキープアライブ機能は、何もしなくても1日1~2MB程度の通信をしているという。

カメラからP2Pサーバーにデバイスを登録し、スマホからリクエストがあれば接続情報を返し、その情報を元にP2Pでカメラに接続する。画面はアトムテックのブログより

 安価なスマートホーム製品はネットを探せばいくらでも出てくる。性能だけでなく安心という意味であれば、日本製を選びたいところだが、そうすると高くなってしまう。しかし、「ATOM Cam2」は1台3000円以下。どうしてこんなに安いのだろうか。

 アトムテックは日本ブランドで安いスマートホーム製品を提供している。安価なだけでなく高品質でデザイン性が高く、コスパのいい製品を目指しているのだ。

 イチから開発するとどうしても高くなってしまうので、「ATOM Cam」はアメリカで売れているOEMを活用している。2年間で600万台売れたネットワークカメラ「WYZE CAM」と一緒に開発したため、プロダクトとアプリの開発コストを大幅にダウンできたのだ。中小企業にとっては負担の大きい販管費については、直販のみにすることで抑えたそう。

 ATOM Camの安さの秘密は、可能な限りムダを省いているから。現状は薄利多売ではあるが、今は利益よりも普及を目指して頑張っている。

 手軽に遠隔地から確認できる監視カメラが欲しいと考えている人は、ぜひ「ATOM Cam2」をチェックしてみよう。コストパフォーマンスがとても良いので満足すること請け合いだ。

筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。パソコンやIT関連の媒体で、特集や連載、単行本を多数手がける。PC歴は四半世紀を超え、デビューはX1C(シャープ)から。メインPCは自作、スマホはiPhone+Xperia、ノートはSurface Pro3とMacbook Air。著書に「銀座のバーがウイスキーを70円で売れるワケ」(日経BP社)、「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)など。筋金入りのバーホッパーで夜ごとバーをハシゴしている。好きが高じて、「原価BAR」を共同経営。現在、五反田・赤坂見附・銀座で営業中。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事