
階段の上で溶けてた猫がむくっと起きてあくびするの図。猫のあくびは予備動作がわかりやすいので「くるっ」と思ったら狙うべし。個人的にはこの口を開きかけてる瞬間が好き。2021年7月 富士フイルム X-T4
梅雨が終わった瞬間、急に暑くなり、暑さに慣れてない身体はびっくりするのである。今年も去年もその前も、毎年同じではあるけれども、こればかりはしょうがない。急に暑くなると猫もびっくりするわけで、もうどうでもいいやって感じで日陰にぐったり倒れ込んで日没を待つのだけど、その熱で溶けかけた姿がまたよい。
ちょっとした高低差がある土地に建っているおうちの、玄関に向かう階段の上にへちゃげてる猫を発見。ちょうど梅雨が明け、いきなり真夏になった日だ。
名前はみやちゃん。以前、たまたまここを通りがかったとき、猫を撫でているおばさま方がいらして、教えて貰ったのである。宮城県からやってきたから「みやちゃん」というそうな。名前を覚えるのは不得手だけれども、由来も一緒に言ってもらえると印象に残るのである。飼っているわけではなさそうだけど、宮城出身とわかってるのが不思議。そこまでは聞かなかった。
へちゃっとつぶれてるみやちゃんだったが、もうちょっとアップで撮ろうとちょっと近づくと、こちらに気づいてほわーっとあくび。あくび口は全開もよいが、開く途中の七分目くらいもオススメ。ちょっと間が抜けた感じがいい。それが冒頭写真。全開の写真はこちらだ。
呼んだら近くまで来てくれた。人に慣れてる猫とはいえ、うれしいことである。
急な真夏日ゆえ、ほかにも日陰で潰れてる猫がいるに違いないときょろきょろしながら歩いてると、ほかにもいた。真夏の猫がくつろぎがちなのは、長く止めっぱなしになってて動きそうにない車の日陰。そこを上手に使って寄り添って寝てる。
1枚だけ撮って起こさないようそっと離れようとすると、その車の下にもっとへちゃげてるやつ発見。そこなら終日日陰だし、風が吹いたら気持ちよく抜けるしでよい場所である。
ただ、これを撮ってるわたしは日向にいて、しかも車の下の猫を撮ろうと地面すれすれにカメラを構える必要があり、どうしてもレンズを支える左手の甲やら、ときには這いつくばった肘やらが灼熱にアスファルトに触れて「あつっ」となるのである。しかも姿勢を低くするとアスファルトの熱がもわっときて暑いのだ。熱中症に注意すべし。
今年はまだ梅雨が明けたばかりなので、このあとは過去の夏猫から数枚。暑くて動くのめんどくさい日が暮れるまで動かないでじっとしてたいと思っても、そこが安全な場所……、つまり人に見つかりにくい場所でなければ意味がない。車の下でぐでっとしてることが多いのは、普通の人は這いつくばって車の下を覗き込んだりしないからだ、たぶん。
車の下と並んで猫に人気なのが階段。観光地の真夏の朝ともなると出歩いてる人もほぼいなくて、階段のど真ん中でどうどうと溶けてるのだ。この溶けっぷりがよかったので正面から。
最後は都内某所のホテル猫。いやホテルが飼ってるわけじゃないんだろうけど、入口の庇の上がお気に入りなようで、ときおり、出入りするカップルをチェックするかのようにココにちょこんと座ってるのだが、暑い日はそのままこのていたらく。でもなんか、ややくたびれかけたホテルと無造作に枝を伸ばしてる木と我が物顔で寝てる猫という組み合わせがいいのである。

ホテルのエントランスの庇が猫にはちょうどよい広さと高さなのだ。ホテル名はモザイクで隠してある。トリミングしてもよかったのだが、この赤い看板がいいアクセントになってたので残した。2020年9月 ニコン Z 5
まあそんな真夏ならではの猫がへちゃけてる様子はとても愛らしくてよい夏の風物詩なのであるが、コロナ禍で出歩く機会が減ってなかなか真夏の暑さに慣れないみなさまにおかれましては、熱中症に気をつけていただきたく、猫が好むような風通しがよい日陰を選んで歩いていただければと思う次第である。だからといって庇の上や車の下は無理だけど。
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筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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