FidelityFX CASはパフォーマンス改善にも利用されている
FidelityFX CASは本来画質の鮮明化的な機能だが、レンダースケール調整と合わせて利用するとパフォーマンス改善にも利用できる。先日リリースされたFSRこと「FidelityFX Super Resolution」がこの機能の上位互換となったため今後は採用例が減ると思われるが、「Cyberpunk 2077」や「The Medium」などでFidelityFX CASの応用例が確認できる。
「Cyberpunk 2077」では、低解像度でレンダリングした映像を実解像度にスケーリングする際に発生するボケをFidelityFX CASで補う実装になっている。スタティックFidelityFX CASの設定で指定する値(50〜100)が小さいほどレンダースケールは低くなる
左からFidelityFX CASオフ、75%、50%設定。Cyberpunk 2077ではFidelityFX CASの設定値を下げると内部解像度が連動して低くなるが、FidelityFX CASで補いきれない場合もある、ということになる
「The Medium」では“FidelityFXの鮮明化”(オフ/50%/100%)でシャープネスのかかり方を、“FidelityFXによるアップサンプリング”(50%/75%/100%/150%/200%)でレンダースケールを調整できる。Cyberpunk 2077と違いより高解像度でレンダリングして縮小することも可能なのだ
FidelityFX CASの鮮明化100%、アップサンプリングを50%設定にした状態。Cyberpunk 2077と同様に、全体にディテールがボケてしまっているが、レンダースケールを低く(=低解像度で処理)したことでフレームレートは90fps→193fpsに激増している
FidelityFX CASの鮮明化100%、アップサンプリングを100%設定にした状態。レンダースケールは変わっていないのでFidelityFX CASのシャープネス効果だけが効いた状態だ。フレームレートは変わらないが、レースのカーテンの表現が劇的に改善している
FidelityFX CASの鮮明化100%、アップサンプリングを200%設定にした状態。内部的には4Kでレンダリングし、フルHDにスケーリングしていると思われる。レースや木目の表現がより繊細になったが、フレームレートは27fpsに激減している
左からFidelityFX CASオフ、FidelityFX CAS 100%+アップスケール50%、100%、200%設定。The Mediumの場合レースや金網といった細かいディテールの表現においてFidelityFX CASは極めて有効だ
FidelityFX CASがフレームレートにどの程度影響したのか、ベンチマークがとりやすいゲームに限定しフルHD時のフレームレートで比較してみよう。
これらの結果から、FidelityFX CASによる鮮明化は、フレームレートへの影響がほぼゼロ〜極めて軽微であることがわかる。さらにCyberpunk 2077やThe Mediumのようにレンダースケール調整を伴う実装であれば、スケーリング設定を100より小さくすることで大幅にフレームレートは上がるが、画質は相応に犠牲になる。ただ前述の通り、FidelityFX CASとレンダースケール調整はFSRという上位機能が出てきたため、今後はFSRの利用が進むだろう。
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