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東京五輪で5Gを活用した新しいスポーツ観戦体験を! 「TOKYO 2020 5G PROJECT」が始動

2021年07月02日 12時00分更新

5Gを使った新たなスポーツ観戦を提案

 東京2020組織委員会と日本電信電話(NTT)、ドコモ、インテルの4社は7月1日、東京五輪での5Gテクノロジーを活用した、新たなスポーツ観戦体験の提供に向けた「TOKYO 2020 5G PROJECT」を実施すると発表した。

ドコモなど4社は2021年7月1日に「TOKYO 2020 5G PROJECT」を発表。東京五輪で5Gを活用した新しい競技観戦体験を提供するという

 同日に実施された発表会では、関係各者からその具体的な取り組みについて説明がなされた。東京2020組織委員会のチーフ・テクノロジー・イノベーション・オフィサーである三木泰雄氏は、東京五輪が1年延期となったことで「5Gの端末は普及してきた」とする一方、5Gのよさを実感している人は少ないとも説明。そこで東京五輪では商用の5Gネットワークを使って新しいスポーツ観戦を具現化することで、レガシーにつなげていきたいと話している。

東京2020組織委員会の三木氏

 そして三木氏はTOKYO 2020 5G PROJECTで、「距離」「時間」「空間」という3つの壁を超えたスポーツの新たな体験をしてもらうことをコンセプトに打ち出し、取り組みを進めていくとしている。その1つ目の壁となる「距離の壁」を超える取り組みとして挙げられたのが、NTTが主導して展開するセーリング競技での取り組みだ。

TOKYO 2020 5G PROJECTでは、「距離」「時間」「空間」の3つの壁を5Gで超えることをコンセプトとした取り組みを推し進めていくとのこと

 NTTの人間情報研究所 主席研究員・研究部長である木下真吾氏によると、セーリング競技は海上で実施されるため、最も離れた場所の場合観客席から試合会場が10km以上離れており、観戦には双眼鏡が必須になっているとのこと。そこで今回の取り組みでは、5Gの特徴の1つである「高速大容量通信」を生かし、レースの様子を「クルーズ船の特等席でレースを観戦しているかのような、リアルを超える革新的な創造に挑戦した」(木下氏)とのこと。

NTTの木下氏

 具体的には、競技会場に複数の4Kカメラを搭載したドローンを飛ばし、その映像を5Gでリアルタイム伝送。さらに4つのカメラの映像を、NTTが持つ高臨場感通信技術「Kirari!」を用いることで、切れ目のない横解像度12Kの高画質映像に合成。それを会場に設置された視野角50mのワイドビジョンや、東京ビッグサイトにあるメインプレスセンターに配信することで、観客、そして厳しい行動制限が課されている外国人記者に臨場感のある映像を届けるとしている。

セーリング会場での取り組み。観客席から離れた競技場にドローンを飛ばして4つの4K映像を5Gで伝送し、それを「Kirari!」で切れ目なく合成して12K映像に合成、観客席などに配信するとのこと

 2つ目の「時間の壁」を超える取り組みは、水泳競技会場で5Gの特徴の1つである「低遅延」を生かしたものになる。この取り組みを主導するドコモの理事、東京2020推進室長である古野徳之氏によると、最近テレビなどのスポーツ中継映像では、実際の試合映像に選手の情報や順位などを合成して観戦しやすくなっているというが、一報で会場で観戦する場合は臨場感を得られる一方、選手の情報などを確認するため壁のモニターなどに視線を移す必要があるといった課題があるという。

ドコモの古野氏

 そこで今回の取り組みでは、5GとARグラスを活用することにより、実際の試合会場に選手のデータや過去の世界記録などを重ね合わせ表示することで、より充実した試合体験を提供できるようになるとのこと。ただARグラスが必要になる関係上、会場で実際に体験できる人数は限られているとのことだ。

水泳競技では5GとARグラスを用い、観戦中の競技に直接選手データなどの情報を重ね合わせることで、臨場感を損なわずに観戦体験を向上できるようになるという

 そして3つ目の「空間の壁」を超える取り組みは、ゴルフ競技ででのマルチアングル映像配信であり、こちらもドコモが主導して取り組むものになるとのこと。古野氏によるとゴルフの観戦スタイルは、主に同じ場所で観戦する方法と、好みの選手を追いかけて観戦する方法の2つに分かれるという。

 そこで今回の取り組みでは、5Gの高速大容量通信を活かして複数視点での試合映像を同時に配信。それをスマートフォンやタブレットから好みの映像を選んで視聴することにより、多様な観戦スタイルで楽しめるようにするとのことだ。

ゴルフ競技会場では5Gによるマルチアングル映像配信を実施、好みの場所で複数の視点からの試合観戦をできるようにするとのことだ

 そして一連の取り組みを支えるのがドコモの5Gネットワークと、インテルの技術を活用したプラットフォームになる。インテルのオリンピック・プログラム・オフィスディレクターである松田貴成氏によると、ドコモの商用5Gネットワークにも採用されているというインテルの5G関連技術は、半導体からソフトウェア、サービスに至るまで非常に多岐にわたるのだという。

インテルの松田氏は遠隔での参加となった

 そして今回のプロジェクトの基盤には、インテルのXeonスケーラブル・プロセッサーが採用されているとのこと。インテルの技術はクラウドからコアネットワーク、基地局などの無線アクセスネットワーク、そしてエッジコンピューティングに至るまで、5Gに関連する多くの部分で活用されており、プラットフォームを支える重要な役割をはたしているとのことだ。

インテルは5Gのネットワークに向けて多くの技術を提供しており、プロセッサーだけでなくソフトウェアやサービスなども提供しているとのことだ

 なお古野氏によると、今回のプロジェクトは2018年から4者で取り組んできたとのこと。東京五輪はコロナ禍という非常に厳しい状況での開催となるが「人数制限しながらも新しいスポーツ観戦のあり方を世界にアピールし、日本の技術力をアピールできると考えている」と古野氏は答えている。

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