一般に、カメラのレンズって望遠になればなるほど最短撮影距離が短くなる。そもそも望遠レンズって遠くにあるものを大きく撮るために誕生したものだから、撮影最短距離が1mくらいが当たり前。でも最近、もっと近寄れる望遠ズームが出はじめたのである。
近くから撮れるってことは、それだけデカく撮れるってことだからね。迫力が違う。
そんな中、2021年4月にパナソニックから登場したのが「70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.」。MACROとついているとおり、ぐぐっと近寄って撮れる望遠ズームなのだ。しかも、それほど大きくない。300mmで74cm。それで目にピントをぴしっと合わせて撮ったのが冒頭写真だ。猫の顔をここまでアップで撮れて、ここまで前後がきれいにボケるのである。
いやあ、たまらん。望遠ズームなので近寄れない猫の全身写真も撮れるし、近寄れる猫なら顔のアップが撮れるという猫と遊ぶには最高の望遠ズームなのである。
というわけで、今回は猫の顔をアップで撮るぞシリーズってことでいつもの「保護猫シェルターQUEUE」にお邪魔して、室内望遠レンズ三昧してきたのだ。
カメラって撮影距離が短くなるほど、望遠になればなるほどピントの合う範囲が狭くなるので前後がボケやすくなるし、画角が狭い分背景も整理されるので、猫だけにフォーカスした写真を撮れる。目にピントを合わせると鼻がほわっとボケて可愛い。
いやもう、ほわほわですな。その代わり、ピシッと瞳にピントを合わせたい。パナソニックのS5は猫認識AF機能を持ってるけど、瞳にピシッと合わせるには1点AFでAF枠を一番小さくするか、ピンポイントAFを使う。パナソニックのカメラは伝統的に「ピンポイントAF」という、文字通りピンポイントでフォーカスを合わせる……ただしきっちり合わせる分AFに時間がかかりますよという機能を持っているので、猫がじっとしててくれるならそれを使うのもよい。
保護猫シェルターオープン時からいるのにいまだに人が苦手でいつも隅っこにいるたおくんも、望遠レンズならアップで。
では望遠で横顔を撮ってみよう。望遠でアップで撮る猫の横顔ってカッコいいのだ。カッコいいけど、目元にびしっとフォーカスを合わせるのが難しい。
1枚目は逆光で。瞳にびしっとフォーカスがきてる。2枚目は光の方を向いてていい感じなのだけど、ほんのちょっとだけAFが手前にずれてしまった。難しい。でも横顔のカッコ良さは伝わるかと思う。骨格の違いにも注目。
では望遠で近づけシリーズ最後はうちのかふか。ぎりぎりまで近づいて撮影。ここ、瞳がちょっと大きいことからわかるようにあまり明るくはないのだけど、手ブレ補正が強力なので大丈夫。その辺はさすがイマドキのミラーレス。
ここで瞳を拡大してみよう。
部屋の散らかった様子が(まあ書庫兼納戸の部屋なので散らかってていいのであるが)バレバレ。てなわけで、望遠レンズでの近距離撮影を「テレマクロ」と呼ぶんだけど、猫のテレマクロは楽しいので、室内望遠ってのもオススメ。望遠ズームレンズを買うときは、最短撮影距離(あるいは最大撮影倍率)も要チェックだ。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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