フランスのテックイベント「VIVATECH 2021」開催
フランスから欧州全体へ、スタートアップ促進を拡大
フランスのスタートアップイベント「VIVATECH 2021」が6月16日、パリで開幕した。初日の基調講演では、フランス大統領のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)氏が登場、欧州の起業家たちの前で次の取り組みに進めるとして「Scale-up Europe」を紹介した。
今年で5回目のVIVATECHは、新型コロナを鑑みてリアルとオンラインのハイブリッド型となった。今年も4日間の会期中、Apple、Google Cloud、Facebook、IBM、Zoomの各CEOが登場するなど、豪華な顔ぶれが揃う。
オープニングでは、イベントを主催するPublicis Groupeの監査役会会長でイベントの共同チェアを務めるモーリス・レビィ(Maurice Levy)氏が、2020年は中止せざるを得なかったことに触れながら、今年の開催を祝った。そして、「コロナになってさまざまな生活や活動が変化して以来、おそらく世界で初の大型リアルイベントになった」と胸を張った。
レビィ氏は続いてフランス政府でデジタル経済大臣セドリック・オ(Cedric O)氏を招き、フランスおよび欧州におけるスタートアップの状況について語った。
VIVATECHについてオ氏は、「フランスのテック業界にとって重要なイベント。(初回開始以来)エコシステムが大きく成長した」と述べた。フランスのテック企業としては、6月に音楽レーベル・音楽配信技術のBelieveがEuronextにてIPOを実現して話題となったが、フランス政府のスタートアップ支援やVIVATECHが後押しになっていると分析する。
このような成果が出てきていることから、「次のレベルに進む段階」として、オ氏は「Scale-Up Europe」イニシアチブを紹介した。同イニシアチブは、これまでのフランスの取り組みを欧州レベルに引き上げるもので、マクロン大統領が2020年末に発表した。欧州の起業家、投資家、大企業などを集めて、「欧州人、欧州大陸として、どのように起業家を歓迎し、テックの将来を設計するかを議論する」とオ氏は説明する。
オ氏はまた、テック業界は「白人、男性が主流」として、ダイバーシティの重要性にも強調した。
マクロン大統領のアドバイザーとも言われるオ氏は、政府としてさまざまな取り組み分野がある中でスタートアップにフォーカスする意義について、「新型コロナのワクチンを開発したModernaはスタートアップ。このように、スタートアップは小さいが素晴らしいニッチ技術を開発する存在であるだけではなく、我々の生活の一部になっている」と説明し、米国や中国などに頼るのではなく「欧州に価値を創出していかなければならない」と述べた。
その後登壇したマクロン大統領は、「フランスには優秀な人材、精神があり、創造の国。素晴らしい土台がある」と述べる。「これを結実させ、国外からもタレントを惹きつけ、資本の流動化を進めることで、スタートアップに素晴らしい環境を提供してきた」とこれまでを振り返った。
2020年の資金調達額が2017年から倍増したことなどを挙げ、次の目標として欧州全体でスタートアップを育む「Scale-Up Europe」を進めていく、と述べた。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります