スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookの第3戦が5月21~23日に富士スピードウェイで行なわれ、ASCII.jpで密着レポをしている、冨林勇佑選手が乗る39号車「エアバスターWinmax RC350 TWS」は、ST-3クラス5位でレースを終えた。
豪雨のせいで予選が中止!
不完全燃焼のまま24時間レース本番に
シリーズで一番の長距離レースとなる富士24時間レース。与えられるポイントも大きいため、チャンピオン争いを考えると何としても優勝がほしい1戦だ。特に冨林の乗る39号車は、開幕戦のもてぎ、第2戦のSUGOともにクラス2位とあと一歩の結果となっている。それだけに、この富士で勝利を掴みたいという気合いは並々ならぬものがあった。
そんな中、週末の出だしから思わぬハプニングが生じた。金曜日に公式予選が行なわれる予定だったのだが、朝から富士スピードウェイは豪雨に見舞われてしまった。本来12時00分から始まる予定だったセッションは開始時刻を延期することとなり、天候回復を待ったが、一向に雨は止む気配がなく、最終的に予選は中止となった。決勝グリッドに関しては前戦までのポイントランキング順で並べられることとなったが、39号車は雨を得意としているだけに不完全燃焼な思いを残したまま決勝を迎えることとなった。
24時間のスタートはドライ!
しかしトラブルが徐々にマシンを蝕み……
決勝日は雨も止み、曇り空ではあるもののドライコンディションでスタートが切られた。クラス3番手からのレースとなった39号車は、序盤から安定した走りをみせてポジションをキープ。マシンのパフォーマンスという点ではライバルも手強いこともあり、無理に勝負を仕掛けていくよりは、自分たちのペースを守って、ミスやトラブル、ペナルティーを出さないレースを心がけた。
ところが、序盤から39号車のパワーステアリングにトラブルが発生してしまった。最初はなんとか症状を解消するために試行錯誤を繰り返し、誤魔化しながらの走行を続けていたが、夜のスティントに入ったところでトラブルが深刻化してしまった。これにより徐々にクラストップとの差が広がっていく……。
さらにスタートから7時間30分を迎えたところで、ちょうど冨林が乗っているタイミングでST-Xクラスの車両と接触してしまった。ペナルティの対象等にはならなかったが、それでフロントのアライメントが狂ってしまうダメージを受けてしまい、さらに後手を踏む展開となってしまった。
レース開始から12時間の時点でクラストップとは20周もの差がついてしまい、逆転はかなり難しい状況となったが、それでも39号車陣営は諦めずにゴールを目指して、ひとつでも上のポジション、少しでも多くのポイントを稼ごうと周回を重ねた。
最終的に670周を走破し、クラス5位でチェッカーフラッグを受けた。開幕戦からのライバルである52号車「埼玉トヨペットGB クラウンRS」より前でレースを終えられたため、ランキングでも彼らを逆転できたのだが、トラブルで思うように走れなかった24時間ということで、ピット内はどことなく“悔しさ”がにじみ出ていた。
同チームの41号車はクラス2位表彰台を獲得!
また41号車「エアバスター55Garage RC350 TWS」もレース序盤にパワーステアリングのトラブルを抱えたが、こちらは早い段階にトラブルが解消され、ペースよく周回。上位のライバルの脱落にも助けられ、見事クラス2位表彰台を勝ち取った。
デルタモータースポーツ 田中延男代表コメント
「24時間レース、長かったですね。39号車はクルマも速いし、ドライバーもいいんですけど、パワステが効かなくなるトラブルが多発しました。走行中にスイッチを切ったり入れたりしていたんですけど、そのまま走るのは難しいということになり修理することにしました。それに時間がかかってしまいました。あと接触があったことで順位も落とす形となりました。レースだから仕方ないことですし、結果は結果です。
41号車は今回スポットで起用した若い子たちが速かったのと、パワステのトラブルが1回だけありましたが、順調に走れたのが大きかったです。これで41号車が2位に入ってポイントも稼げたので、こちらもチャンピオンを狙える位置に来ました。これでST-3クラスは団子状態になったと思うので、昨年は52号車と我々の一騎打ちでしたが、今年は今までにない面白い展開になるんじゃないかなと思います。チームとしてはどちらかのクルマがコンスタントに表彰台に上がっているので、スポンサーさんに対しても良い報告ができて良かったなと思います。
あと、できればAドライバーだけでも予選をして欲しかったですね。「僕たちは速いんだよ」というアピールになりますし、そこは我々も自信がありますからね。そこは天候なので仕方ないですが。まぁでも……今年の24時間は疲れましたね(笑)」
冨林勇佑選手コメント
「今回は色々ありすぎて大変でしたが、予想していたもものとは全然違う展開になってしまいました。タイヤもどれくらい持つか分からなかったし、(レースが)荒れることは分かっていたので、とにかくセーブしていくことを心がけていました。しかし、41号車ともどもパワステのトラブルが出てしまいました。スイッチ類を入れたり切ったりすることで、なんとか誤魔化しながら走っていましたが、62号車と52号車のペースが速かったので、とにかく自分たちのペースを守って、24時間後にうまく逆転できていれば良いなというプランで走っていました。
ですが、22時ごろにパワステが完全に壊れてしまって30分くらいピットに入ることになってしまいました。
(GT-Rとの接触では)僕は完全に避けていたんですけど、向こうが僕のことを見えていなかったようで、被せてくる感じになりました。ちょうど僕がステアリングを切っている時に当たったので、そこでアライメントが狂ってしまいましたが、ちょうどセーフティカーも出たの大きなロスなく復帰できました。そこからは思いの外ペースもよく走れましたが、62号車はノートラブルで最後まで良いペースで走っていたので、そういう意味では今回付け入る隙はなかったですね」
大島和也選手コメント
「正直、今回は速さの部分で若干劣っているのかなと思っていましたが、それでも序盤からトラブル続出という感じでした。まずはパワステのトラブルが出てしまい、その対応に少し時間がかかりました。チームがすぐに対処してくれましたが、その後もちゃんと機能するのか不安がある中での走行でした。さらに夜の冨林選手のスティントでGT-Rとの接触があって、フロントのアライメントがずれてしまいました。その後に僕も乗りましたが、左右でフロントの曲がりに違いがあって、そこへのアジャストにも苦戦してしまいました。
昨年は僕たちが我慢のレースをする中で周りが壊れていって良い思いをすることができましたが、年々各チームのレベルも上がってきていてトラブルも出にくくなっています。だから、そういう(周りが脱落する)ことばかりに期待していてはいけないのだなと、今回改めて感じました。自分たちの走りもクルマも、もっと精度を高くして突き詰めていかないと。24時間の長距離ですが、気持ちとしてはスプリントレースを走るくらいの感じで全力でいく意気込みがないと(優勝は)厳しいですね」
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