週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

【連載】魚界のベストファーザー賞! クロウミウマ

2021年06月14日 10時50分更新

 みなさん、こんにちは!

 横浜・八景島シーパラダイスの飼育員がお届けする「生きもの日記」。

 第3回は「アクアミュージアム」で魚類を担当する小林はるかがお伝えします。

 前回の記事はこちら。

【連載】今日も元気! 3月17日に生まれたケープペンギンのヒナをご紹介

※過去の連載記事はこちら:横浜・八景島シーパラダイスの飼育員生きもの日記

 今回ご紹介するのは「クロウミウマ」!

 名前になじみがない方もこの姿を見ればわかりますよね?

 そう、クロウミウマはタツノオトシゴの仲間。

 体は小さいですが、魅力がたっぷり詰まっています!

 なんといってもこの見た目! 魚とは思えない不思議な形をしています

クロウミウマの尾

一般的な魚の尾びれ

 タツノオトシゴには尾びれがなく、代わりに細長い尾を海藻などに巻き付けて暮らしています。

タツノオトシゴの口

 この細長い口では動物プランクトンや小魚を吸い込むようにして捕食。

 水槽に耳を傾けると、餌を吸い込むたびに「パチンッ」という音が聞こえてきます。

 そして、タツノオトシゴの仲間にはほかの魚にはない不思議な生態が。

 それは… オスがお腹の中で卵を育て出産するということ。

 とっても“イクメン”な魚なんです!

 そんな魅力たっぷりのクロウミウマですが、実はクロウミウマを含む大型のタツノオトシゴは漢方として重宝されているため、乱獲されて数が減少し、絶滅危惧種に指定されています。

 このように絶滅の危機にある動植物の採集・捕獲を制限し、繁殖の手助けを行うことを「種(しゅ)の保存」といい、横浜・八景島シーパラダイスではこれ以上野生下の個体を採集しなくていいように他園館と協力して繁殖に取り組んでいます。

 ここからは横浜・八景島シーパラダイスでの繁殖の様子をご紹介します!

 オスのお腹にある袋状のものを「育児嚢(いくじのう)」といい、オスは育児嚢をふくらませてメスに猛アピール!

求愛行動をするオス(右)

 カップルが成立するとメスはオスの育児嚢に卵を産みます。

 ここからオスの子育てがスタート!

 オスは育児嚢で卵を大切に育てていきます。

 そして2週間ほどすると…

 ぶわっと! 小さなクロウミウマが出てきました!

 これは飼育員でもなかなか見ることができないとても貴重な瞬間。

 ちなみに私は1度しか見たことがありません…

<0日目>

 こちらが生まれて間もないクロウミウマ。

 大きさは8mmほどしかありませんがしっかりと親と同じ見た目をしています!

<14日目>

 ようやく2cmほどに。

<60日目>

 大人と同じ餌を食べられるようになりました。

 そして先月、子どもたちは大人たちの暮らす展示水槽にデビューしていきました。

 大人と比べるとまだまだ小さいですが、これからの成長が楽しみです!

 ぜひクロウミウマに会いに横浜・八景島シーパラダイスに遊びに来てくださいね。

 次回は7月を予定しております♪

横浜・八景島シーパラダイス
公式ウェブサイト:http://www.seaparadise.co.jp

■シーパラ公式SNSでも生きものの魅力発信中です!
Twitter   :https://twitter.com/_seaparadise_
Instagram:https://www.instagram.com/seaparadise_official/
Facebook :https://www.facebook.com/hakkeijima.seaparadise/

文/小林はるか

埼玉県出身。2018年に株式会社横浜八景島に入社、飼育歴4年目。魚類では主にタツノオトシゴ、サメやエイなどの板鰓(ばんさい)類を担当。甘いもの、ジェットコースターが大好き。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事