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8月Ryzen 5000G発売&モバイル向けRadeon RX 6000M発表! AMDがCOMPUTEX 2021で発表した注目ニュースはこれだ!

2021年06月01日 14時45分更新

 2021年のCOMPUTEXは、昨今の社会情勢を反映してオンライン開催となり、YouTubeやTwitchといった配信サービス上で様々な発表が行われた。もちろんAMDもそのひとつ。今回はCOMPUTEX 2021開催直前にメディア向けに開催されたブリーフィング(“こういう事言いますよ”的な説明回)の内容と、YouTubeで配信されたリサ・スーCEOのセッション内容から、注目すべき発表内容を抜粋して紹介する。個々の内容の詳細については、大原氏の連載をお待ち戴きたい。

Ryzen 5000Gシリーズは8月販売開始。“無印版”を置き換える存在

 空前のビデオカード不足の中、今最も期待されているのは高性能内蔵GPUを搭載したRyzen APUの登場だ。既に4月の時点で、AMDはZen 3ベースのAPUである「Ryzen 5000Gシリーズ」の存在を公にしていたが、その時点では“OEM向け”としか発表されなかった。

 しかし、AMDは方針を転換し、8月に「Ryzen 5 5600G」「Ryzen 7 5700G」の2モデルをパッケージ版として販売すると表明した。北米における予想価格はRyzen 5 5600Gが259ドル、Ryzen 7 5700Gが359ドルとなっている。Ryzen 5000Gシリーズこそが、Zen+ベースのRyzen 3000Gシリーズ(2019年)の“正式な”アップグレードソリューションという訳だ。Ryzen 4000Gシリーズの単体流通が見送られたのは、Zen 2とZen 3が“(性能的に)近かった”ため。結果としてRyzen 4000Gシリーズのパッケージ版はスキップされ、5000Gシリーズ投入に至ったようだ。

内蔵GPUを搭載したRyzen 5 5600GおよびRyzen 7 5700Gのパッケージ版が正式に決定

Ryzen 5000Gシリーズの北米予想価格はこの通り。このご時世、これを単純にドル円換算した値段にどこまで近づけられるか注目だが、国内販売価格は後日明らかになるだろう

 さらに、AMDはRyzen 5000Gシリーズは既存のRyzen 5000Xシリーズのラインナップを補完する存在であるということも強調していた。つまりRyzen 5000シリーズの“無印版”や“低TDP版”は(パッケージ版として)出ないかわりに、Ryzen 5000Gシリーズがその穴埋めをすることになる。Ryzen 5 5600Xの発表時価格が299ドル、Ryzen 7 5800Xが449ドルであるため、Ryzen 5000Gシリーズは“X付きより1ランク落とした価格設定のCPU”として扱われていることは確かだ。

 グラフィックパフォーマンスについては、CUが8基または7基に絞られているため描画負荷の軽いゲーム向けのものとなる。AMDは「Fortnite」「CS:GO」「Warframe」「Rogue Company」といったタイトルを挙げており、Rocket Lake-S世代のCPUに対し“最大”1.5〜2.4倍のパフォーマンスを発揮できるとアピールした。さらに「Davinci Resolve」や「Blender」などのクリエイティブ系アプリにおける性能も“最大”1.09倍〜1.63倍というデータを掲げており、Ryzen 5000Gシリーズの性能にかなりの自信を持っていることがうかがえる。

「Rogue Company」では、Ryzen 7 5700GならフルHD“High”設定で平均78fps出せると主張

Ryzen 7 5700G対Core i7-11700Kを対決させた場合、クリエイティブ系アプリでは最大1.63倍、ゲームでは最大2.45倍のパフォーマンスが得られるとしている。先のRogue Companyのデータと合わせると、Core i7-11700Kだと平均32fps程度しか出ないが、Ryzen 7 5700Gなら平均78fpsということになる

 さらに、ビジネス向けAPUである「Ryzen PRO 5000」シリーズが投入すると予告した。今年3月に発表のあった“モバイル向け”Ryzen PRO 5000シリーズのデスクトップ向けであるが、要はセキュリティー機能(AMD Shadow Stackなど)を追加したRyzen 5000Gシリーズのことである。デスクトップ向けのRyzen PRO 5000シリーズは型番末尾「G」および「GE」の2ライン構成となり、GはTDP 65W、GEはTDP 35Wとなる。それぞれにRyzen 3/5/7が1モデルずつ用意されており、いずれもZen 3ベースのAPUとなる。

 このTDP 35W設定のGEシリーズは日本で発売されれば相応に受けることは確実だと思われるが、一般販売については一切言及がなかった。Ryzen PRO 4000Gシリーズ(Renoir)のように国内販売の実現を期待したいところだが、Ryzen 5000Gシリーズが一般向けに開放される以上、PROのGEシリーズが個別販売されることはかなり厳しいとみてよいだろう。

 ちなみに、事前ブリーフィングではRyzen 3の存在は影も形もなかったが、後日配布された資料ではRyzen 3も入っていた。COMPUTEXの基調講演でも触れられていなかったが、ここからは事前ブリーフィング後に配布された資料から、興味深い図を抜粋し、解説することにしよう。

デスクトップ向けにもRyzen PRO 5000シリーズが投入される。最大8コア構成、かつ“Power Efficient”な製品であることが強調されている

Ryzen PRO 5000シリーズはTDP 65Wの“Gシリーズ”、TDP 35Wの“GEシリーズ”があり、それぞれにRyzen 3/5/7が1モデルずつ用意される。Gシリーズは小型のフォームファクター向け、GEシリーズは超小型フォームファクター向けという位置付けとなる

デスクトップ向けRyzen PRO 5000シリーズは既に発表済みの“5000Uシリーズ”および“PRO 5000シリーズ”(ともにモバイル向け)の流れをくんだ製品で、これらは全て開発コード“Cezanne”に属する製品である

ビジネス向けPCの分野でもAMD製CPUを搭載したモデルは2018年から2021年で2.3倍に増え、マーケットシェアは2017年から2020年で2倍に増えたと主張。シェアの方は元の数値が分からないと評価しようがないが、搭載モデルが増えているのは当然の流れといえる

Ryzen PRO 4000シリーズと5000シリーズの違い。Zen 2からZen 3に変化し、L3キャッシュも倍増。そしてセキュリティー関連は3つの新機能が実装されている

Ryzen 7 PRO 4750G対Ryzen 7 PRO 5750Gの比較。CINEBENCH R20のシングルスレッドで15%、マルチで11%向上。Zen 3ベースになったことで性能は向上している

こちらはCore i7-11700対Ryzen 7 PRO 5750Gとの比較。CINEBENCH R20のシングルスレッドでは微妙に負けるが、マルチでは逆に14%上回っている

さらに、Core i7-11700対Ryzen 7 PRO 5750Gの性能比較。PCMark10のProductivityテストグループ(LibreOfficeの処理)ではRyzen 7 PRO 5750Gが最高46%上回っているほか、PhotoshopやBlenderといったクリエイティブ系アプリでもRyzen 7 PRO 5750Gが強いと謳っている

Ryzen PRO 5000シリーズは純粋な性能だけでなくワットパフォーマンスにおいても第11世代Coreプロセッサーより高いとアピール。ビジネス向けPCの半分以上は小型(一体型含む)であるから、性能を犠牲にせず静かで熱くなりにくいRyzen PRO 5000シリーズは強いと主張している

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