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【連載】都市のデジタルツインって!? <東京都3Dビジュアライゼーション実証プロジェクト>

2021年05月26日 10時00分更新

※新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。

新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。

 東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部です。(旧 次世代通信推進課note)。デジタルサービス局は、デジタルの力を活用した行政を総合的に推進し、都政のQOSを飛躍的に向上させるため、新たに設置した組織です。その中で、ネットワーク推進課は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。

 都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。

 前回の紹介記事はこちら。

【連載】オフィス街西新宿をつながる街に! 西新宿スマートシティ協議会について

※過去の連載記事はこちら:東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部ネットワーク推進室(旧 次世代通信推進課note)連動企画

 今回は次世代通信推進課の隣のチームが進めている、都市のデジタルツインの実現に向けた関連事業「東京都3Dビジュアライゼーション実証プロジェクト」についてご紹介します。

【ご意見募集】都のデジタルツインの取り組みに関するご意見やご提案をお待ちしております!R3年度の取り組みの参考にさせていただきます。
デジタルツイン実現プロジェクト」ご意見・ご提案フォーム

1.デジタルツインって何ですか?

 『センサー等から取得したデータをもとに、建物や道路等のインフラ・経済活動・人の流れ等の様々な要素を、サイバー空間上に「双子(ツイン)」のように再現したもの』が公式の説明ですが、ややイメージしにくいかもしれないです。

 某ネコ型ロボットのひみつ道具で言えば「入りこみ鏡」「あべこべ世界ミラー」「逆世界入り込みオイル」(類似の道具がこんなにあるとは調べるまで知りませんでした)です。違いは以下3点ぐらいで、かなり近い存在です。

 (1)別に鏡面世界ではない
 (2)あべこべにならない
 (3)フィジカルでは入り込めない

 漫画・アニメ界隈でのジャンルで言えば「異世界もの」。その中でも近未来を描いた「ソードアートオンライン」における「アンダーワールド」の思想にかなり近く、デジタル空間において世界そのものを運営することです(原作小説・アニメとも良作ですので緊急事態宣言のお供に是非)。

 ゲーム界隈でいえば、再現都市を舞台とした作品は過去より多数存在します。技術進化によりまるで「本物のような」バーチャル空間に驚く方も多いと思います。

 つまりは「デジタル空間にリアルタイムに情報を反映させた、東京のコピーつくっちゃいましょう」プロジェクトです。

2.デジタルツイン実現にむけ、始動

 デジタルツイン実現の第一歩として、今年度「3Dビジュアライゼーション実証事業」を実施しています。この事業では、デジタルツインについて都民の方々の理解を深めるために、デジタルツインの活用方法に関する実証実験や完成後の利用イメージ動画を作成しました。

 上記のような文字の説明だけだと活用方法は想像しにくいと思います。動画にすることで、都民の方々がイメージしやすくなることを目指して取り組んでいる事業です。

 令和3年度は、デジタルツイン実現プロジェクトにおいて、より高度な実証実験に加え、完成までのロードマップ策定を有識者のご意見を伺いながら目指していきます。

3.何ができて、何のためにつくるのですか?

 3Dで地図を作成することになると、2Dでは実現できなかった「視覚効果」と「シミュレーション」、つまりは「おためし」ができるようになります。

 たとえば災害発生時の被害拡大予測や、新たな建物を建築するときの周辺環境への影響等が「視覚的に」理解しやすくなりますし、発災時を想定してより精緻な「シミュレーション」が可能となります。

 ほかに、いくつかものユースケースが想定されており、今回のプロジェクトではそれらを動画で分かりやすくお伝えできる形にして、公開しました。

【日照や風向のシミュレーション】

 →新たな建築計画等における周辺環境への影響が可視化されます。

【街の混雑状況の可視化】

 →行動変容施策の検討や政策効果を事前算出できます。

【オフィスの疎密状況可視化】

 →オフィスにおける疎密情報を関係者あて配信することで安心・安全の一助に。

ちなみに英語訳バージョン/内容は同一もあります。

【日照・風向動画】

【街の混雑動画】

【オフィスの疎密動画】

 その他、防災シミュレーションや地下埋設物の見える化、防犯や観光分野等多方面に渡る活用が期待されています。様々な分野において事前にシミュレーションすることで、リアル世界をより良いものにすることができるのです。

 ただし、データの質の維持管理も大きな課題の一つです。3D都市モデルの範囲を横にも縦(地下空間含む)にも拡張してく必要があります(図のA)。また、最新情報を常に更新していれば、自動運転等の様々な利用価値が期待できます(図のB)。利用用途によっては高い精度のデータが必要となります(図のC)。例えば、バリアフリー分野においては2cmの段差情報が利用者にとって有用である、という結果が本年度の実証事業によって明らかになっています。

 こうした課題の解決法や今回ご紹介したものとは別のユースケースの可能性については、今後もいろいろな有識者の方々とのコミュニティや場を通じて話し合っていきたいと思います。

4.簡単に作れそうなイメージですけど・・・

 最後に、「簡単に作れそうなイメージですね」という感想をいただくことがありますが、実際は簡単そうに見えて、現時点では構築は非常に難易度が高いことをお伝えしておきます。

 なぜなら必要な情報すべてを網羅しているデータベースが存在しないためです。

 だからこそ、あちこちに散らばる民と官のデータを重ねて構築する必要があります。

 それぞれのデータの形式も違うので、うまく接合しなければぐちゃぐちゃな表示になってしまいます。東京都水道局や下水道局からいただいたデータも統合を試みましたが、同じ都庁内でも形式に差異はどうしても存在します。精緻なリアルタイムシミュレーションを行うには大量のデータを一つの画面で表示する必要があるし・・・、と課題は山積みです。

 だからこそデータとデータとの間をつなぐ官民連携データプラットフォームが必要です。安全・安心にデータのやりとりができる場の提供を目指し、ルール策定や関連事業を展開しております。

 かつては携帯電話や飛行機は空想の産物でした。

 本気で空想を現実にしようとした方々の汗と涙の結晶が世に浸透していると理解しております。

「Everything you can imagine is real.(想像できる事は実現可能である)」

 かの有名なウォルト・ディズニーの金言を胸に刻み、まだ見ぬデジタルツインの実現に向けて日々前進していきます!

 https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/

 ◆この記事は、下記より転載しています
 https://note.com/smart_tokyo

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