4月16日の発売が決まった「SRS-RA5000」。製品の概要は、同時発表の「SRS-A3000」とともに記事になっている。新しいオーディオフォーマット「360 Reality Audio」に対応し、ワンボディーで6.1chの再生をするため、上方に3基のスピーカーを向けた、独特な形状も特徴的だ。
360 Reality Audioとは?
360 Reality Audioはソニーが2019年1月のCESで発表した新しいフォーマットだ。
その年の秋には「Amazon Music HD」などで楽曲の配信が始まった。ほかにもDeezer、nugs.net、TIDALといった、高音質を重視する海外の配信サービスが提供してきた。現在の楽曲数は4000曲程度と発表されており、国内アーティストのコンテンツは、そのうちの数百曲程度とされる。4月に合わせて配信が始まったものもあり、ソニーグループ以外の大手レーベルが参加しているのも特徴となる。
技術的には、MPEG-H 3Dオーディオという規格に基づいている。ソニーと(MP3の開発で知られる)フラウンホーファーが共同で仕様書を作成している。ファイル(コンテナ)はMPEG-4形式で、ビットレートは1.6Mbps程度。これは非圧縮のCD(1.44Mbps)よりも少し大きいサイズで、ロスレス(FLAC)のハイレゾ配信ほどではないが、既存の音楽ストリーミングサービス(Spotifyの最高品質の場合、320kbps)よりは広い帯域が必要だ。
3Dオーディオなどとも表現されるが、ドルビーアトモスなどと同様、オブジェクトベースとなっているのがフォーマットの特徴だ。オブジェクトベースのフォーマットでは、リスナーを中心にした半球状の音場を作り、その中の指定した座標に楽器、声、効果音などを自由に配置できる。360 Reality Audioの場合、オブジェクト数は最大10個/16個/24個のいずれかが選べるとされている。
誤解されやすいが、オブジェクトオーディオの再生には、サラウンドスピーカーや天井スピーカーが必須ではない。スマホやPCなど、ステレオ再生の機器でもドルビーアトモス対応をうたっている場合があるように、2chでも利用できる。ここがあらかじめ再生するチャンネル数(5.1ch、7.1chなど)を決めて、それに合わせてどのスピーカーから音を出すかの割り振りをする、従来のサラウンド規格との違いだ。スピーカーの数(チャンネル数)に関わらず、計算によって、指定した位置に音が定位するように処理するのがオブジェクトオーディオだ。
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