ドコモは2021年3月5日、パシフィコ横浜にて「Minatomirai 5G Conference -Innovation city YOKOHAMA-」を開催。5G時代における街づくりや地域の活性に関するセミナーやニューノーマルに対応した働き方のデモンストレーションなどが、会場およびオンラインにて披露された。
会場では5Gを活用した技術やサービスが展示されており、久留米工業大学とNTTドコモが提携して開発した「対話型AI自動運転車いす」も披露。これは2020年11月に発表された「対話型AI自動運転車いすパートナーモビリティのリモート手助け協同検討に関する覚書」に基づいて実施されており、電動車椅子に5G通信機能を搭載し、「エッジAI対応5Gデバイス」で自動操縦や遠隔操縦が行なえるようになっている。
電動車椅子はウィルから市販されている「WHILL Model C2」を使用。背もたれの後ろにポールが立っており、先端にはセンサーとしてウェブカメラと360度カメラ、ライダーを装備し、遠隔操作時にオペレーターへ映像を送信できるようになっている。
肘掛け付近にはスマートフォンが搭載されており、この画面と音声を使って目的地の設定などを行なう。今回の展示ブースはショッピングモールという設定で、車椅子に乗り込んでサービスをスタートさせると「ご案内できるのは食器売場とぬいぐるみ売場です。どちらにいたしましょう」と音声ガイダンスがスタート。「食器売り場」と話すと目的地設定のアナウンスがあり、設定された食器売り場まで自律運転で移動した。
また移動中や移動先では、AIやオペレーターとのやりとりも可能。商品説明なども受けられるようになっている。こうした自律運転型の車椅子はほかでも実験が行われているが、今回の「対話型AI自動運転車いす」でポイントとなっているのが「5G通信」であることと、「エッジAI対応5Gデバイス」の搭載だ。
今回の展示では5G通信を使って「ドコモオープンイノベーションクラウド」へと接続。ドコモ内でのネットワークで閉じているため、高速かつ低遅延でセキュアな通信を実現している。会場での説明によると、映像の遅延は今回の場合400msecとのこと。これによりオペレーターの遠隔操作も遅延なくスムーズに行なわれるため安心だ。
またプライバシー保護のため、車椅子のカメラが映し出している映像に人が映り込むと、顔の部分にモザイク処理をしているが、この処理を「エッジAI対応5Gデバイス」で行なっている。つまり車椅子から映像がオペレーターに送られる時点で、すでにモザイク処理された映像となっており、オペレーターは遠隔操縦で映像を見ても、そこに誰が居るかなど分らないようになっている。
商用化は2022年度を目指しているとのこと。5Gのエリア整備も重要なポイントとなるが、こういったサービスが場所を問わず導入できるような社会システムの構築に期待したい。
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