【連載】YOUは何しに都庁へ? 〜デジタルシフト推進担当課長1周年記念座談会〜 前編
※新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
東京都 戦略政策情報推進本部 次世代通信推進課です。
戦略政策情報推進本部は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。
都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。
前回はこちらをご紹介しました。
■【連載】データ流通のあり方を問うポリシーデザインプロジェクトについて<官民連携DPF>
※過去の連載記事はこちら:東京都 戦略政策情報推進本部 ICT推進部 次世代通信推進課note連動企画
こんにちは、平井と申します。デジタルシフト推進担当課長を務めています。
2019年12月16日に東京都庁に9名のデジタルシフト担当課長が転職し、1年が経った2020年の年末、私の急な思いつきで1周年を記念して緊急座談会を開催しました。
出向や官民の人事交流制度でもなく、長年勤めてきた会社を辞めるという退路を断ち、転職してきた同期9人で、都庁に来てからの1年を振り返りました。思った以上に盛り上がったため、前後編2回に分けた連載形式でお届けします。
前編では、なぜ都庁に入ったのか、都庁に入る前のバックグラウンドと現在の業務について語ってもらいました。それでは、どうぞお楽しみください!
~座談会開始~
平井:みなさん、お集りいただきありがとうございます!とうとう、1年経っちゃいましたね。せっかくだから、1年振り返りましょう。まず、希望をもって、都庁に入ってきたと思いますが、なぜ都庁に入ろうと思いましたか? きっかけを教えてください。
なぜ都庁へ転職?そのきっかけは?
長岡:社会人としてのキャリアが10年を超え、よりダイレクトに社会貢献に繋がる仕事をしたいという気持ちが高まっていた。そこにデジタルシフト推進担当課長の公募を目にして、迷わずチャレンジすることを決めました。
澤田:恩師の影響もあり機会があればより良い社会にする活動に参加したいと考えていた。とはいえ、自分は師(例:看護師、教師)ではない…
そんなある日、都の公募を見て、これなら経験を活かすことができると思い今日に至ります。
加藤:約10年前に官民交流人事制度で2年間ほど経済産業省の商務情報政策局にお世話になりました。その時はじめてビジネスを通じて社会に貢献する以外の別の仕事の仕方がある事を知り、また公的で社会的意義がある仕事を日夜遅くまで働いている方々と一緒に仕事をすることで大変刺激を受けました。と、同時に役人特有の様々な非効率な仕事にもうんざりしていました。
ただ、当時は若く経験もなかったのでこうしたらいいのに。という思いだけであっという間に2年が過ぎてしまった。という感じだったので、いつか経験を積んだらまた違う貢献の仕方があるのではと思っていた矢先にデジタルシフト推進担当課長の公募を聞いたので応募しました。
内田:採用ページに書かれていたスマート東京の理念に共感したのと、逆引きして考えたら意外と自分にも貢献できることがありそうだったから。未知の領域、手付かずに見えたので後先考えずにデジタルシフト推進担当課長職で飛び込んでみたら面白いんじゃないかと思いました。
平井:直接のきっかけは、エンジニアとして尊敬する先輩の何人かが、都庁の募集を「面白そう、もう少し若かったらチャレンジしたかも」と言っており、自分だったらチャレンジできるタイミングだと気づかされ、興味を持ちました。
興味を持った後、東京都のTOKYO Data Highway(TDH)基本戦略やスマート東京の取組を調べる中で、『世界をつなげる』『日本をアジア太平洋のインターネットのハブにする』という自分の野望と、東京が世界の都市間競争に勝っていくことは矛盾しない。むしろ、必要な取組だと感じ、それに貢献するチャレンジを求め、転職しました。
岡田:転職するつもりは全然無かったが、知人がシェアしていた募集要項を見て、自分が呼ばれている気がした。多くの人に直接役立つ仕事をしてみたいと思ったからです。
近藤:前職までで、インターネット広告からデジタルマーケティングと活動フィールドを拡大してきたが、もっと生活者に密接したIT/IoTの利用シーンでDXの推移に自分の経験を活かせるのではないかと考えました。また、今までも活動フィールドを拡げる、自身をアップデートすることを意識してきましたが、都庁での仕事はまさにそれに合致すると思えたからです。
友光:前職の同僚から募集があることを聞き、TDH構想に携帯電話の電波測定・品質改善の経験を活かして、貢献できるのではないかと思ったからです。
西村 唯:デジタルシフト推進担当課長の任務にチャレンジしたきっかけは「3つ」ありました。
1つ目:デジタルの力で『不』の課題解決によって、多くの人々に貢献したい。
2つ目:宮坂さんが発表した「TOKYO Data Highway「TDH」基本戦略」にワクワクし、自分も宮坂さんと一緒にチャレンジしたい! と思ったから。
3つ目:前職で行政サービスの手続きや公共施設情報など人々の「くらし」を便利にするサービスを立ち上げた際に、行政サービスのUPDATEが必要だと思ったから。
平井:なるほど! 結構、社会貢献したいというモチベーションが多いですね。そんなみなさんは、都庁に入る前はどんなお仕事をしていたのでしょうか? あわせて、現在都庁でどんな業務を担当しているかもお願いします。
都庁に入る前はどんな仕事をしていた? 現在都庁での担当業務は?
長岡:情報通信企業でSI部門のマネージャーとして、金融機関等の顧客向けにITコンサルティングやシステム導入、プロジェクトマネジメント、社内外のIT製品やサービスを組み合わせたソリューション企画・開発をしていました。
都庁では、構造改革のコアプロジェクト「DX推進体制構築」のメンバーとして、デジタル組織や人材育成に関する戦略・計画策定を担当しています。
澤田:前職では、Delivery Center Managerとして、通信業界にて3GPPプロトコルソフトウェア開発・国内外の相互接続検証したり、セキュリティに特化した業界にてフィンテックやeSIMリモートプロビジョニング等のSaaS系ソリューションのデリバリをしていました。
都庁では、セキュリティガイドラインの策定、システム移行の支援、新型コロナウイルス対策の技術支援、他局のオンライン予約に関する支援を担当しています。
加藤:前職は、ベンチャーキャピタル(VC)というベンチャー企業に投資をする仕事をしていました。
VCは出資をすることで、株主として同じ船の仲間として、その企業の事業成長を一緒に悩みながら伴走をするという仕事です。累計で9社に投資をし、4社の社外取締役を務め、経営陣の一人として時には創業者のブレーキ役になったり、時には一緒に営業するなど、大変貴重な経験をさせて貰えました。
幸運にも投資先が上場することができて、社員でもなかなかは入れない東京証券取引所の鐘を鳴らす場に同席させていただき、創業者の万感の涙を見られたのは大変いい思い出です。
都庁での業務は、主に3つです。
1つ目は、Society5.0のユースケースとして、エネルギー分野の実証とウェルネス分野の実証を担当します。
2つ目は、官民連携データプラットフォームの検討チームの一員として、プラットフォーム構築に向けてサービスの設計や組織の在り方、システム構築などを担当しています。
3つ目は東京テックチームの一人として他局の申請のデジタル化などをサポートしています。
内田:前職では、ネット広告会社やマーケティングの支援会社で法人向けにデータの使い方のアドバイスや、デジタルマーケティングのコンサルティングなどをしていました。 都庁では、新型コロナ関連WEBサービスの対話型開発とグロースハック、行政手続きのオンライン化、オープンデ-タや官民データ流通のポリシー・スキームづくり、オンライン広報、アクセス解析の導入推進などをやっています。
平井:前職は、携帯キャリアでネットワークの設計、企画をやっていました。特に、自社ネットワークとGoogle、Amazon、Facebook、Apple、Twitter、Yahoo!などコンテンツプレイヤーや国内外のインターネットサービスプロバイダーをどう繋ぐかを設計していました。
仕事の大半が社外のエンジニアとコミュニケーションを取ることだったので、縁あってJANOGという日本最大級のエンジニアコミュニティの会長もしていました。ただ、会社では平社員でした(笑)。
都庁では、スマート東京・TDHの重点エリアの中でも一丁目一番地となっている西新宿のスマートシティ化を担当しています。具体的には、西新宿のエリアマネジメント団体やキャリアのみなさんと一緒に街の課題をデジタルの力で解決することでスマートシティを実現していくことの企画運営。
あと、5GアンテナやWi-Fi、さまざまなセンサーを搭載したスマートポールの事業企画とその遂行です。
岡田:インターネットサービスプロバイダーで接続サービスや動画配信サービスの運用・企画をしていました。都庁では、バリアフリーのデータ利活用実証や、他局の事業をお手伝いしています。
近藤:デジタルマーケティング全般を担当し、IT企業(たとえば、ポータルサイト、動画サイト、デジタルマーケティング企業、外資スタートアップ企業)でのマネージメントをしていました。都庁では、官民連携データプラットフォーム(DPF)事業配下の各種実証プロジェクトのプロジェクトマネージャー、官民連携DPF事業配下の施設系混雑WGおよびその他WGのリード、あと、スマートポール事業のプライバシーポリシー策定リードを担当しています。
友光:携帯電話の電波測定・品質改善や総務全般を担当していました。都庁では、スマート東京「西新宿エリア」のイベント担当、「南大沢エリア」「島しょエリア」「ベイエリア」では、技術的支援を行っています。また、コロナの宿泊療養・自宅療養のシステム導入支援や、前職でのスキルを活かし、スマート東京先行実施エリアの5G電波測定を行っています。
西村 唯:デジタルマーケティング全般、事業戦略の立案、事業開発等を担当していました。
都庁では、西新宿スマートシティPJの推進、東京テックチーム、東京都の各局DX支援、東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト(人流データを保有する企業とCivic Techとの連携)、つながる東京(東京2020大会会場等のWi-Fi整備)等を担当しています。
~前編終了~
(後編へつづく)https://note.com/smart_tokyo/n/nd68348ea26c3
次回は、都庁へ来て一年が経過し、良かったことや苦労したこと、悩んだことを振り返りつつ、残り一年の任期でやりたいことを語り合います。
スマート東京最前線からは以上です!
◆この記事は、下記より転載しています
https://note.com/smart_tokyo
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