仕事の中心を場所から時間や効率へと
一方、平手代表は、「リモートワークやオンライン会議のためのツールを導入したことで、ニューノーマル時代に向けた環境を整えたと考えている企業が多いが、いまは、ニューノーマル時代に向けた変革のはじまりであると捉えた方がいい」とも指摘する。
グーグルでは、2020年10月に、G Suiteから名称を変更した「Google Workspace」を通じて、Gmailやカレンダー、Meet、チャット、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォーム、サイトなどのアプリを提供。オンラインを活用した新たな働き方や顧客接点の強化、ビジネスの成長を支援している。
これもデジタルフロントドアにつながるものになる。
「2020年は、人の移動が遮断されるという過去にない経験をした。オフィスに集まって仕事をすることに依存してきた多くの企業は、リモート環境の整備不足も重なり、業務に様々な課題が発生し、あらゆる業種においてサプライチェーンの停滞が見られた。その一方で、ネットワーク上で人と人がつながり、データを駆使して業務が実行できる仕組みやプロセス、環境の重要性が顕著になり、それを支えるツールの導入が進んだ」としながら、「これで完了したと思っている企業があるが、これは完了ではない」と警鐘を鳴らす。
デジタルフロントドアでも示しているように、物理世界での仕組みや活動を、単にリモートに置き換えるだけでなく、デジタル世界だからこそ実現できる新たな効率的なコラボレーションを駆使し、構築することが重要だ。小売業では、物理店舗からEコマースへ、ヘルスケアは対面医療から遠隔医療へ、製造業ではデジタルツインによる遠隔操作やシミュレーションが加速するなど、デジタルで仕事をすることや、デジタル上で顧客とつながる仕組みの構築が急務になっている。
「非対面や非訪問の環境でも、企業には、持続的成長が求められている。そのためには、仕事をするという概念の中心を、これまでの『場所』から、『時間』あるいは『効率』へとシフトさせなくてはならない。そのためには、新たなデジタルコラボレーションを実現するための仕組みづくりや、運営の仕方、活用の仕方が重要になってくる。セキュリティひとつをとっても、企業は、場所に依存しない分散就労のプロセスを実現するために、ゼロトラストによる新たなセキュリティを活用しなくてはならない。だからこそ、いまこそが『始まり』だといえる」とする。
ツールを導入したから終わりではない。また、リアルの世界でやっていることを、リモートの世界に移行させただけでは、今後の持続的成長は見込めない。
デジタルだからこそできることはなにかを追求することが大切であるということを考えれば、デジタルフロントドアの入口に立った日本の企業は、これからが変革の本番を迎えることになる。
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