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エース営業マンを可視化し、そのノウハウを拡大させるクラウドサービス「PartnerSuccess」

代理店営業管理クラウドサービスが重視するProduct Partner Fitとは

 企業が製品・サービスを売ろうとした場合、その販売チャネルは大きく3つとなる。1つは自ら営業をかけて売る直販営業、2つ目はインターネットを通じて販売するネット営業、そして3つ目が代理店に売ってもらう代理店営業だ。この中で、メーカーが社外の営業力を活用する代理店営業には、自社の人的リソースの枠を超えた営業力を持てるメリットがある。

 だが一方で、適切な売り手(代理店)のマネジメントができなければ、期待する売上が出ないだけでなく、ブランドイメージに傷をつけることもあるなど、自社による営業活動とは異なるノウハウを求められる販売チャネルでもある。パートナーサクセス株式会社は、そのような代理店営業の管理・支援を行なうためのクラウドサービス「PartnerSuccess」の開発・販売を行なっている。そのコンセプトや機能、他のCRMツールとの違いについて、代表取締役の永田 雅裕氏に話を伺った。

代理店営業が抱える課題を解決するPartnerSuccess

 急成長を遂げたオンライン会議システムZoomも、日本でのビジネスライセンス販売では70%以上が販売パートナー経由となっている。このように、新興企業が飛躍的成長を遂げるには、販売パートナーとなる代理店の存在が欠かせない。

 パートナーサクセスの永田氏は、NTT関連企業の営業コンサルティングや代理店営業をはじめ、Googleやリコーの代理店制度の構築など、トータル10年以上、述べ400社以上の代理店管理を手掛けた経験を持つ。永田氏いわく、代理店営業を行なっている企業には共通の課題を抱えているところが少なくないと指摘する。

パートナーサクセス株式会社 代表取締役 永田 雅裕氏

「業務管理が生産性低下の原因になり、疲弊していく現場をいくつも見てきた。代理店を増やすと売上が一定数上がるが、それ以上に管理コストが増えて、なかなか利益が出ない。これは代理店側も同じで、取扱メーカー数を増やすと管理コストが増えてしまって同様に利益が出ない。

 具体的な問題としては、①販売代理店毎に設定されている契約条件の管理と把握が大変、②FAXや郵送などばらばらな受発注申請、③Excel管理で抜け漏れ多発の請求業務、④月数百件もの問い合わせで鳴りやまない電話などであり、我々はこういう現場を変えていこうとしている」(永田氏)

 そもそも代理店を通じての営業活動ではヒトもモノもカネも動くため、複数企業の立場の異なる担当が連動して動く必要がある。しかも今はメール、電話、チャット、郵送、FAXなどツールが多様化・複雑化しており、その履歴をまとめておくだけでも大変な作業となる。

 そこで開発されたのが、代理店の案件進捗や営業活動を可視化してデータベース化するクラウドサービス「PartnerSuccess」だ。メーカーの代理店本部担当者の事務作業を自動化するとともに、ステークホルダー間のコミュニケーションを円滑化し、より良いパートナープログラム構築を支援する仕組みを提供している。

 同様なサービスは顧客管理や営業支援などを総合的に行なえるCRMツールでも可能だが、そのコストが大きく異なっているという。

 永田氏いわく、代理店営業で大事なのは個別の営業マンだ。数千人の営業を抱える大手代理店と契約できても、何人が実際に製品を売ってくれるかが重要だ。メーカーから見て管理すべき対象は、代理店ではなく営業マン個人となる。さらに、良い代理店は大きな売り上げを上げる営業マンのノウハウを上手に吸い上げて他の営業マンに横展開していく。これによって営業部隊全体の底上げを図っていくのだが、そのためにはエース営業マンを見つけ出すことが重要になってくる。

 この点、従来のCRMツールでは営業マンの可視化を行なうためにユーザーIDを全員に配らくなくてはならず、大きなコストがかかっていた。営業実態の可視化を行ないたいメーカーとして導入に二の足を踏む場面も出てきていた。PartnerSuccessの利用料金体系は、初期導入必要と月額基本料金のほかは代理店ごとのIDに利用料金がかかるだけで、営業マンが受発注申請に利用するためのメンバーIDには料金がかからない。

 結果、導入コストは既存CRMツールを利用した場合に比べて約90%の削減に成功しているという。

PartnerSuccessを導入したメーカーは、まず取扱商品と代理店情報をシステムに登録し、商品データベースと代理店データベースを作成する。ここでは代理店ごとに取扱商品、商品金額、支払い報酬金額などを設定できる

代理店の営業マンは案件の受注が決まったらPC/スマホで顧客の連絡先を入力し、メーカーに送信する。今はまだ手書きのFAX用紙を送ることが少なくない代理店営業の現場だが、クラウド上で受発注の一元管理ができるようになる

代理店から受注情報が送られてきたら、メーカー側担当者が内容を確認して承認処理を行なう。承認されたら顧客に購入申し込みサイトのURLが送られてくるので、顧客は個数などを入力してメーカーに送信する。これらの処理はすべてクラウド上で行なわれ、メーカーでは売上をリアルタイムで把握できるようになり、集計の手間が省けるとともに営業支援施策の次の一手をすぐ打てるようになる

 重要なのは営業成績が代理店ごとだけではなく、営業マンごとの集計を行なうこともできる点にある。これによって質の高い営業活動を行なうノウハウを持つ営業マンを探し出すことが容易になり、そこからノウハウの横展開が可能になる。

代理店営業という業態の変革を目指す

 スタートアップにとって重要なのはProduct Market Fit(PMF)だ、という話はよく耳にするが、代理店営業ではそれが異なってくるという。

 永田氏はクラウドサービスとしてのPartnerSuccessの販売だけでなく、代理店戦略の構築支援コンサルティングも行なっている。その中で得られた気づきとして「まず代理店を勝たせる仕組み(Product Partner Fit:PPF)を作ってください」と話す。

「代理店は下請けで、ただ流せば売ってくれるという時代ではもうない。必要なのはパートナーを勝たせる仕組み=儲けさせる仕組み。自分たちが作ったものがいいものだから、何もしなくても売れる・売ってくれるだろうというのは勘違い。実際には代理店が動かないこともある。

 代理店は商品のコモディティー化と案件のリードタイムという軸で最も売りやすい商品を探している。例えば下図のAからDに所属するサービスは代理店制度が展開しやすいが、それ以外のサービスを展開しようとしている企業さんには、簡単にはいきませんという話をさせてもらっている。代理店戦略で効果的なユーザーは、マジョリティー層が中心」(永田氏)

 個別の営業マンがシステム的にきちんと視覚化されるようになると、それを使う側としても非常にやりやすいし、スポットライトが当たるチャンスも増える。さらに事務作業のようなサービスに直接関係ないところの負担を軽減して、顧客と向き合うという本質的なところに集中できる環境を作る。それがPartnerSuccessの指し示す方向性だ。

「新規事業の立ち上げは本当に難しい。でも次の時代を作っていくのはスモールビジネスから始まると思っている。これは売っていく方々、代理店の方々もそう。小さい母体から始まって大きい商材を手に入れて会社が大きくなるというのは昔からあると思っていて、その人たちにスムーズなアライアンスの提案だったりとかチャンスの提供だったりということができるような仕組みを作りたいと思っている。

 PartnerSuccessによって今まで発見できなかったような方にスポットライトを当てることができれば、小さな種を大きく伸ばすようなきっかけを作れるんじゃないかというのを心から思って、そういう仕組みを作りたい」(永田氏)

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