週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ASUSのB550マザーボードと「ROG Z11」で人気のMini-ITX自作に挑戦!

2021年03月10日 11時00分更新

文● 松野将太 編集●ASCII

 Ryzen 5000シリーズの人気により、AMDプラットフォームを採用したPC自作は今年に入ってからも需要が大きい。世界的な半導体の不足による入手難、それに伴う価格の高騰といったハードルはあるものの、手に入るようなら1台組み上げたいと考えているユーザーは少なくないだろう。一口に自作と言っても、CPUやマザーボード、PCケースなどの選択によって様々なアプローチができるが、常に一定の注目を集めるものといえば、“小型マザーボードの採用”。比較的小型であるMini-ITX、あるいはMini-DTXフォームファクターのマザーボードや対応PCケースを活用することで、かさばりがちなデスクトップPCのサイズを省スペースにまとめられる。あまり面積が広くない日本の住宅事情などもあってか、特に国内市場では人気を集めやすいようだ。

 さて、ASUSはAMDプラットフォームにおいてもMini-ITXフォームファクターのマザーボードを複数ラインアップしており、加えてMini-ITX/DTX対応のPCケース「ROG Z11」を販売している。グラフィックスカードやCPUクーラーなど、その他のROGブランド製品と組み合わせれば、多くのパーツを同一ブランドの製品で揃えた小型PCを組み立てることが可能だ。この点は、他メーカーにはない魅力と言えるだろう。

 この記事では、B550チップセット採用のMini-ITXマザーボード「ROG STRIX B550-I GAMING」と、「ROG Z11」を活用して実際にPCを組み上げる過程を体験してみた。プラットフォームでの自作を検討しているユーザーの参考になれば幸いだ。

大型のグラフィックスカードも搭載可能、ハイエンドな小型PCを実現

「ROG STRIX B550-I GAMING」(実売価格2万6000円前後)。Mini-ITXフォームファクターのゲーミングマザーボード

 今回使用するマザーボードとPCケースの組み合わせは、採用できるパーツの選択肢が豊富になることが特徴のひとつ。「ROG STRIX B550-I GAMING」は最新のRyzen 5000シリーズに対応しており、ミドルクラスの「Ryzen 5 5600X」からハイエンドの「Ryzen 9 5950X」まで、用途に合わせた選択が可能だ。加えてSSDはPCIe 4.0接続にも対応できるため、比較的小型ながらスペックの高いPCを組むことも難しくない。

「ROG Z11」(実売価格3万円前後)。Mini-ITXおよびMini-DTXマザーボードに対応し、ハイエンドパーツの採用も可能なプレミアムPCケース

カード長300mmを超えるグラフィックスカードも搭載できるなど、採用パーツの選択肢は多め

 また、「ROG Z11」は先に述べた通りMini-ITXおよびMini-DTXに対応するケースで、内部のスペースは比較的広く取られている。小型PC向けケースの場合、コンパクトさを突き詰めて採用パーツのサイズに制限が設けられることも少なくないが、本製品はカード長320mmまでのグラフィックスカード、高さ130mmまでのCPUクーラー、ATX電源の搭載に対応するなど、拡張性はミドルタワーケースに劣らない。縦置き・横置きにより設置の柔軟性を高めつつ、本格的なハイスペックゲーミングPCを実現できるだけの余裕があるあたりは、性能や外観にも妥協したくないユーザーにとってうれしいポイントだろう。自作に慣れていないユーザーにとっても、作業スペースが比較的確保されているのはメリットだ。

「ROG RYUJIN 240」(実売価格2万5000円前後)。240mmラジエーター搭載で、問題なく「ROG Z11」に搭載できる

「TUF-RX6800XT-O16G-GAMING」(実売価格12万9000円前後)。カード長320mm、2.9スロット厚のハイエンドカードで、今回のケース内に納められるギリギリのサイズ

「ROG Thor 850W Platinum」(実売価格3万2000円前後)。容量850W、フルモジュラータイプのATX電源

 実際、今回採用したROGブランドのパーツは、CPUクーラーにオールインワン水冷ユニット「ROG RYUJIN 240」、グラフィックスカードに「TUF-RX6800XT-O16G-GAMING」、電源ユニットに「ROG Thor 850W Platinum」と、いずれもハイエンドなROGブランドのパーツばかり。外見に統一感が生まれるため、一式揃えればMOD PCのような見栄えと高い性能が保証される。

独特の存在感、縦置きでも横置きでも見栄えは◎

「ROG Z11」のサイドパネルを開いた状態

前面と背面のダストフィルターを取り外さなければ、サイドパネルは外せない

フィルターは画像の出っ張り部分を両側から押すことで取り外せる。かなり独特なつくりなので、マニュアルは事前に読んでおこう

ダストフィルターを外した前面(縦置きの場合は底面)。下側の空間には電源ユニットが入る

背面には2つのファンを搭載

 組み立てにあたり、ポイントとなる部分をいくつか確認しておこう。まず、「ROG Z11」はやや特殊な構造をしているため、サイドパネルの取り外し方法などが一般的なケースと若干異なる。具体的には、一旦ケースの前面と背面にあるダストフィルターを外さなければサイドパネルを取り外せないといった構造が採用されており、自作に慣れているユーザーも一度マニュアルを確認しておくことをすすめたい。とりあえず横置きにし、ダストフィルターと両側のサイドパネルに加え、簡易水冷クーラーを使う場合は横置き時の底面になる台座付きのパーツも外しておくと、スムーズに作業しやすいだろう。

マザーボードのトレイは前後に11度傾斜する独自の設計。これにより、各パーツのクリアランスや配線スペース、放熱性を確保しているとのこと

マザーボードを装着。取付方法自体は一般的なケースと変わらないので、ここはそれほど苦労しないはず

水冷CPUクーラーのラジエーターは底面に取りつける。あらかじめ下部のスタンド付きパーツを外しておかないとネジ留めができないので注意

クーラーを装着。水冷ヘッドとラジエーターを繋ぐチューブ、余計な配線は後部に逃がせる

電源ユニットを装着。この状態だとファンが剥き出しになるが、完成時にはダストフィルターをかぶせるため問題ない

ケーブルは電源隠しの先端から引っ張り出して使用する

水冷ヘッドの左にあるのがケーブル隠しなどに使えるマルチファンクションカバー。取り外しも可能なので、配線前に外しておくのもアリ

グラフィックスカードは天面(縦置きの場合は前面)に装着

ケースのフレーム部分とのクリアランスはかなりギリギリで、斜めにカードを入れないとケース内に入らない

マザーボードが傾斜しているため、このようなクリアランスでも装着できるわけだ

背面には広めの裏配線スペースがある

すべてのパーツを装着。メモリは配線との兼ね合いがあるので、最後に装着するのが楽

縦置き時、前面のガラスからはグラフィックスカードのファンが見える

 マザーボードのトレイが放熱性や拡張性を確保するために11度の角度で傾斜しているのは、「ROG Z11」の特徴のひとつ。ボードは斜めに取り付けることになるが、通常の設置と大きくは変わらないため、ここはそれほど困らない。総じてMini-ITX対応ケースとしては大きめなので、慣れている自作ユーザーであればパーツの取り付けには大きく苦労はしない印象を受けた。ただし、メモリーは配線などの際に邪魔になりやすいので、最後に取りつけるほうが楽だ。グラフィックスカードの取り付けには(フレームとのクリアランスがギリギリなので)多少手間取ったが、今回のように2スロットを超える厚みのあるカードを使う場合は少し慎重に作業する必要があるかもしれない。配線に関しては、背面に裏配線用のスペースがしっかり設けられているため、これをうまく活用しよう。

電源を投入。大型ケースではなかなか味わえない、ぎっしりと中身の詰まった感のあるレイアウトがユニーク

高さはそれなりにあるが、縦置きなら設置面積はかなり小さくなる

ケースには電源ケーブルの角度を変更できる延長ケーブルが付属する。これを使用すれば、横置き時にケーブルが接地面と干渉しない

横置きでは接地面が広くなるが、高さを抑えられる。机の下など、床置きの場合にマッチするかもしれない

 実際にPCを組み上げてみると、小さめの筐体にパーツがぎっしりと詰まった、インパクトのあるPCが完成した。ケースはそこかしこにROGのロゴがあるため、内部パーツもROGブランドの製品で揃えることで、より見栄えのする仕上がりになっているのがポイントだ。すでに述べたように、本製品は縦置きも横置きも可能(横置きの際は付属の電源ユニット延長ケーブルを使用する)であり、どちらの置き方を選ぶかは設置スペースの事情か、好みで決めていいだろう。難易度は一般的な自作と比べて少し高くなるものの、このようにユニークなPCを組みやすいのが、小型マザーボードとケースを使ったPC自作の醍醐味だ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう