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学生制作の2作品が社会実装化検討中!

本当に『学生さんがうらやましい』と思った――イノラボ×東大IEDPコラボを振り返る

2021年03月15日 11時00分更新

怒涛のスキルアップ

―― なるほど! では、4月30日に設けられた「技術インプット祭」は、学生さんたちが足りないスキルを補うための機会だったのですね。具体的にはどのように進めたのでしょう?

佐々木 コロナ禍で対面講義がしばらくできないとなった段階で、修得してほしい技術的な理論を全部まとめて、オンライン講義という形で一気にお伝えしました。

 具体的には、映像に関してはインタラクティブと可視化に分けて、動的な映像の事例やプログラムの考え方を伝えたのと、あとは音や電子デバイスに関する基本的な考え方、通信技術を用いた表現など、ごそっとインプットしたかたちです。

―― それによって、企画を進めるためのスキルや能力、知識を身につけたのですね。

佐々木 扱えるデジタル情報やデジタルメディアにどういうものがあるのかを想定してもらって、その想定できるものを増やしたうえで、「自分はこんな企画をやる」と決めてほしいと……そういう考え方でしたね。

―― 次の5月8日は、中間発表までの進捗確認ですか?

柏原 4月30日に、「これまでに紹介した技術を何か選んでゴールデンウィーク中に遊び始めてください」という宿題が出されました。とにかく「何かしら手を動かして作りたいものを作り始める」、さらに「事例を調べて見立てる」という2つの素振りをしてもらうという課題です。

 そして5月8日は、「何を」「誰に」を念頭に「どのように」を模索した内容を確認する段階でしたね。

―― 学生さんたちは4月30日に得たスキルを使って、「どのように」を実現するための試行錯誤をしていたと。

5月の企画発表で完成度の高いコンセプトが登場

―― 次のイベントは5月14日の企画発表です。このときはイノラボさんもリモートで見ていたのですか?

柏原 はい。企画を発表し、ここまで考えた内容について初めてコメントをいただく場でした。

―― 企画発表を見てどう思ったか、イノラボさんの皆さんからお聞きできればと思います。

イノラボ岡田 皆さんそれぞれやりたい内容が出てきた印象です。ゲームのような形で落とし込む人もいれば、独自の世界観を定義してたところもありましたし、すでに完成度の高いコンセプトを出してる方もいました。どれも濃いなと思いながら聞いていた印象があります。

 このままプロトが完成すれば何かきっかけになる可能性を感じるものが9人中4~5人くらい。他の方は悩まれつつかなと。そんな印象でした。

株式会社 電通国際情報サービス Xイノベーション本部 オープンイノベーションラボ(イノラボ) 岡田敦氏

渋谷 「もどかしさについてどう考えるか?」とか、「時計を使ってうまく浪江町の方向を向くと良いメッセージが出るもの」など、我々が思いつかなかったアプローチだなと感じた反面、それが解決になるのかという深掘りが足りていない感じを受けたと思います。

 そのへんを突っ込んだり、技術的にこうすれば解決につながるのでは、など幅を広げるようなアドバイスをした記憶があります。

藤木 企画発表段階では、面白いコンセプトのものがありました。ただ、ターゲットユーザーが定まってないとか、ターゲットユーザーにどういうことをやらせたいかとか……佐々木先生が3つ仰っていましたよね。

佐々木 「何を」「誰に」「どのように」という3つを明確にすれば企画全体が整ってきますという話はしました。藤木さんが仰った通りで、「何を」はハッキリしてるけれど、この段階では「誰に」届けたいか、みんな迷っていたと思います。

渋谷 いま見直すと、最終的に高評価を得た企画が、この時点では見当たりませんね。ブラッシュアップの効果があったのかもしれません。

藤木 最終発表では、浪江町に限らず「誰を」が明確になるのですが、この企画発表段階ではまだ定まっていない感じがあるため、そこをクリアにしていくべきというコメントをしました。

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