気がつけばこの1年、遠出してない。毎年2月下旬といえば日本最大の写真イベント「cp+」なのだけど、新型コロナウイルスが流行しそうだということで開催中止となって約1年。はやいものである。2021年はオンラインのみの開催となったので、2年連続で各社のカメラが一堂に介するリアルイベントはなし。
つまり丸一年、コロナ禍にあるわけで、多くの人がそうであるように、わたしも遠出してないのである。そんなとき、旅行できなくてストレス、コロナ禍が落ち着いたらすぐにでも旅に出たい派と、旅行しない生活が当たり前になっちゃって遠出したい欲もなくなった派がいるんだろうなと思うのだけど、もともと出不精だったわたしは後者かもしれない。
じゃあちょっと旅行欲を復活させようかと、遠出したときの猫写真を引っ張り出してみた。
北からいこう。2009年、函館へ旅行した時に出会った猫。といっても洋館をバックに猫が寝てたとか、港にいるイカ釣り漁船で猫が寝てたとか、朝市で魚を狙ってるどら猫がいたとかそういうおいしい話はなかったので、海辺で出会った黒猫を。立待岬へ向かって海辺を歩いている途中に出会ったのだ。
北海道から少し南へ行って、秋田県。2020年、まだダイヤモンド・プリンセス号が横浜に入港する前で新型コロナウイルスがちょっと話題になり始めた頃、仕事で秋田県を訪れたのである。
ホテルに一泊した翌朝、雪の様子を見ようと外へ出ると、雪の上に猫の足あとがあるではないか。思わずフロントで尋ねてみると、実はバックヤードで世話をしている猫がいるのだという。ほかに宿泊客もなく、見せていただけるというのでついていくと、そこに何匹もの猫たちが。外が真っ白に白トビしてるのは雪だから。
ちょっとアングルを変えて、雪で反射した外光が横から入るアングルで1枚。
秋田から羽越本線で南下し、新発田で白新線に乗り換えると新潟市。もちろんそれに乗って行ったわけじゃないけど(でもやってみたい気はする)。
訪れたのは2017年初秋。日本海の砂浜、というよりは砂丘。新潟在住の街歩き仲間に案内をお願いしたところ、新潟の「潟」たる所以を解説しつつ、砂丘の草むらに住む猫たちと遭遇させてくれたのだ。きれいなグレーの猫の後ろにほんのりと海が見える。
そこからぐぐっと上越線のルートで南下し、山を越えると群馬県は利根郡みなかみ町である。2014年の1月、雪景色を撮影しに訪れたところ、まさかの猫である。いやあ、いるとは思わなかったのでじっと見つめあう。真っ白な雪をバックに。
みなかみからいったん高崎へ南下し、吾妻線で西へ向かうと温泉郷がいっぱいあるのだが、そのひとつ四万温泉のとある老舗旅館。チェックインしようとしたら、ロビーに猫がいるではないか。旅館の看板猫であるらしい。お願いして撮らせてもらう。2018年のことである。
群馬県から山を越えると長野県。長野県の群馬より、長野電鉄の終点からちょっと行ったところに渋温泉がある。渋温泉の金具屋は1758年創業で、昭和11年竣工の登録有形文化財の建物に宿泊できるの温泉宿。これはぜひ行きたいってんで2013年の6月に訪れてみると、猫がいた。その金具屋のロビーから撮ったのがこちらだ。
長野市からぐぐっと旧信越本線(現在は途中からしなの鉄道)を南下すると古い城下町の小諸である。小諸城址の紅葉がきれいだと聞いて撮りに行ったのが2014年の秋。ひととおり撮影して、せっかくだから小諸の街を古地図を見ながら散歩。古い街はどこをどう歩いても面白い。
そして帰り際、小諸城祉大手門をくぐるとなんとそこに猫が。城門猫とはなかなか味わい深い。人に慣れているようなので階段を上ってそっと近づいて撮ったのだった。
最後はそこから思い切り南下して静岡県の熱海。東京から電車1本で行けちゃうので関東地方ってイメージもあるけど、静岡県。JR東海エリアで、東京からSuicaで乗っちゃうと下車時に清算しなきゃいけない微妙な場所だ。
友人にここの小さな漁港に猫がいるから行こうと誘われたのが2011年のこと。これは朝6時半の写真。漁港の方にちゃんと話を通してもらっての撮影で、獲れたての魚がさばかれるのをじっと待ってる猫の姿を撮らせて貰ったのだ。おとなしくじーっと待ち、このあと一切れもらってガシガシと食べておりました。
その6年後、このときの写真を見たテレビ制作会社の方から連絡があり、熱海で猫を撮る猫写真家としてBSの番組に出たりしたのである。冒頭写真はそのロケの際に撮ったカット。
景気づけに今までの旅先猫を振り返ろうと思ったら長くなってしまったので、今回は東日本編ってことで続きは次回。
■Amazon.co.jpで購入
-
古地図とめぐる東京歴史探訪 (SB新書)荻窪 圭(著)SBクリエイティブ
-
デジタル一眼レフカメラが上手くなる本 基本とシーン別の撮り方60上原 ゼンジ、桃井 一至、荻窪 圭(著)翔泳社
-
古地図でめぐる 今昔 東京さんぽガイド荻窪 圭(著)玄光社
筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります