平面型のヘッドホンで知られるAUDEZEが、新製品「AUDEZE Euclid」を海外発表した。
Euclidは18mmの平面磁界型振動板を採用した密閉型のイヤホンだ。AUDEZEではこれまで「AUDEZE LCDi 4」や「AUDEZE iSine 10」などのように平面磁界型のイヤホンを出していたが、これらは開放型で、電車の中などでは使用できないものだった。Euclidのように、普通のカナルタイプ(密閉型)の平面型イヤホンは初めてで、特に日本のユーザーには好まれることだろう。ただし、価格は1299ドルと、なかなか高価格のハイエンドイヤホンである。
Euclidでは、独自のFazorウエーブガイドを採用したことにより、一般的な密閉型のイヤホンで生じる位相と歪みを低減させたとしている。EuclidはMMCX端子を持った密閉型の有線イヤホンだが、海外のニュースではワイヤレスと報じられることもあった。やや混乱したのだが、これはオプションとしてBluetoothアダプター付きの交換ケーブルが用意されているからのようだ。
有線イヤホンの生きる道のひとつは低遅延のゲーミング
AUDEZEで初めての密閉型の平面磁界型イヤホンというほかに興味を引いたのは、この新型イヤホン解説のストリーミングをTwitchで実施したことだ。Twitchはご存知のように、ゲームの実況配信サイトである。これまでなら、こうしたマニアックな製品はHead-Fiなどのオーディオ関連のサイトでアナウンスしていくものだっただろう。
AUDEZEは、以前記事を書いたワイヤレスヘッドホン「AUDEZE Penrose」でもゲーミング分野への興味を示していた。この時代に有線イヤホンを開発するということは、低遅延を重視するゲーミング市場も重要に捉えているのだろう。Euclidという名称もユークリッド幾何学で知られるギリシャのエウクレイデスから取ったと思われるが、これもペンローズを想起させる。
また以前記事を書いたMQA対応のゲーミングヘッドセット「ASUS ROG Delta S」も最近海外ニュースで取り上げられていることが多いことにも気がついた。ゲーミングに使うヘッドホンというと、音質は二の次のようにも思えるが、こうして高音質を求める声が意外と多いのは面白い。
理由としてはゲーミングヘッドセットで音楽を楽しむ、というよりもシビアなシューティングやFPSなどではどの方向からどういう銃声が聞こえてくるかというのが重要になってくるというのもあるのかもしれない。実戦で音が重要な局面というと、例えば米国製のM1ガーランドライフルのクリップ排出音がある。M1ガーランドはセミオート機構を持つため第二次大戦中ではかなり強力な小火器だが、弾を撃ち尽くした際に弾倉クリップが排出されるキーンという甲高い金属音が特徴的で、この音がすると弾切れなのがわかられてしまい反撃されるチャンスになるというのはよく言われている。
そうした音の様々な表情がこれからのゲーミングに重要になってくるという認識もあるのだろう。また単にこれだけグラフィックスが豊かになってくれば音質も求められるということもあるのかもしれない。さらに最近のコロナ禍のステイホームでゲーミング市場がさらに成長していくということが追い風にもなっているのだろう。
いずれにしてもハイエンドイヤホン・ヘッドホンとゲーミング市場の意外な取り合わせのトレンドは今後とも注目していくべきテーマなのかもしれない。
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