SNSネイティブだがリテラシーは低い子どもたち
2021年、小学生女児の喧嘩はTikTokの通報報復合戦にまで進化した
規約で禁止されているはずの小学生がいっぱい
小学生の間ではTikTokが大流行中だ。利用規約には「本サービスは、13歳以上の方のみが利用できるものとします」とあるが、実態は大きく異なる。私がヒアリングした範囲では、小中学生を中心としたローティーンに高い人気を誇っているのだ。
講演先の中学校では半数くらいの生徒が利用していたし、私の子どもが通う小学校でも主に高学年女児が利用しているようだ。保護者たちは規約を知らないことも多く、子どもに請われるままに使わせてしまっているのだ。
現在TikTokで流行中のNiziUのダンスは特に人気が高く、よく女児が学校や公園などで踊っている。数名で三脚付きスマホで撮影している姿も見かける。ある高学年女児に聞いたところ、「TikTok、楽しい!」と満面の笑みだった。
知人の娘である小学3年女児が、どこかに出かけるたびにTikTokの撮影をしたがるという話を聞いた。AIでその動画を好みそうな人に表示される仕組みのため、他のSNSよりも「いいね(ハート)」がもらいやすく、はまってしまったのだ。
ネイティブ世代だがリテラシーは高くない
小学生女児たちはSNSネイティブなので、「通報」が報復に効果的だと知っており、お互いに気に食わない相手のアカウントを通報しあっているという。通報されただけではアカウント停止にはならないが、規約違反行為をしていたある子はアカウント停止させられてしまったそうだ。
情報教育を受けている世代なので、「個人情報を出してはいけない」ことは知識として持っている。しかし、友だちが映った写真や動画を投稿したり、名前を書いてしまうことが個人情報の漏えいに該当するとは理解していないようで、そのようなトラブルは頻繁に耳にする。
また、文章力がまだ十分でないこともあり、コメントやメッセージでのやり取りでトラブルになることがとても多いようだ。知識は豊富なSNSネイティブ世代だが、リテラシーは高くないため、トラブルが多発するのだ。
GIGAスクール構想によって、いよいよタブレットが1人1台支給される。子どものインターネット利用はさらに増えるだろう。2021年も引き続き子どものネット経由でのトラブルとその対策について毎週お届けしていきたい。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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