山根博士のグロスマレビュー
ディスプレーにカメラを埋め込んだZTE「AXON 20 5G」は使えるのか?
ミドルハイだが4眼のAXONシリーズ
ZTE「AXON 20 5G」
ZTEのフラッグシップスマートフォン「AXON」シリーズの最新モデルは、大型ディスプレーにフロントカメラを内蔵した製品だ。日本で楽天モバイルが販売中の「Rakuten BIG」はZTE製で、このAXON 20 5Gがベースモデルとも言われている。両者は同じディスプレーを採用しており共通点も多い。今回はAXON 20 5Gのグローバルモデルのレビューを行なった。
AXON 20 5Gは2020年9月に発表され、中国ではすぐに発売されたものの、グローバル市場では12月になりようやく販売が始まった。日本ではソフトバンクが「AXON 10 Pro 5G」を販売しているが、AXON 20 5Gは後継モデルでありながらもチップセットやカメラ構成を変更し、価格も押さえて販売される。グローバル向け価格は449ドル(約4万7000円)または449ユーロ(約5万7000円)または419ポンド(約5万9000円)とのこと。
なお、ZTEのグローバルプレスリリースによると販売予定国はイギリス、EU、日本、韓国、タイ、マレーシア、フィリピン、UAE、ウクライナ、サウジアラビア、南アフリカとのこと。時期は未定だが日本にも投入される予定だという。
スペックはミドルハイだが
高級感のあるデザイン
AXON 20 5GのスペックはチップセットがSnapdragon 765G、メモリーは6GBまたは8GB、ストレージは128GBまたは256GB。ディスプレーは6.92型(2460x1080ドット)有機EL。カメラは6400万画素と800万画素の超広角、200万画素のマクロ、200万画素の深度測定の4つを備える。フロントカメラは3200万画素だ。AXON 10 Pro 5Gと比べるとディスプレーは大型化しているが、チップセットはミドルハイクラスとなり、カメラは最高画質をあげつつマクロを増やしている。AXON 10 Pro 5Gの後継機というより、別ラインのモデルという印象だ。
本体右側面にはボリュームボタンと電源ボタンを備える。電源ボタンはポケットの中に本体をしまっていてもすぐにわかるように表面には溝が彫られたデザインになっている。一方、左側面にはボタン類はない。横から見るとカメラ部分の出っ張りが1mm程度あることがよくわかる
本体は下部側にUSB Type-C端子とSIMスロットがあるのみ。SIMスロットはトレイを抜き出す穴がトレイの外に空いており、トレイの爪部分に穴が開いているRakuten BIGとは構造が異なっている。
本体サイズは約77.9×172.1×8mm。7型弱のディスプレーを搭載するため横幅はやや広く感じる。しかし重量は198gと200gを切っている。そのため手に持ってみると思ったよりも軽く感じる。
背面は横向きにすると左上に「AXON 5G」のロゴ、右側にはカメラユニットとその横にZTEとメーカー名が記載されている最近ではオーソドックスなデザイン。本体カラーはブラックだが、左上から右側に流れるような弧を描くパターンが施されており、光の当たり方によりグレイやシルバーの色が混じっているようにも見える。大きな貝殻のようなデザインでもあり、高級さも感じられる。個人的にはなかなかいい仕上げだと思う。
なお、6.9型ディスプレーを搭載するGalaxy Note 20 Ultraのサイズは約77.2×164.8×8.1mm、重さ約208g。両者を並べてみるとAXON 20 5Gのほうが縦に長いがわずかに薄い。両者を持ち比べてみると、10gの差以上にAXON 20 5Gのほうが軽量と感じられる。
最大の特徴である画面埋め込み型カメラ
さて、AXON 20 5Gの最大の特徴はフロントカメラだ。ディスプレーの下にカメラを配置し、カメラの上のディスプレー部分は回路のラインを避けるように配置、解像度もこの部分だけ変えることで「カメラが見えないのにカメラが使える」埋め込み式のフロントカメラを実現している。ZTEグローバルPRによると「世界初」とのことだが、先にRakuten BIGがこのディスプレイを搭載しているので日本では2番目となる。
フロントカメラは画面表示をOFFにすると、特に斜め方向から見ると小さな正方形として見えるが、通常表示時は目立たない。普段使っているときに正面からこのカメラ部分を見ても気になることはないだろう。
OSはAndroid 10でZTE独自の「MiFavor UI 10」を搭載する。プリインストールアプリはほぼAndroid標準のもので、ZTE独自アプリは1つしか見当たらなかった。
90Hzのリフレッシュレートに対応
さらに240Hzのタッチサンプリングレートまで
設定画面を見てみよう。AXON 20 5Gのディスプレーは90Hzのリフレッシュレートに対応し、60Hzとの切り替えができる。なお、ディスプレーのタッチサンプリングレートは240Hz、本体内には液冷+カーボンナノファイバープレート+グラファイト素材による冷却機構も内蔵されており、モバイルゲーミング用途にも向いた構造となっている。またMiFavor UIはジェスチャー操作にも対応しており、端末を振ってフラッシュライトをつける、といったこともできる。バッテリー関連ではアプリによって5Gを使うかどうかという省電力設定も可能だ。
CPUパフォーマンスやネットワーク接続状況は、設定から「AIシステムエンジン」を開くと円グラフを使い見やすい表示にしている。ネットワークの接続状況は表示は「5Gスマートコミュニケーション」で強度も表示。4G LTEと5G NRを明確に区別し、アンテナピクトに5G表記が出ていても実際はアンカーバンドの4G LTEにつながっているときは、円グラフ中央にはしっかりと4Gと表記される。
本体のパフォーマンスはGeekbench 5でシングルコア611、マルチコア1958。Snapdragon 765Gモデルとして相応のスコアだ。また、5Gの通信速度は香港のテスト環境下では下り375Mpbs、上り118Mpbsだった。ほかの端末でもほぼ同等の速度だったので1Gbpsには到達しなかったものの、モデム性能は他社5Gスマートフォンと同等と言える。
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