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ファーウェイの独自メモリーカード「NMカード」、サードパーティー参入で価格下落

2020年12月10日 12時00分更新

ファーウェイ以外からもNMカードが登場

独自規格のNMカードだが
徐々に広まる可能性が!?

 ファーウェイのハイエンドスマートフォンを使っていて困るのが、メモリカードの増設です。ファーウェイは2018年秋に発表した「HUAWEI Mate 20」シリーズ以降、上位機種は外部メモリカードを同社のNMカードに統一しました。NMカードはnanoSIMカードと同じサイズのため、デュアルSIMトレイにそのまま装着できるメリットがあります。SIMトレイを小型化できるためスマートフォン本体もより小さくできるわけです。

ファーウェイが採用したNMカード。nanoSIMカードと同じ大きさだ

 しかしファーウェイ以外にNMカードを採用したスマートフォンやタブレットが存在しないため、NMカードの入手は困難。価格もいまやmicroSDカードと比べるとかなり割高です。

 中国では他のメーカーがNMカードに参入し、価格もだいぶ下がってきました。メモリカードでメジャーなあのメーカーもNMカードを手掛けているのです。

 まずはファーウェイオリジナルのNMカードの最新価格をチェックしてみます。ファーウェイのオンラインストア「Vmall」では、128GBが299元(約4800円)、256GBが599元(約9500円)です。NMカードが登場した直後、2018年11月に筆者が買ったときの定価はそれぞれ399元(約6400円)、799元(約1万2700円)でした。2年で約25%価格が引き下げられています。ちなみにその時の記事はこちら(ファーウェイの新スマホで対応する「NMカード」は次世代ストレージの主流になる!?)。

 さて中国のECサイトを見ると、ファーウェイ以外のメーカーのNMカードがいくつか売られています。中国の大手ECサイト、Tmallで価格を調べてみました。まずは日本でも知られているレキサー(Lexar)が64GB、128GB、256GBの3種類をラインナップしています。最大転送速度は90MB/sなのでファーウェイのNMカードと同等です。

レキサーのNMカード

 価格は販売店によって異なりますが、レキサーの公式ストアでは定価より割引販売しており、64GBが99元(約1600円)、128GBが169元(約2700円)、256GBが455元(7300円)でした。また、ほかの出店を見ると256GBの最安値は399元(6400円)。ファーウェイの定価の半額程度で、microSDカードよりちょっと割高といったレベル。これくらいの価格なら、気軽に購入してストレージ容量を増やそうと思えるでしょう。

転送速度は同等で価格は半額以下。サードパーティー製の参入はウェルカムだ

 また、HPも中国でNMカードを出しています。こちらも転送速度は同じ。NMカードはみなハードウェアスペックは同等なのでしょう。HP中国の公式ストアのこちらも割引販売価格で64GBが169元(約2700円)、128GBが219元(約3500円)、256GBが469元(約7500円)です。

 ファーウェイより若干安いもののレキサーよりやや高め。しかしHP公式ストア以外のTmallに出店しているショップを見てみると、レキサーに迫る価格で販売しているところもありました。いずれにしろファーウェイ以外のメーカーの参入でNMカードの価格もだいぶ買いやすくなっているわけです。

HPのNMカード。ブルーのカラーが新鮮だ

 さらには台湾のメモリ関連メーカー、ApacerもNMカード3種類を販売。Apacerの公式ストアでは64GBが99元(約1600円)、128GBが169元(約2700円)、256GBが389元(6200円)。256GBはレキサーの最安値ショップより安いですね。ApacerのNMカードは同社の中国語ホームページには情報が出ていますが、日本語サイトには出ていません。ファーウェイより安いNMカード、ぜひ日本でも売ってほしいものです。

ApacerのNMカードも中国のみで販売中だ

 ところでNMカードのリーダーも、ファーウェイ以外のメーカーからいくつか出ています。ファーウェイ純正のリーダーは99元(約1600円)とそこそこ安いのですが、レキサーのNMカードリーダーは純正品より便利な機能がついているのです。レキサーのNMカードリーダーはmicroSDカードスロットも備え、どちらのメモリカードも読み込めます。

レキサーのNMカード&microSDカードリーダー

 リーダー本体を中央で分離させると、カードリーダーが備わっている側にはUSB Type-A端子が現れます。このままPCなどに装着できるわけです。分離したもう片側からはType-C端子が現れますが、その反対側にはType-Aのメス端子があります。つまりType-C端子と反対側を、カードリーダーのついているType-A端子に装着すれば、スマートフォンなどType-C端子にさしてNMカードやmicroSDカードを読むことができるわけです。

 そして2つに分離させると、中にはSIMピンも付属しています。スマートフォンからNMカードやmicroSDカードを抜きだすときは、SIMトレイを引き出す必要がありますからSIMピンが必要です。そのSIMピンをカードリーダーの中に収納しているというわけです。これは便利ですね。実売価格は純正品と同じ99元(約1600円)です。

左右に分離してType-A、Type-Cどちらでも使える。SIMピンまで収納している

 なお、ノーブランドのNMカードリーダーもいくつか販売されていますが、NMカードをトレイに入れて差し込むようになっています。このトレイはmicroSIMカードの大きさのようですね。おそらくNMカード(nanoSIMカード)を直接出し入れできるほど小さいスリットを、精度よく製品化するのが難しかったのでしょう。しかし、トレイをなくすとNMカードを読むことはできません。こちらのタイプのカードリーダーは使い勝手は今一つ。

ノーブランドのNMカードリーダー。microSIMカードサイズにするトレイを使う

 スマートフォン本体内部のデッドスペースを少なくできるNMカードは、ぜひ他のメーカーにも採用してほしいものです。ライセンス関係がどうなっているか不明ですが、ファーウェイにはぜひNMカード普及のための動きも見せてほしいところ。また、512GBなど大容量タイプの開発も進めてほしいですね。

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