真空管を200Vの高電圧で駆動することにこだわり
さて、A-10SG TUBEは電源の質にこだわったアンプだと書いたが、これについてもう少し詳しく説明しておこう。
内部的な特徴のひとつが、スーパークリーン電源回路の採用だ。A-10SG TUBEではこの電源を用い、真空管に200Vの高電圧をかけている。また、小型で高出力な電源回路というと、現在はスイッチング電源が主流だが、ノイズの少ない、アナログ方式の電源となっているのもこだわりだ。
内容としては、発振回路で生成した400Hzのサイン波をアンプICで増幅したのち、トランスで昇圧し、最終的にDC200Vに整流した信号を得るというもの。サイン波だけで処理された理想的な電源出力とうたっている。
真空管自体は低電圧でも動作するが、高電圧で駆動したほうが信号レベルが上げられ、歪みの影響などが出にくくなる。そのぶん高音質化でき、真空管本来の良さが引き出せる。一般的なハイブリッド型真空管アンプでは、15V程度しか電圧を掛けず、真空管のドライブに本来必要な電圧が足りていない場合もある。結果、真空管の良さを完全には引き出せていないというのが、A-10SG TUBEを開発したConclusionの説明だ。
なお、スーパークリーン電源用のアンプICは、左右チャンネルの増幅に使うのと同じE-TDA7396を使っている。昇圧用のトランスは、A-10SG TUBEに向けて新規開発したものだという。
A-10らしさを感じられるのは、別売のリザーブ電源だ。電源回路の構成は歴代のA-10と同じになっており、力強さと静寂感(小音量時のノイズの少なさ)を兼ね備えているという。スピーカー駆動用の出力として、15W+15Wは決して大きくはないが、一般家庭で使用する際には10Wもあれば十分なので、問題にはならない。
なお、12AU7はギターアンプなどでよく用いられており、1000円程度から購入できる。本体のカバーは簡単に外せる。真空管の交換は音質変化を感じやすいので、興味があれば、差し替えて効果の違いを体験することもできる。
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