フリーランスエンジニア専門の採用支援サービスを展開する株式会社Value marketは、優秀なエンジニアを技術顧問の専属OJTでCTO/VPoEへと成長させる、育成型・採用支援サービス「CTOut(シーティーアウト)」を10月22日にリリース。株式会社Value market 代表取締役の内田 裕希氏と、同サービスで技術顧問を担当する尾藤 正人氏に、本サービスを企画した背景とその概要を伺った。
企業の即戦力となるCTOを育成する6ヵ月間のプログラム
日本企業の国際競争力の低下が話題になって久しい。巻き返しを図るにはデジタル対応やデジタルトランスフォーメーションの推進が急務だが、ネックとなるのがハイスキル人材の不足だ。能力の高いエンジニアはたくさんいるが、現実では採用ミスマッチから企業のなかで十分に力を発揮できずにいるという。
採用側は、CTOとしての即戦力を見極める方法がなく、幹部として受け入れる環境も整っていない。またエンジニア側も、優良企業の見極めが難しく、キャリアパスが確立されていないことから人材が定着せず、結果、CTO人材が育ちにくい原因になっている。
CTOutは、これまで十分なCTO/VPoEの経験を積む機会が得られなかった優秀なエンジニアを対象に、技術顧問によるOJTサポートを提供しながら、最短6ヵ月でCTO/VPoEを目指す育成型・採用支援サービス。従来のマッチング型の採用とは異なり、候補者の選考から実務現場でのOJTに至るまで経験豊富な技術顧問が担当し、一貫して成長を支援するのが特徴だ。
サービスの流れは、CTO/VPoE人材を希望する企業に対して技術顧問がヒアリングをし、候補者となるエンジニアを紹介。CTO/VPoE候補者として現場に参画しながら、ひとりひとりの成長に合わせて6ヵ月間のOJTを実施する。OJTでは、無制限のSlackサポートと個別ミーティングが提供される予定で、支援内容は企業や候補者に合わせて調整も可能だ。
企業に対しては、候補者の選考からサービスに契約するまでは無料で、6ヵ月間のOJTについてのみ、毎月の委託料と技術顧問によるサポート費用が発生する。なお、候補者のエンジニア側はすべて無料で、プログラム終了後はそのまま企業にCTO/VPoEとして参画できる。
このサービスを企画した尾藤氏は、UUUM株式会社の元CTOであり、現在は複数のスタートアップで技術顧問を務めている。
「関係先の企業から、いいCTO人材が見つからない、と相談を受けることがよくありました。彼らはCTOの即戦力を採用しようとしますが、今CTOとして活躍している人も、最初から即戦力があったわけじゃありません。スタートアップの中で会社の成長とともにCTOとして経験を積んでいったのです。即戦力となる人材は数が限られています。であれば、CTOの素質のあるエンジニアを育てていくほうがいいと考えました」(尾藤氏)
優秀なエンジニアだからといって、どんな企業でも活躍できるとは限らない。企業側の受け入れ体制と人材がマッチしてこそ、能力を発揮できる。CTOutでは、技術顧問が企業側とCTO候補となるエンジニアのハブとなり、6ヵ月間のプログラムで、企業に最適化された人材に育てていく。
エージェントサービスの構造的な課題がエンジニアの成長を阻んでいる
エンジニアがキャリアを積みにくいのは、既存のエージェントサービスの構造にも原因がある、と内田氏は指摘する。
「エージェントサービスは、長く働くことに最適化された仕組みなので、人の成長を加速するものではありません。その原因のひとつが、手数料のブラックボックス化です」(内田氏)
一般的な人材派遣・人材紹介会社は、仲介手数料が非公開で、企業側も人材側もどれだけ仲介料が含まれているのかがわからず、間に入っている会社次第で、報酬は変わってしまう。企業側はエンジニア側の収入を知らず、エンジニア側も企業がいくら払っているかわからないため、信頼関係は築きにくく、お互いに不信感が生まれやすい。
こうした構造上の課題を解消するため、同社のエージェントサービス「Code Climber」では、エンジニアの成長を促すため、もともと手数料・委託料をすべて公開しているという。
CTOutは、そこからさらにキャリアアップしたいエンジニアに向けたプログラムだ。
「CTO/VPoEには、経営や事業に興味があり、自分の市場価値を高めていきたいキャリア志向の人が向いています。現場の即戦力として働き続けている30代の方、またはネクストキャリアを模索している方には、ぜひ参加してほしいです」(内田氏)
CTOutのOJTでは、技術顧問の尾藤氏が候補者との毎週の1on1と、企業側の担当者を交えた定例ミーティングを週2時間ほど実施し、現場に入って課題の洗い出しから始めていくという。
「CXOは、組織全体への影響が大きい重要な仕事。私がもっているノウハウは体系化して、できる限り候補者に伝えて、しっかりと素地を作ってから送り出したい」と尾藤氏。
当面はソフトウェアエンジニアが対象。ニーズに応じて、ハードウェア系にも広げていきたいそうだ。
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