日本が存在感を示せるのは出口、AIやビッグデータの解析から特化した利用を
だが、「DXにおいて、日本の企業には、これからチャンスがある」と、伊藤特任教授は語る。
それは、2025年に訪れるDXの第2フェーズに入ってからだという。これは、ヤフージャパンのCSO(Chief Strategy Officer)である安宅和人氏の著書「シン・ニホン」で記されたものであり、2025年の崖のタイミングとも重なる。
現在、データとAIを活用して推進されているDXは、第1フェーズであり、外部から入ってくる基礎的な情報をどう仕分け、どう識別するかという段階。これを「入口」と位置づけられている。
一方で、2025年以降に第2フェーズに入ると、データとAIの2次的利用が進み、各産業において特化した利用や、調達、製造、物流、人事といった機能での用途が進展。業界特化、機能に特化した垂直利用が促進されるようになる。これにより、「出口」としての使い方が始まる。
「日本は、自動車や家電、重電、化学、ロボット、鉄、建築・土木といった産業をフルセットで持っており、出口を押さえている数少ない国である」とし、「出口では、業界や機能に特化した垂直領域で活用され、深いドメイン知識に基づいた作り込みと、セミカスタマイズが必要になる。日本の持ち味である現場や顧客に密着した力が生きる。AIとデータを生かすことができる経験値が相当に高い」と、伊藤特任教授は語る。
日本がDXの利活用で優位に立てるタイミングが来るというわけだ。そして、そのためには、2025年の崖をクリアしておかなくてはならないのは言わずもがなである。
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