NTTとNTTドコモは29日、緊急記者会見をオンラインで開催。すでに報道されていた、株式公開買付によるNTTドコモの完全子会社化について発表した。また、12月1日の予定で、NTTドコモの代表取締役社長が、NTT出身で現在はNTTドコモ代表取締役副社長の井伊基之氏に交代することについても公表している。
ドコモの完全子会社化後に、NTTコム/コムウェアも移管へ
5G時代の競争にグループ一体化での経営が必要
会見冒頭に登壇した、NTT代表取締役社長の澤田 純氏は、今回の完全子会社化の背景について、「グローバルレベルでのダイナミックな経営環境の変化に対応する必要がある」とし、完全子会社化にともなう取り組みとして、「法人営業力の強化」「サービス総出力の強化」「コスト競争力の強化」「研究開発力の強化」の4つを挙げた。
また、移動通信に限定されない、法人向け新サービスの創出やリソースの最適化などを目的として、NTTドコモの完全子会社化の後に、NTTコミュニケーションズやNTTコムウェアのNTTドコモへの移管を考えていることを公表したが、組織的にどうするか、吸収合併といった形にするかについては、現時点ではまだ決まっている事柄はなく検討中とした。
続いて、NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏は、今回の完全子会社化を受け入れた背景として、通信事業での競争激化、モバイル業界に限定されない、異業種のプラットフォーマーとの競争加速など、市場環境の変化を挙げた。特に5G時代はモバイル通信に対する求められる部分が大きく変化しており、ドコモ自ら、すべてのお客様のニーズに応えられる存在へと変革するための取り組みとした。
また、質疑応答ではいつ頃から完全子会社化を検討したのかという問いがあったが、これに対してNTT澤田社長は、ドコモについて「シェアは大きいが利益は3番手」と語り、「こういう形で経営強化をしようと始めたのは4月後半」とした。一方のドコモ吉澤社長は「ドコモには6月に申し入れがあった」と明かしている。
また、今回の完全子会社化について、政府から求められている携帯料金値下げとの関連性について問われたが、これについては「まったく別」(NTT澤田氏)としつつも、「今回の取り組みの結果、財務基盤が強くなり、その結果、値下げの余力が生まれる」ともコメントした。
さらに競争政策上の問題についての問いには、「ドコモのシェアは40ちょっとで、他社が30%前後という状態。(モバイル黎明期と異なり)NTTが一方的に強いというわけではない」とし、さらにトータルなサービス・ソリューション提供では逆に、「ドコモだけビハインドの状況」「NTT東西を包含したNTTグループだが、それらを含む形での再編ではないため、法制度上の問題はない」(NTT澤田氏)と理解を求めた。
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