セミオープンのハウジングに12mmの大口径ドライバーを搭載
Elite 85tには、12mmと口径が大きい、カスタム設計のダイナミック型ドライバーが採用されている。
残念なことに筆者は、本稿を執筆している段階で新製品の音質を確認できていない。チューニングの方向性は「Jabraが展開してきた他のイヤホン、ヘッドホンのプレミアムモデルと同様にニュートラルなバランスと、原音に忠実な再現性を重視しながら音質を追い込んだ」とLilliehook氏が語っている。
低音の再現性についてもパワー重視ではなく、明瞭度を高めることによってリアリティを追求した。「ハウジングの構造が半密閉型になり、ドライバーのサイズも大きくなっているが、当社の豊富な経験と技術力を持つオーディオエンジニアたちが奮起してくれたことで、Jabraのサウンドシグネチャーを見事に新製品でも継承してくれている」のだとLilliehook氏は満足げな表情で語った。
Bluetoothオーディオのコーデックは標準のSBCとAACまでの対応としている。
Android系のスマートフォンや音楽再生に特化したポータブルオーディオプレーヤーの中には、クアルコムのaptXコーデックに対応する完全ワイヤレスイヤホンもある。「Jabraでは音質のほかに、接続の安定性を担保できるオーディオコーデックとしてAAC/SBC対応が現状のベストであると考えているから」だと、Lilliehook氏が理由を述べている。
左右のイヤホンは、NFMI(近距離磁気誘導)のテクノロジーをベースに、Jabraが独自にチューンアップを施したもので接続する。音切れやノイズの混入を少なく抑えられるのが特徴だ。
そのコンパクトさに筆者も驚いたElite 75tシリーズの6mm口径のドライバーよりも2倍のサイズのドライバーを搭載しながらも、本体の小型化を徹底して突き詰めた。
イヤホンの筐体サイズはElite 75tと比べて質量は約1.4g重くなっただけ。ハウジングの高さサイズも約1.3mmほどのサイズアップに抑えて、Elite 75tとボタンの操作感を同じにした。筐体はIPX4相当の防滴設計とした。
「イヤホンのサイズをコンパクトに抑えるための設計技術は、例えば通信用アンテナの電波感度を落とすことなく配置を最適化する技術など、Elite 75tの開発段階で基礎を確立できていた。当社がヒアリングエイドシステム(補聴器)のトップリーダーであるGNグループのメーカーであり、耳に装着して使うデバイスを小型化する技術について、ヒアリングエイドの開発資産を活かせたことも小型化に大きく貢献している」とLilliehook氏が説明する。
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