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往年の名車シリーズ

地上の戦闘機! HKSの500馬力R34スカイラインGT-Rは今でも輝く至宝の名車

2020年09月20日 12時00分更新

名車を振り返るシリーズ
日産「スカイライン GT-R(R34)」を同乗試乗!

 日産の名機と呼ばれるエンジン「RB26DETT」を心臓部にもつR34型スカイラインGT-R。クルマ好きなら、誰もが一度は憧れたことのある名車です。往年の名車シリーズは、そんなR34GT-Rの500馬力仕様が今回の主役なのです。

10年以上乗り続け、走行距離20万キロのR34型GT-R

 このR34 GT-Rのオーナーはアフターパーツの大手エッチ・ケー・エス(HKS)のアンテナショップ「HKSテクニカルファクトリー」菊池店長。ビデオオプションなどを見られている方にはおなじみの、クルマ業界で知らない人はいないという御仁です。別件でHKSを取材した際に、こんなクルマもあるんだけど……と登場したのが500馬力のGT-Rだったのです。

 もともとディーラーメカニックだった菊池さんがHKSに入ったのは30年前のこと。「メカ志望でHKSに入社したんですけれど、気づけば営業をやらされまして。今ではショップの店長ですよ」と笑う菊池さん。以前、山田選手(別名:ラーマン山田)がビデオオプションで「あいつ、元暴走族のトップだった」とおっしゃっていたので、勝手に怖い人だと思っていたのですが、実際は大違い。物腰柔らかな紳士でした。

500馬力のR34 GT-Rオーナーの菊池さん。多くの顧客から絶大な信頼を寄せるHKSテクニカルファクトリーの代表だ

 「以前はランタボ(三菱 ランサーEX 1800GTターボ)に乗っていたのですが、10年前に『R34GT-Rを手放したい』というお客様がいらっしゃいまして、250万円で買い取りました。今では考えられない値段ですね」と菊池さん。イマドキのR34型GT-Rは中古価格で1000万円も珍しくないですから、なんと羨ましい話なのでしょう。

 「ショップとしての看板車が欲しかったこともありまして、そのまま私が引き取りました。最初はブーストアップの400馬力仕様。休みの日になると富士スピードウェイに行き2分切りを目標に走りこみましたね」というから恐れ入ります。ちなみにRB26DETTをノーマルからブーストアップで400馬力を狙うには約40万円程度で済むとのこと。1馬力1万円が当たり前と思っていたので、意外とリーズナブルに思えてしまいました。

菊池さんのR34 GT-Rのコクピット

シートはレカロのフルバケット

エアコンダクトの上にラップタイム計測に役立つ「サーキットアタックカウンター」を配置。サーキット走行で便利なツールだ

助手席はレカロのセミバケットシート

 「2分を切って、次のステップとしてタービンを交換しました。エンジンは排気量アップせずにそのままで、タービンと合わせてインジェクターを交換、あとインタークーラーとオイルクーラーの強化などかな。もろもろで200万円くらいでしょうか。富士で1分57秒位は出たのですが、その後、谷口信輝選手に乗ってもらったのですが、1分55秒7が出まして(笑)。やっぱり彼は上手いなぁと」。いえいえ、現役のトップドライバーと2秒と変わらないのですから相当な腕前です。

綺麗に保たれているエンジンルーム。中央に500馬力を発するRB26DETTを納める

過給機はHKSのGT3タービンに換装されている

キノコの愛称で親しまれてるHKSのエアクリーナーを2基搭載。その姿だけでもこのクルマがタダモノではないと思わせるに十分な迫力がある

ノウハウを蓄積することで
お客さんからの信用も高まる

 このような知見は、ショップとして大切な財産だと菊池さんはおっしゃいます。「お客様からすると、大切なクルマを『この人に任せていいのか』という時に、チューニングカーを持ち、走らせてノウハウがあることは信頼・信用に繋がります。その意味でRB(エンジンのクルマ)に乗っているというのは大切なことでした」。まるで某漫画のポエムのようですが、顧客にとって菊池さんの実体験を元にしたアドバイスは大変役立つものです。なにせチューニングパーツは高額であるにも関わらず、試してから購入することができませんからね。

500馬力を発するRB26DETT。点火系には、強い火花で高回転時の失火を押さえるスーパーファイアーレーシングコイルプロが使われていた

吸気温度を下げるべくインタークーラーを大容量化。フロントバンパー直近の銀色の箱がそれだ

 現在ではサーキット走行はされていないという菊池さん。ですがこの500馬力仕様のまま、なんとショップまで毎日20km弱の足として使っているというから驚きです。10年間、走行距離にして10万キロ。その間、ほとんどノートラブル! 朝の渋滞もへっちゃらというから恐れ入ります。サーキット走行から街乗りまでこなしてしまうR34 GT-Rは、いわば通勤快速といったところ。ですが「最近、おばちゃんの軽自動車に煽られたり、横入りされたりするんですよ」だそうで……。

エンジンオイルクーラーも大型化されていた

 気を付けていることとしては「昔のクルマですので、きちんと暖機をしないとダメですね。エンジンオイルがエンジンの隅々まで回ったかなぁ、とイメージをもってからクルマを動かしています。あとサーキット走行した後は必ず、普段も3000~5000キロごとにエンジンオイルを交換している程度ですね」とのこと。ハイチューンなクルマだからといって普段乗りができないクルマではなく、さらにきちんと油脂類を交換する程度で維持できるという話は、どこか勇気づけられます。

HKSテクニカルファクトリー代表の菊池さん

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