直径7mmのグラフェンドライバーを使用
音質の核になるドライバーは、直径7mmでグラフェンコートを施した振動板を使っている。音質は優れており、市場に出回っている同価格帯の完全ワイヤレスイヤホンの中では、高域がよく伸びてクリアな印象を持った。
例えば、子音がハッキリと聞こえ、歌詞の内容などがしっかり伝わってくる。低域の量感は過度に広がらないよう抑えているが、分離感がよく、引き締まってパワフル。ドライかウェットかで言えばウェット、ウォームかブライトで言えば、いくぶんウォームな傾向になっている。全体的な音調は柔らかく、広がり感がある。
映画館で聴くような広がり感、声の聞こえがよく疲れにくい
低価格イヤホンで、ポップスやロックなどを聴くと、低域が盛られ、迫力を感じる一方で、ボーカルなどの中域と被ってしまい、こもり感があったり、抜けが悪いと感じたりすることも多いが、本機はそういった印象がない。ぱっと聴きでも「クリアで、抜けのいい音」に感じる人が多いのではないだろうか。
低域の量感は過度ではないと書いたが、ゆるく広がりすぎないだけで、実際にはかなり出ている。ベースなどの芯はしっかり沈んでいるし、キックなど必要なところでは立ち上がりよくダイナミックに響かせるので、ドラマチックで迫力あるサウンドになっていると言える。
大きくは、Hi-Fiテイストでワイドレンジな傾向と言っていいと思う。サ行など子音付近の帯域に少しピークがあり、かつ100Hz以下のローエンドを持ち上げている感じもするので、曲によってはドンシャリ感が出てくるが、これもアコースティックな音源にはマッチしやすい。個人的には映画館で聴く音を思い出した。音のダイナミクス(強弱)を広く取り、空間に広がった音に体が包まれる感覚がある一方で、セリフなどはしっかりと伝わってくる。そんなイメージだ。
軽い装着感で、声が聞き取りやすいので、長時間のウェブ会議なども疲れにくくこなせるのではないか。
ジャンルについてはあまり選ばなそうだ。ノイズキャンセリングによる静寂感の高さもプラスに働いていると思う。オーケストラであれば、高域の弦などが前に出てくるし、残響や倍音の再現に重要な、さらに上の高域も弱音まで繊細に伝える。ボーカル曲であれば、歌手の息づかいや細かなニュアンス、ホールで演奏するクラシックであればホールに響く反射音の余韻まで伝えてくれそうだ。
軽いため、長時間利用でも負担が少ない
本体の連続再生時間はノイズキャンセルオンで約3.5時間(ケース充電併用で20時間)。オフの場合では連続4時間(同24時間)に延びる。やや短めだが、実用上は問題ない長さだろう。ケースをフル充電するまでの時間は約80分と速く。ワイヤレス充電にも対応する。イヤホンの重量は片側3.95g、本体+充電ケースで55.5gと、かなり軽い部類に入る。
上述した滑りやすさ、指紋の付きやすさがあるものの、装着してしまえば快適で長時間意識せず着けていられる。なお、タッチセンサーの誤動作などを防ぐために、装着時には軸ではなく、側面をつまむように持つといいだろう。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります