ノイズキャンセルの何をアダプティブにするか?
それでは、Adaptive ANCは「何に応じて」「何を可変にする」のだろうか?
上記クアルコムのブログによると、Adaptive ANCは主に完全ワイヤレスイヤホン向けの技術で、ポイントは「natural noise leak-through」(自然に外音が漏れ聞こえること)であると書かれている。
ANCは、耳障りな外部ノイズを低減させるが、同時に聞こえなければならない環境音も低減させてしまう可能性がある。
例えば、ランニングをする際には、近づいてくる自動車の音が聞こえた方が安全であるし、通話しているときは自分の声が聞こえた方がより自然だろう。また、クアルコムは「多くのユーザーは完全に外音が遮断されると不自然と感じる」としている。
ANCの効き具合は、イヤホンと耳との密着性による点も大きいが、長時間着けているとこれが不快になることもある。さらにスポーツで使用する際はもちろん、ちょっと頭を動かしただけでも密着性は変化してしまう。
先の調査では、53%のユーザーが快適性を購入理由としており、クアルコムはここも重要視していると思われる。Adaptive ANCでは快適性を維持するため、この密着性の変化によってANCの効果が損なわれないようにする点も目指しているようだ。
Adaptive ANCでは、動的(リアルタイム)に、こうした密着状態の変化と外音の漏れ具合を知り、ANCの効き具合を適切なものに調節する技術のようだ。装着状況に変化があっても、一定のANCの効き具合が保証され、同時に周囲で何が起こっているのかも把握しやすくする技術ということになる。
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