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NTTデータのオープンイノベーション「豊洲の港から」定例会

中東欧からICT代表団が来日 10社が豊洲でビジネス機会を探る

2018年12月04日 09時00分更新

 NTTデータのオープンイノベーションフォーラム「豊洲の港から」として10月18日に第3回定例会「中東欧スペシャル」が開催された。NTTデータとスタートアップ、大企業がすべてWin-Win-Winとなり世界を変えるようなイノベーションを目指すイベントで、今年で5年目。すでに10件以上のビッグビジネスに結びつく成果があるという。今回の定例会では、チェコやポーランド、ハンガリーという中東欧のICT代表団の方々が来日。日本でバートナーを探すべくプレゼンを行なった。

NTTデータ 残間光太朗氏

 各社のプレゼンの前に、NTTデータの残間光太朗氏は、「今回は中欧ヨーロッパの方々に来ていただいております。なかなか巡り会う機会がない国々だと思います。しかも、イノベーティブな方々に来ていただいているので、知り合いになれる非常に貴重な機会となっています。皆さんここでビジネスを作っていきましょう」と挨拶。

名古屋大学 大学院情報科学研究科 山本修一郎教授

 当フォーラムのリーダーである名古屋大学 大学院情報科学研究科 山本修一郎教授は「プラハとブタペストには幾度となく足を運び、よく知っていますが、チェコとポーランド、ハンガリーという3つの国がヨーロッパの中心として、ICTが進んでいます。今回来ていただいた企業の方のビジネスについて楽しみにしています」と述べた。

JETROプラハ事務所 所長 村上 義氏

 JETROプラハ事務所 所長の村上 義氏は、中東欧の現状について、「今回はチェコとポーランド、ハンガリーから10社ほど連れてまいりました。中東欧は、1989年の体制転換後はなかなか景気が上がりませんでしたが、2004年にEUへ加盟したあとは、補助金も入り急成長しました。リーマンショック後はEUの中でも、この3ヵ国とスロバキアは高成長を続けています。主要な産業は自動車で、日本の自動車メーカーもトヨタやスズキなどが進出しており、ポーランドに300社、チェコに250社、ハンガリーが150社の日本の企業があります。このため日本に対する感情はよく、とても居心地の良い国です。今回ICTの分野は、かなり力を入れて育てようとしているところで、今回来日した10社は、日本市場に関心をもっている企業ばかりです。ぜひ、お話を聞いてパートナーになれればと思います」と説明した。

Flowmon Networks a.s.

Flowmon NetworksのMichal Bohatka氏

 チェコのFlowmon Networks a.s.は、次世代のネットワーク・トラフィックおよびセキュリティーのモニタリング・ソリューションを提供している企業だ。創業して11年になり、最初に100Gbitのモニタリング・デバイス・プローブを投入。Gartnerのマジック・クアドラントにモニタリングとネットワークの可視化について高い評価を得ており、IBMやVMware、Cisco、Gigamonなど多くのテクノロジーパートナーと仕事をする。すでに40ヵ国以上のマーケットで展開しており、800以上のビジネスパートナーと取引しているという。

 ネットワークの可視化の中でも、特にエンドポイントセキュリティーと境界セキュリティーに注力している。管理面では、ネットワーク・パフォーマンスの監視と診断(NPMD)やアプリケーション・パフォーマンス・モニタリング(APM)、セキュリティーの観点では、ネットワークの行動分析(NBA)やセキュリティー・モニタリングといったソリューションを展開。1Gbitから100Gbitまで対応可能としている。

 さまざまなデータソースを「Flowmon Collector」という機器を介することで、レポートや分析が行なえるようなる。さらに拡張することで、ネットワークの可視化によるトラブルシューティングや、APM、トラフィックの記録、DDoSの検出と軽減などをウェブ上で見える化も可能だ。

 また、スケーラブルなものになっていて、ハードウェア・アプライアンスだけでなく、さまざまなクラウド環境向け(VMware、Hyper-V、KVM、AWS、Azure)の仮想アプライアンスを提供。サービスとして提供も可能で、たとえばTelecomのデータセンターやセキュリティーセンター、オペレーションセンターへは、サービスとして提供する。

 Michal Bohatka氏は「業界でトップクラスの性能であり、スケーラブルで、すぐに使えるソリューションを提供できると自負しています。さまざまな企業と取引させていただいてますが、コニカミノルタや大塚商会、セガ、さくらインターネットといった日本の企業にも、すでにサービスを提供しています。また、R&Dセンターなどとも取引しており、日本市場でのビジネスチャンスに期待しています」と語った。

Mycroft Mind, a.s.

Mycroft MindのFilip Kovac氏

 エネルギー市場は大量のデータが溢れており、消費者はスマートメーターなどのインフラを使い、詳細なデータを収集できるようになっている。電力事業者は、そのために多くの投資をしてきたが、太陽光発電やEVの充電など、新たな技術に対しても対応していく必要がでてきている。そこで、受動的なインフラを能動的なインフラへ変えていく必要がある。チェコのMycroft Mindは、そういったインフラに対し、AIと機械学習によって自動的に高度な分析を可能にするソリューションを提供している。

 煩雑なデータの中からビジネスにとって有益なデータを見極め、それぞれのデータの相関を検証し、データの分類や予測、クラスタリング、検知、類似点の発見などを行ない、お客様へ提供している。

 データの処理や分析、最適化は「deepgrid」と呼ばれる機械学習アルゴリズムによって行なわれ、そこから出た有用なデータをスマートグリッドに還元していく。たとえば、電気の盗難の検出や軽減、エネルギー使用の予測、エネルギー使用量のリアルタイム比較、EV充電ステーションの場所の特定などといった具合だ。

 Filip Kovac氏は「Mycroft Mindは、チェコにおいて7年以上経験を積んでいることが強みです。イノベーティブなソフトウェアを提供していることも自負している。我々のソリューションは、非常にスケーラブルでフレキシブルなものになっており、すぐに使えるという点もポイントです」と語った。

 2017年までは国内でやっていたが、2018年からは世界へ拡大を目指している。まずはEU圏のスペインやポルトガルなどへアプローチを始めていて、中東に対しても市場へ参入している。さらにカナダでも活動を開始している。

 カスタマーとしては、チェコのエネルギー企業や大学、スペインのユーティリティ企業IBERDROLA、カタールのユーティリティ企業スマートシティのプロジェクトなどで実装や検証が行なわれている。

 またDeloitteやグリーンハウスとパートナーシップを組んでおり、グローバル展開をしていくとのこと。日本では新たな顧客、技術、戦略パートナー、そしてユーティリティ部門やIoT&スマートシティの取り組みを探している。

GrayCortex s.r.o.

急遽登壇したY SoftのHiroshi Muto氏

 今回、チェコのGrayCortexの代表が急遽来日ができなくなり、グレイコルテックス社をグループ会社にもつY SoftのHiroshi Muto氏が、同社のサポートもしているということで会社概要を紹介した。

 チェコとスロバキアには、多くのセキュリティー企業があり、ネットワークとセキュリティー技術に長けた国と言える。同社は、その中でも新しい会社だ。チェコで2004年にスタートアップとしてアイデアだけは出していたが、会社の設立は2014年のこと。ネットワーク・トラフィック分析・ソリューションである「Mendel」は、IoTデバイスやSCADAネットワークを含むネットワーク上のすべてのデバイスの通信を監視し、それを分析して信用できない通信から異常を特定することができる。

 ネットワークへの変更を最小限に抑えつつ、情報資産に対する脅威やリスクを可視化して気づきを与えるのが、このソリューションの目的。IDSやIPS、SIEMのカテゴリーを含んではいるもの、基本的には境界突破が対象。ログが監視対象となり、入力から抽出、評価、保管、通知&可視化をスケーラブルに行なえる。また、一般的なアノマリ検出もシグネチャベースやポリシーベースを利用し、AIを使った自動検出が可能である。

 いままでは、ITネットワークが中心だったが、これからSCADAやOTに注力してくとした。これらはスラングもあり、オリジナルもあって、なかなかやっている人が少ないため、いろいろと問題が起きている。そこでNTAを使ったSCADAやOTをきちっとマネージメントしましょうというのが新しい製品群だ。

 エンドユーザーとしてはエネルギー生産や工場、流通企業などにフォーカスしており、電力会社やITとOTが共存したお客さまが対象。PoCの段階から発見し、きちんと管理、コントロールする。このため、日本でも重要なインフラを抱えている企業に対して、システムインテグレーションとサポートサービスを提供するパートナーを探しているとした。

ELTE-Soft Ltd.

ELTE-SoftのAdam Tarcsi氏

 今回ハンガリーから唯一来日したのがELTE-Softだ。300年以上の歴史をもちハンガリーを代表するEotos Lorand大学(ELTE)とパートナー企業によって運営されている。イノベーション系R&D企業で、ELTE-SoftとEIT Digital、ELTEの3つの組織がある。

 ELET-Softは通信や教育、金融、さらにリモートセンシングやAI、イメージプロセッシングの分野に対応した企業だ。ソフトウェアによるビジネスの課題を解決することを行なっている。プロジェクトによっては大学の支援を受けられ、ELTEの研究者と共同で進めることもあるという。ボッシュやエリクソン、SAP、ドイツテレコムなどさまざまな企業と仕事をしている。

 もっとも注力しているはAIの分野だ。ELTE-Softのプロジェクトからスピンオフも誕生している。またブロックチェーンのプロジェクトも活発に行なわれており、サイバーセキュリティーも重視している。FinTechは2006年からプロジェクトを組んでおり、通信分野はドイツテレコムをサポートするために、データサイエンスチームを組織して関わっている。

 EIT Digitalは、ヨーロッパ最大のデジタルネットワークで、EU圏に10の拠点があり、ヨーロッパ全体をカバー。シリコンバレーにもハブをもっている。EITは、もともと欧州イノベーション技術機構という組織のデジタル部門にあたり、EITのネットワークに加盟している企業は170社にも上り、ヨーロッパの主要IT企業は網羅されている。

 また、スタートアップの支援をやっており、順調なスケールアップを助けるために、ビジネスパータトナーと組んで、たとえばハッカソンなどのイベントの企画もおこなっている。世界のデジタルアクセラレーターのランキングでEIT Digitalは8位にランクしている。

 3つの組織が共同で、IoT Open Innovation Labを立ち上げ、技術的なサポートやソフトウェア開発、データ分析などを行なっている。プロジェクト例としては、プロックチェーンをベースとした食品トレーサビリティシステムや、食品加工のラインでカメラを使ったパターン認識による商品の品質保証を行なっている。

 また、農業分野のアグリテックや新たなウェアラブルで決済ができるFinTechのプロジェクトにも参画。医療用のペット向けソリューションやリハビリ用デバイスのプロジェクトにも関わっており、農業からEヘルスといったさまざまな分野で研究を進めている。

Every European Digital

Every European DigitalのCEO Dariusz Nachyla氏

 ポーランドのEvery European Digitalは、産業向けIoT技術開発会社だ。多くのエンジニアを抱え、産業向けのIoTデバイスのデザインを手がけている。シンプルさや耐久性、信頼性、長寿命のデバイスをモットーに設計しており、多くのセンサーが15年以上バッテリーの交換なく利用できるのが特徴である。長寿命を実現するために、検知やデータを伝達する部分の省電力化はもちろん、通信はSMSを活用している。

 ターゲットとしている企業は、ユーティリティの企業だ。分散された施設や設備を管理したいというニーズに応えるように商品を提供したい。また、もう1つのターゲットは地方自治体である。都市に関係するリスクを監視・管理をしたいというニーズにも対応してる。さまざまな施設管理者やセキュリティ企業は、運営コストを下げたいと考えており、そのような企業へソリューションを提供したいと考えているという。

 提供しているセンサーは、動きや振動、圧力、距離、温度などの変化を感知できるもの。通常はプラグ・アンド・プレイとして、製品をつなげるだけで利用できるタイプが使い勝手がいいと考えられているが、この企業の製品は、なにかに接続する必要はなく、すぐに利用できるのが特徴である。

 このため、非常に簡単な操作になっており、センサーを設置すれば、複雑なことをせずに起動が可能。そこで収集された情報はデータとして送信されるが、ユーザーの携帯電話やレガシーシステムでも連携でき、集約したデータはユーザーが簡単にアクセスできるようになっている。

 活用事例としては、たとえばマンホールカバーにセンサーを取り付けるだけで、開けられたらすぐにわかるようにできる。これにより、許可されていない人間が勝手にマンホールを開けて中に入ることを防げる。テロ活動を未然に防止するためにも有効だ。外部電力の必要ないため、15年間利用できる。イタリアの鉄道会社が、このセンサーを使って地下ケーブルを盗難から守るために活用している。

 ほかには、ゲート監視センサーがある。普通の門に設置することで、コネクテッドゲートへと変えられる。住宅のほか公園などでも活用できるだろう。また、振動監視用センサーなら、発電機の下に設置して、オンとオフを振動で感知して認識するようになる。センサーをどう活用するかは各企業しだいだ。

 Dariusz Nachyla氏は「われわれのソリューションは公共事業を担う企業やそれをサポートするメンテナンス業者などで活用できるはず。日本市場では顧客とビジネスパートナーを見つけたい」と語った。

ASD Consulting

ASD Consultingのマネージングプランナー、Rafal Osmola氏

ASD Consultingのシニアコンサルタント、Jacek Kozlowski氏

 ポーランドのASD Consultingは、戦略・オペレーションコンサルティング企業だ。大学で研究をしてきた人が多く、ビジネスのプロセスを熟知していることを強みに、コンサルを行なっているという。

 コンサルをするにあたり、製造業や営業マーケティングなら一連の作業があるため、それぞれのステップにおいて、データを収集して生かしている。ただ、膨大なデータがあればいいが、生産や物流といったところにはデータが少ないので、IoTを使ってハードやソフトウェアにより、データの少なさを解消している。

 依頼された企業のプロジェクト目標を達成させるため、顧客のバリューチェーン全体の生産性を向上させることにフォーカス。プロセスの発見やボトルネックの特定に使用されるAIをベースとした独自の方法・ツールを開発している。それらにより、計画の実行時間を短縮させ、実行する時間と場所に合わせた最適なツールを選択することが可能だ。

 パートナー企業は多数あり、製薬業や製造業、ロジスティクスなどにおいて、サプライチェーンの再構築やボトルネックの除外、ビジネスアプローチの変更、市場における競合企業の存在といった課題の解決に貢献している。

 どのように業務効率化を図っているのかというと、まずアプリケーションを活用してさまざまなデータを収集して準備を行ない、データベースを構築。続いてデータマイニングツールを活用して、最適化に役立つ形にする。ポイントとしてはシンプルな方法論から始め、複雑なメソッドを立てていくことだ。最適化された情報をもとにプランニングロボットを使って活用していく。結果としてリードタイムの短縮やリソースの最適な活用、遅延も含めて効率化を図っていく。

 Jacek Kozlowski氏は「投資に対するリターンに対して、5倍から10倍を享受します」と訴えていた。

 日本市場では、製薬業、製造業、ロジスティックスといった分野との協業を目指しているとのこと。現状、複雑なプロセスや大量のデータを生かしていないものの、成長のポテンシャルを感じている企業とパートナーを組みたいとしている。

REDNT sp. z o.o.

 同じく、ポーランドのREDNTは13年目になる会社で、OT、IT、SCARAシステムに注力している。主に、産業界やエネルギー業界に「MOLOS.colud」と呼ばれるIoTソリューションを提供しており、さまざまな産業プロセスからデータを取得・分析・可視化することに特化。IoTソリューションを使いながら、お客さまのメリットになる形で提供している。

 MOLOS.coludは、IoTおよび分析エンジンとしてAzureと、独自の専用ハードウェアをベースにしており、効率的な遠隔モニタリングや予測メンテナンス、エネルギー効率の最適化が行なえる。AIを活用し、顧客に特化した産業IoTビジネスソリューションをデザイン・構築でき、出力はOTやIT、SCCARAに提供している。これにより、市場投入を早めたり、確実なものづくりをしたり、デザインの敏捷性も確保できる。

 さらに、必要なデバイスの設計製造、使用するデータも開発。それらを活用してデータを収集している。収集したデータをモデルに走らせるために、事前に分析プラットフォームも用意し、その後の可視化も提供している。

 MOLOS.coludは、すでにさまざまなビジネスで利用されている。たとえば、鉱山設備の遠隔モニタリングや産業機械の予測メンテナンスおよび遠隔モニタリング、自動車産業のオペレーションロボットのパターン認識と障害の発見、風車タービンの予測メンテナナンスなどといった具合だ。

 特にエネルギーや自動車、産業、化学などの業界で、このソリューションは最適だとしている。自動化された組立ラインでミスを発見し、それを解決できるからだ。組立工程をロボットで検証し、PLCコントローラーを接続してデータ分岐した結果、組み立てのミスを劇的に減らして、生産効率が6倍になったという実績もあるという。

 Nichael Kaczurba氏は「日本の企業とどうやて協業していけるのか、いろんな人と接触して感触を得たい」と語り、日本市場におけるMOLOS.coludのポテンシャルを調査したいとした。

Atende Software Sp. z o.o.

 10年前に創業したポーランドのAtende Softwareは、R&Dの組織として立ち上がり、さまざまな革新的な技術を開発してきた企業だ。初期のころ、インターネットテレビを開発し、ポーランド最大のインターネットテレビプロバイダーにサービスを提供。「現在ポーランドに1000万人のユーザーがいるデバイスに対して技術を提供してきたことを誇りに思っている」とPawel Pisarczyk氏は語った。

 パートナー企業としては、多くの企業が地元になるが、NXPはIoT業界に対して同社のOSを提供してくれている。同社が提供している商品は、以下の通りだ。

 「besmmart.energy」システムはスマートメーターに関するプラットフォームで、中東欧の地域でサービスを展開している。ヨーロッパにおける展開は大規模なものになっており、ソリューションを提供することによって、マイクログリッドを活用して、エネルギー消費の予測や抑えるようなメリットを享受できるとしている。ポーランドではいくつかのテストプロジェクトも走っているそうだ。まだ開発中で、フルスケールのものは提供していないが、これが実現すれば、発電や取引に活かすことができるようになるとしている。技術に関してはパートナー企業を引き続き見つけていきたいと考えている。

 「redGuardian」はDDoS攻撃からソフトウェアを保護するシステムで、1台のサーバー上で毎秒1億パケットを処理でき攻撃を防ぐことができる。ポーランドの大手データセンターや保険会社などに提供している。

 「Phoenix-RTOS」はオープンなリアルタイムOSで 、マイクロカーネル構造を用いてスクラッチから開発してきたもの。次世代のIoTの危機に対して、付加価値を提供するというような商品となっている。世の中には、さまざまなデバイスがあり、さまざまなOSがあるが、世界中で幅広く活用されている。世界中にシステムを展開しており、ヨーロッパだけでなくロシアやカザフスタン、アジアにも提供している。

 Atende Software氏は「これまで主にスマートメーターやスマートグリッドに関しての商品を提供してきたが、今後さまざまなセグメントに参入していきたい」と意気込みを語った。日本市場においては、エネルギー分野を専門とするインテグレーターやPhoenix-RTOSに興味のあるIoTソリューションのメーカー、redGuardianまローカルプリケーション向け通信会社を専門とするインテグレーターと接触したいとしている。

AVSYSTEM

 AVSYSTEMは、通信事業者向けの大規模ソリューションに注力した企業だ。当初は地元のISPや通信事業者などの企業にサービスを提供するICT業界に注力してきたが、現在はネットワークプロバイダやSigfox事業者、デバイスメーカーに特化したベストなIoTソリューションを開発している。

 活動領域は世界中に広がっており、ポーランドにある本社のほか、オーストラリアやアメリカ、スウェーデン、ブラジル、アラブに拠点がある。今回、日本でもインテグレーターやディストリビューターといったパートナーを探しているとしている。

 同社の売りはLightweightM2M(LwM2M)プロトコルである。軽量で低消費電力のデバイスを、リモートで効率よく管理でき、常に安定していないネットワークでの信頼性を向上させるためのデバイス管理プロトコルだ。

 LwM2Mプロトコルを活用し、もっとも重要視しているのが、IoT管理ソリューションである。「IoT Data Orchestration」は、さまざまなデバイス、サーバーなどからのデータを収集し、それを活用するプラットフォーム。「LwM2M SDK」はライブラリーのようなもので、ベンダーがサポートを行うために用意されたものだ。

 ほかには、サブスクライバー・マネージメント用としてDHCPサーバーを提供。また、Wi-Fiの付加価値サービスとして「Linkyfi」というプラットフォームがある。アクセス管理のソリューションで、「Linkyfi Location Engine」という技術があり、ある特定の場所にWi-Fiモジュールを持って侵入した場合、オン・オフにかかわらず検知できるエンジンになっている。マーティング・プラットフォームとしても活用可能だろう。

 デバイスマネージメントに関しては、フラッグシップ商品の「UMP」がある。スケーラビリティをもったプラットフォームで、さまざまなデバイスのモニタリングを行ない、予測機能にも対応。FTTH、LTE、xDSL、WiMAXなどさまざまなプロトコルをサポートしている。対応できるデバイス数は、プロトコルによって異なるが、最大で200万デバイス以上をカバーできるものとなっている。

 また、UMPの小型版として「UMP Cloud」を展開している。たとえば、ISPプロバイダなどで、200から500のデバイスを管理するために利用されている。

 カスタマーたちには、大手の通信事業者であるボーダフォンやオレンジのほか、日本の企業とも取引しているという。さまざまなソフトを売っているが、開発や販売以外にも積極的に業界の標準化にも参加している。LwM2Mプロトコルにも貢献し、オープン・モバイル・アライアンスにも参画しており、さまざまなプロトコルの互換性の検証にも関わっているとした。

Coinfirm

 ポーランドのCoinfirmは、企業のコンプライアンスに対応するチャレンジをサポートする商品を開発しており、1つはブロックチェーン技術をベースとしたマネーロンダリング対策ソフト、もう1つは金融機関でも利用されている本人確認のソリューションをパートナー経由で提供している。

 創業時は10人だった企業だが、いまは100人規模となり、創業時から比べてかなり収益アップを実現しているという。

 ブロックチェーンの現在の状況というのは、さまざまなマネーロンダリング対策が施されているが、2兆ドルという世界規模に対して、不正な動きを感知し対処できるのは、わずか1%に過ぎない。

 仮想通貨の取引は世界中に広がっているが、企業でのマネーロンダリング対策という意味での規制が強化されている。あらゆる事業者は、ブロックチェーンを活用して、金銭的な取引をしたいときは、これらの規制に従わなければならない。

 ブロックチェーンと従来型の違いは、どのように情報を収集して保存しているのかということ。従来型は中央銀行の持っている情報を下流へ流れていく、一方通行のタイプ。これに対してブロックチェーンは、相互に接続していており、あらゆる方向に情報を伝える。このため、ブロックチェーン内のものであれば、どこにでも追跡することが可能である。

 同社はブロックチェーンでのグローバルスタンダードを構築することを目指している。ブロックチェーンを使ったマネーロンダリングの対策効果は、従来より90倍の効果があり、費用は10分の1でできる。

 また、「Trudatum」という製品の使えば、ユーザーはどのような種類のデータも登録・認証でき、書類などのファイルの真偽をオンライン上で迅速かつ安全に行なえる。

 Jakob Olek氏「さらに世界中に広めるために、アドバイザーメンバーを従えて活動していく。日本の皆様と一緒に活動できることを楽しみにしている」と、今後の抱負を語った。

 プレゼンが終わり、最後にフォーラムリーダーの山本氏から今回の感想として「スタートアップ企業と聞いていたけれども、かなりできあがった企業ばかりでビックリしました。最近、日本ではAIを入れてみたけれどもうまくいかないという事例が散見されますが、今日紹介された企業はほとんどAIを使っていて、実績を上げていました。

 AIがうまくいくかどうかという条件は、利用シーンが重要で、極めて限定的にAIを適切に活用して成功させています。どのような局面でAIが活用できるのかは、苦労しなければわかりません。そういう意味でも、今回来ていただいた皆さんは、相当な苦労されているはずで、だから成功しているのだと思います。ですので、その経験を生かして、さらに新たな成功を目指し、日本やグローバルで行なっていってほしいと思います」と述べた。

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