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子どもにとってネットでの誹謗中傷は身近なもの

YouTuberは中高生の憧れの職業として定着も「SNSでの誹謗中傷怖い」

2020年09月01日 09時00分更新

芸能人やYouTuberになりたいけど……

 子どもたちは、将来どのような職業に就きたいと思っているのだろうか。最新の実態について見ていきたい。

 全国の中学生・高校生を対象としたテアトルアカデミーの「中高生における芸能界への意識調査」(2020年7月)によると、中高生が将来就きたい職業は、1位が「会社員・OL」(29.2%)。続いて「公務員」(15.0%)、「医者」(7.6%)、「教師」(6.8%)、「YouTuber」(6.0%)だった。子どもたちは、見知っている「身近な職業」を「なりたい職業」として挙げる傾向にあるが、YouTuberは中高生の子どもたちにとって、身近かつ憧れの職業として定着しつつあるのだ。

 「芸能人になれるとしたらなりたいか」という質問に対しては、51.8%と半数が「なりたい」と回答している。注目したいのは、「もし自分が芸能界入りすることになった場合、どのようなことに不安を感じるか」という質問の回答だ。「プライバシーがないこと」が48.8%でトップだったが、続いて「学業との両立」(38.0%)、「SNSでの誹謗中傷」(35.4%)となった。

 元プロレスラーの木村花さんがSNSで誹謗中傷を受けた事件は、広く報道された。また、多くの芸能人がSNSで受けた誹謗中傷に対して訴訟を起こし始めている。子どもたちは、SNSを日常的に使うなかで、芸能人がSNS内で誹謗中傷されるさまを当たり前に見かけているのだ。

動画配信者への憧れは小中学生に定着しつつある

「SNSの誹謗中傷、怖い」

 YouTuberに対しては、憧れを持つ子が多い。「YouTuberは、人気者でお金持ちになれそう」という子は少なくない。小学4年時の子どものクラスでも、やはり約40名のクラスのうち1人、YouTuberになりたいという子がいた。

 一方で、ネットでの誹謗中傷も子どもたちにとって身近なものとなっている。「Twitterで匿名のアカウントに悪口を書かれている」とある中学生は言う。「わたしとわかるように書いてて、絶対にあの人とわかるけど、本人は認めない。他の人に見られるのがつらい」。

 誰かわかる状態でも、誹謗中傷されると落ち込むし、深く傷つくものだ。匿名で複数のアカウントで誹謗中傷を繰り返されるケースもあり、追い詰められてしまう。なかには登校できなくなる子もいる。

 子どもたちにとって、YouTuberもネットでの誹謗中傷も非常に身近なものだ。自己表現や自己実現ができる一方で、傷つけられる場でもあることを知っている。ネットの正しい使い方の教育は強く求められている。

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著者紹介:高橋暁子
 ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

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