ノイズキャンセリング性能に驚き
試聴する機会を得たので、音質や使用感をレポートする。
装着してまず感じるのが、ノイズキャンセリングの「効き」のよさだ。前モデルでもかなり高性能だったのだが、WH-1000XM4では、まるで水の中に潜ったように、周りの音が、分厚く質量のある物質で遮断されていると錯覚するほどのノイズキャンセル効果を感じる。
バランスも絶妙で、「大きな音が鳴れば、一応は聞こえる」という程度。音楽を再生していれば外部のノイズはほぼ完全に遮断される。Bluetoothスピーカーから電車乗車時の騒音や雑踏の音源を流してノイズキャンセリング機能を確かめたが、感覚としては、騒音との距離感は変わらず、音量が10分の1〜20分の1程度に小さくなるという印象だ。
また、Headphones Connectの操作性がとてもいい。ソニーらしさのあるUIなので、ウォークマンやXperiaなどのUIに慣れていると、より自然に操作できると思う。ノイズキャンセリング機能の最適化などは、ほとんどヘッドホンを装着してタップするだけで完了するので、手間もかからず、難しくない。
イヤーパッドの装着感も良好。イヤーパッドを見直し、耳に当たる接地面積を10%増やすことで、圧力を分散させ、よりソフトな装着感にブラッシュアップしているそうだ。なお前モデルWH-1000XM3よりも搭載センサーは増えているが、重量は1g減った254gだ。254gという重量は、ほどほどに質量感があるが、軽く、長時間付けていても疲れない程度。普段使いには最適だ。
また音質面では、音源の細部まで繊細に表現する描写力と、頭部を包み込むような音場感が心地よい。ノイズキャンセリングの性能向上と、イヤーパッドの密着感が上がっているせいか、WH-1000XM3よりも一層没入感が高まっているように感じる。WH-1000XM3とは傾向は似るものの、若干の違いを感じたので、ぜひ購入時は試聴してほしい。
DSEE Extremeの効果はMP3音源で確かめたが、あくまでも自然にアップスケーリングをするという印象。何かを過度に足すのでなく、より高いサンプルレートの音源から、MP3に変換する際に失われてしまう情報を、さりげなく付加するという機能だ。常にオンにしていると、なくなったときに物足りなさを感じそうである。
複数の面でWH-1000XM3と比較すると、別モデルくらい劇的に変化したというよりも、もともと持っていたいい部分を丁寧にブラッシュアップし、新たな機能を与え、より高い完成度で仕上げたモデルということになると思う。WH-1000XM3もかなり完成度の高いモデルだったからこそ、この進化のさせ方は納得できる。
WH-1000XM3の購入を検討していた人は、ぜひWH-1000XM4の発売まで待って、こちらを手に入れよう。他社製のヘッドホンの購入を検討している人も、一度この強力なノイズキャンセリングを体験してほしい。思わず欲しくなるに違いない。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります