HTCが提供している「VIVEPORTインフィニティ」は、定額料金でVRコンテンツが遊び放題になるVRサブスクリプションサービスだ。月額1500円、年額プランだと、1か月あたり1000円で利用できる。
そんなVIVEPORTインフィニティのVRコンテンツを紹介する本連載、第6回となる今回は、VRパズルアドベンチャーゲーム「Fujii」を紹介する。VRゲームの中では珍しく、“癒し”要素を追求した作品だ。プレイヤーは、幻想的で美しいものの、闇であふれた世界に降り立ち、妖精(のようなキャラクター)に導かれながら、世界を光で満たしていく。
この不思議だが美しい世界こそが、本作最大の売りと言っても良いだろう。グラフィックは、画像を見てもらえれば分かるように、リアルというよりはアニメ調。ステージはいくつか存在するのだが、どこも情緒豊かで、ユニークな植物や生き物たちが出迎えてくれる。
ゲームの流れは、まず基本操作を学び、そこから各ステージに向かっていくというもの。チュートリアルでは、光るオーブのようなアイテムを使用するドアの開閉方法や、植物との触れ合い方、水を与えて草木を育てる仕組みなどを学ぶことが可能だ。
植物は、本作のゲームシステムの根幹をなす要素。ステージ各地には、触れることで世界に光を灯すことができる、三角錐のようなオブジェクトが存在する。このオブジェクトを起動するためには、周囲の植物や動物などを触って反応させる必要がある。
また、各ステージにつながるいわゆる“ハブ空間”である庭では、道中で回収した種を植えて、自由に植物を育てることが可能。先述した光るオーブがお金のような役割も担っており、種や鉢植えを購入できる。ガーデニングなどが好きな人は、この部分は特に楽しめるだろう。
ステージには、種を入手するためのパズルゲームも存在する。タイミング良くオブジェクトに触れるサウンドパズルなどがあるが、難易度は低め。ストレスの溜まるシステムやギミックは、極力排除されているという印象を受けた。
また、音響も「Fujii」を語るには外せない要素だ。あくまでも筆者に私見だが、すべてのSEや環境音が、聞いていて非常に心地よいのである。文章では説明するのが難しいのだが、動画サイトでよくある“リラックス音”のような音響が、全編続くと捉えて頂きたい。個人的には、水場で聞こえる、雨を連想する感じの水音がお気に入りだ。
さて、ここまで書いた筆者のフワフワ気味の文章で、予想している人もいるだろうが、「Fujii」という作品は説明が難しい。というのも、ゲーム内で行なう行動や、世界そのものに関しての説明がほぼ皆無だからだ。
なぜプレイヤーが世界に降り立ったのか、妖精はなぜサポートしてくれるのか――このあたりの情報は、最後まで開示されない。明確な答えが提示されるストーリー重視の作品ではないのである。
思うに本作は、真の意味で「雰囲気や空気を楽しむゲーム」なのだろう。週末に腰を据えて遊ぶのではなく、疲れた日や憂鬱な気分のときに起動し、植物や愛らしい動物に触れる。そして心身ともにリラックスするための作品なのだ。
なお、「Fujii」の価格はVIVEPORTでは1520円。VIVEPORTインフィニティに登録すれば、定額で本作を含めたVRコンテンツが遊び放題になる。詳細はこちらから。
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