キヤノンが本気でソニーαを追撃するフルサイズ・ミラーレスカメラ
キヤノンが8K動画ミラーレスカメラ「EOS R5」正式発表 = 手振れ補正もAF速度も世界最高
キヤノンは7月9日、フルサイズ・ミラーレス一眼「EOS R」シリーズの新製品「R5」、「R6」とレンズ、アクセサリーを発表した。
両機種ともキヤノン初のボディ内手振れ補正を内蔵し、世界最高の約8段の手振れ補正を実現。
上位モデルのR5は、初の8K動画撮影機能を搭載しているのが大きな特徴で、予想価格は税込で50万6000円、7月下旬発売予定である。
EOS R5
キヤノンの「5」にふさわしい
「最高解像性能」ミラーレスで
8192×5464=4476万ドット
キヤノンのEOSシリーズの最高峰は常に「EOS-1」であり、「5」はそのひとつ下のミドルクラスのハイエンドである。フルサイズミラーレスのRでも同様で、今回のR5/6は、初号機の「EOS R」と「RP」の上位モデルとなる。フルサイズ・ミラーレス一眼のジャンルで、ソニーαを追撃するための、キヤノン渾身の最新カメラなのだ。
まず、R5だが、撮像素子は新開発の35ミリフルサイズCMOSで、4500万画素ながら、映像エンジンとレンズ性能を加味すると、EOS 5Dsの5060万画素を凌ぐ、「最高解像性能」を実現している。
最大は縦横が3対2で8192×5464ドットの、合計4476万ドットである。
センサーは、おなじみの「デュアルピクセルCMOS」で、位相差AFが可能で、常用感度は静止画で最高ISO5万1200、動画で2万5600、拡張ISOは各10万2400と5万1200。
CMOSの読み出し速度の高速化とDIGIC Xの高速処理により、電子シャッターでAF/AE追従で、最高毎秒20コマの連続撮影を実現している。メカシャッターも新開発で、AF/AE追従で毎秒12コマの連写ができる。
動画ではフルサイズレンズ交換式カメラとして世界初の8K動画(30P)の内部記録を実現している。8K動画はノンクロップで3540万画素(8192×4320ドット)あるので、毎秒30コマの高速連写機能としても有効だ。
記録はCanonLog(10bit/HEVC/H.265)、HDR(10bit/HEVC/H.265)、RAW(12bit/CRM)(12bit/CRM)での記録が可能。MP4ではIPBのほか、切り出し適したALL-Iも可能。NTSCでは、29.97、24.00、23.98fpsで記録できる。8Kタイムラプス動画撮影機能も搭載している。
8K動画のサイズはDCIではRAWで毎分18668MB、ALL-Iで9309MB、IPBで3373MBとなるので、容量256GBのカードではそれぞれ、13分、26分、72分の記録ができる。IPB以外ではCFexpressカードでの記録が必要となる。
4K記録では、8.2Kのベイヤー情報から生成されるので、モアレや偽色、ジャギー、ノイズの少ない繊細な映像を得ることができる。
画像処理機能も進化
撮った後から
「顔ライティング補正」
「ポートレート・リ・ライティング」
静止画では、EOD-1D X MarkIIIと同様に、HDR PQ記録が可能で、10bitのHDRにより、JPEGの最大4倍の階調でHEIFに記録することができる。
デジタルレンズオプチマイザにより、EFとRFの両マウントレンズの光学補正が強化され、補正の「強め」指定が可能となった(毎秒12コマまで)。
オートライティングオプチマイザでは、新たに「顔ライティング補正」を搭載し、顔のコントラストを補正することができる。
撮像素子からのデュアルピクセル情報が付加された「DPRAW」データを用いて、撮影後に背景の明瞭度を変更可能。主被写体への影響を最小限にしたまま、背景のカスミを取ることが、5段階で指定できる。
また、DPRAWの「ポートレート・リ・ライティング」機能によって、選択した人物の照明の照射方向や強さ、照射範囲を、撮影後に変更することもできる。
AFスピードは世界最速
ヒトの後ろ姿に
犬猫鳥も認識
焦点を合わせる技術も新しくなり「デュアルピクセルCMOS AF II」という名称となった。測距エリアは縦横ともに最大100%となり、ディープラーニングによって、被写体認識能力も向上した。
AF速度は世界最高の約0.05秒を達成し、また、開放F22でのAF撮影も可能。静止画測距輝度範囲は-6EV~20EVと広がった。
EOS Rでは143分割だった自動選択時の測距エリアが、最大1053分割へと大幅に細密化。EOD-1D X MarkIIIに搭載しているAFアルゴリズムをさらに改善してR5に搭載し、被写体追従能力も向上している。
被写体の顔・瞳検出では、ディープラーニングによって、後ろ姿の人の認識のほか、犬・猫・鳥の、全身、顔、瞳も検出しAFが可能となっている。
手振れ補正機構は「協調制御IS」で、カメラボディとレンズそれぞれのジャイロセンサー・加速度センサーと、カメラのライブビュー映像からブレ情報を検知し、処理もカメラ側のDIGIC Xとレンズ側CPUが協調して、補正割合を計算する。
手振れ補正機構を内蔵したRFレンズを装着した場合、世界最高の8段分の効果を発揮するという。
背面サブ電子ダイヤルで
EOSらしい操作性
CFexpress+SDのデュアルスロット
ボディはマグネシウム合金で軽量化を図り、シャッターは新開発で、耐久性は50万回。起動時間もEOS Rの0.9秒から、0.4秒に高速化している。
ボディサイズはRのW135.8×H98.3×D84.4ミリから、138.5×97.5×88ミリと、高さが0.8ミリ低くなり、奥行きは3.6ミリ大きくなっている。
重さはバッテリー+カード装着時で660から738へと、78グラム重くなっている。バッテリーは同寸で1865mAhから2130mAhへと高容量化している。
背面液晶は3.2型3:2比率で210万ドットとRと変わらないが、EVFは新しくなり、0.5型のOLEDで画面比率が4対3から3対2になり、解像度は369万から576万ドットと1.56倍に、表示速度も120Pと2倍のフレームレートになっている。アイポイントは23ミリ、倍率は0.76倍と変わらない。
操作性は5DシリーズとRを融合したもので、背面液晶右にはサブ電子ダイヤルを装備した。ファインダー横にはマルチコントローラーを設置。レンズのコントロールリングも併用できるので、4つのダイヤルに機能を割り当ててカスタマイズが可能となる。
記録媒体はCFexpress+SDのデュアルスロット、通信機能はWi-Fiが11ac/a/nを内蔵し、5GHzにも対応。image.canonをハブとして、全画像をクラウドに自動転送することが可能となっている。
バッテリーは新型で、LP-E6Nと同サイズながら、容量は1865から2130mAhへ増強。縦位置マルチコントローラーを搭載した新型のバッテリーグリップも用意される。
EOS R6
2000万画素で4K動画撮影
センサー感度はR5に勝る
R6が搭載しているのは、EOS-1D X MarkIIIのセンサーを改良した2000万画素センサーで、高感度のため静止画の常用が最高10万2400、動画はISO2万6500、拡張ISOはともに20万4800まで上がっている。最大画素数は5472×3648の1924万ドットとなる。
低輝度の合焦限界はR5のEV-6よりさらに低い-6.5まで可能。ファインダー上クイックシュー右が、R5では液晶だが、R6ではモードダイヤルとなるほか、EVFの解像度が369万ドットの120P表示である。記録媒体はSDカード×2で、動画撮影は4K60P、無線LANは11n/g/bの2.4GHzのみ。
サイズは138.4×97.5×88.4ミリとR5と微妙に異なり、重さは680グラムでR5より58グラム軽い。
8月下旬発売予定で、参考価格は33万5500円。24-105mm F4-7.1とのキット参考価格は37万9500円。
同時発表のR用レンズは6本
超望遠があたらしい
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
9月下旬発売予定、参考価格36万8500円 最短撮影距離0.9m(100mm時)~1.2m(500mm時)と短いことと、1370グラムと軽量化を実現。
RF600mm F11 IS STM
RF800mm F11 IS STM
7月下旬発売予定、参考価格9万6800円、12万4300円。
開放F値を11に抑え、小型、軽量を実現。600mmは930グラム、800mmは1260グラムで、沈胴型で持ち歩き時は約20センチと28センチにちじみ、撮影時には約27センチと35センチに伸ばして使う。DOレンズを採用して小型軽量化を実現している。手振れ補正は5段と4段を内蔵。
RF85mm F2 MACRO IS STM
10月下旬発売予定、参考価格8万3600円。 最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロ撮影が可能。手振れ補正5段内蔵で、R5/6では8段となる。
EXTENDER RF1.4X/RF2X
今回発表の100-500mm、600mm、800mmで利用可能。7月下旬発売で、参考価格は6万9300円・8万2500円。
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