とはいえ、そもそも裸の状態でHDDを扱うこと自体大丈夫なのか、気になる人も多いだろう。そこで、ストレージメーカーである日本シーゲイト 技術本部 本部長の横山智弘氏に聞いてみた。
―― HDDを裸で扱うというのはストレージメーカーとしてどうなんでしょうか。
横山氏(以下敬称略):飲み物をこぼしたりしなければ大丈夫です。メーカーとしては冷却ファンのあるケースに内蔵するのがベストですが、ファンなしのケースに入れるよりは裸のほうが温度の上昇も抑えられるのでいいと思います。センチュリーさんには動作確認のために我々のHDDを貸し出して評価してもらっているので、きちんと動作保証されているはずです。
―― HDDを裸で扱うときに気をつけてほしい点はなんでしょう。
横山:よく知られていることですが、動作中の機械的な衝撃で記録メディア(プラッター)に傷がつくことがあります。また書き込み中に電源が切れるとデータの一部が破損することがあるので、動作中の電源オフやHDDを抜くことは厳禁です。また、HDDを保管しておく場所が、極端に高温や低温、さらに湿度が高くなる梅雨時は結露が発生して故障の原因になるので、きちんと管理しましょう。
―― たとえば、裸族のお立ち台にずっと差した状態で放置しておくとホコリがかぶってしまいます。そうしたときはどのように処置すればいいのでしょう。
横山:ホコリの量にもよりますが、掃除機で吸い取るか、軽くふき取るくらいで十分でしょう。ただそのときに呼吸穴にホコリを詰め込まないようにしてください。呼吸穴はヘリウム充填型のHDDにはありませんが、それ以外のHDDでは内外の気圧の差を調整する働きをしています。フィルターを内蔵しているのでホコリが中まで入る心配はありませんが穴が詰まると故障の原因になることもあります。
――裸族シリーズで使うとしたら、どういうHDDがオススメでしょう。
横山:定番はBarraCudaシリーズ。ヘビーユーザにはIronWolfがオススメです。
BarraCudaシリーズのHDDで容量帯の一部には、高い記録密度を実現するために、連続領域への書き込みに最適化した設計を採用しています。不連続なアドレスへの書き込みは、いったんアドレス情報とともに特定の連続領域に保存しておき、空き時間に本来のアドレス位置へデータを移動する動作を行ないます。脳が睡眠中に記憶を整理するイメージです。
一般的なPCの内蔵HDDでは通常十分なアイドル時間があり、この間に記憶の整理ができますが、バックアップの時だけ外付けHDDの電源を入れ、終わったらすぐにオフというような使い方の場合、HDDにとっては意外とヘビーだったりします。その点、従来型設計を踏襲するIronWolfシリーズは、このようなケースでも安心して使えます。
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